斑鳩寺春望

相輪の 空ほの霞む 夕まぐれ あおとものうく さざれいし踏む
あかず見し 百済ぼとけは をゆびもて 見えぬ弦ひき 鳴らしたまへり
ついひぢの 松に夕影 こぼれゐて とどろに門を とざす僧かな
金堂の 闇のおぼろに 伏蔵の 口を鎮むる この千曳き岩
水ぬるむ 池をめぐれば 柿詠みし 人の面影 まなかひに立つ
あからさまに 置きたる石を 尋ぬれば 若草伽藍 礎石なりとふ
色うすき 上の御堂の さくらはな すずろに見まく 吾が欲りにけり    
焼け朽ちし 陰画浄土に しゃかむには 声なき獅子吼 したまふがごと
かみつみや みこのみことの つれづれに 敷きたまひけむ 草のまた萌ゆ
夢殿の 軒高くつる 風鐸に 今年雀の 雛の声すも


●記録者 堂島屋 [202.250.240.254]
●記録日 02/20(金)12:37

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