東大寺修二会(お水取り)

遠敷川(をにふがは)鵜の瀬の水は寒けども奈良に到れば春たちぬらむ

竜王の通ひ路なれや幾里を流れて清き水を掬(むす)びし

十あまりひとつの奇しきかほばせに灯ゆるる二月堂かな

杉の闇奥へ奥へとなづみつつ善男善女のぼる道はも

燦爛と松明いづるそのたびに片照る杉の翳の深さよ

沓音は千代にかはらず聞こゆなりこもりの僧のあまたよぎれば

ひしめきて堂下に満つる大衆(だいしゅ)にぞ火の粉はそそぐ雪とみるまで

「な急(せ)きそ」と呼ばひののしる警官の声なかりせば楽しきものを

渡殿(わたどの)をめぐる法師の舞ひかざす大松明に眩み痴れつつ

いやはての籠松明を巻く炎(ほむら)流れいさよふ杉闇のそら


●記録者 堂島屋 [202.250.240.254]
●記録日 03/13(金)19:21

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