異動発令のうた 十首

  三月一日をもって異動との内示を受けて詠める

請はれてや 無用なればや 異動とは たまむし色の 最終解決

かがなべて 四とせにあまる 七つきを 明け暮れ見つる 机の傷は

黄ばみたる ファイル繰りつつ 誇るべき アチイヴメント 無きを 吾恥づ

「ありがたう」「よろしく」といふ 言葉のみ 配りてあるく けふもきのふも

別れとは 送電線の 切断面 かたみに心 錆びてゆくべく

友二人 吾に餞(はなむけ) する夜の 春の雨かな 街あかりかな

芽柳は いまだ萌えぬを 友ありて また一つきの 酒を尽くしき

すりへりし 吾がゴム印と 名札より ほかに携へ ゆくものもなし

吾が手垢 のごへば 白きキイボオド にはかに赤の 人のものめき

希望とは何 情報の 欠落を 填めてふくらむ 代替フロン

任(まけ)なれば かへりみはせじ 草枕 旅寝の夢の 醒めて吾ゆく 


●記録者 堂島屋 [202.250.240.254]
●記録日 02/24(火)12:21

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