「覇王別姫」に寄す(一)

第六指 母に斬られて 逃れ来し 少年息を 殺す物陰

縊れにし 友の骸に 添へ置ける 花ほの枯れて 柩車去りゆく

打たるるも 打つも梨園の 習ひなれ 錦の獄の 同じ虜囚ぞ

鞭(しもと)とる 師は剥きたての 白瓜の 如き弟子らの 臀(いさらひ)を恋ふ

たらひ水 凍てつるを負ひ しくしくに 雪降る夜半を ひざまづくかな

科白なほ 覚えぬ子らの たなごころ 打たれ裂けては 血の噴きやまず

リイ・バア・シャン・シイ・チイ・グワイ・シイ 諸共に唱ふ 蓮池真向かひにして

遊女の 子とはやされて 焼きすてし 弊衣の灰を ながめゐたりし

俳優(わざをぎ)と 生れし人しも あらなくに 呪はれし子の たづきなるべし

さんざしの 実のひとつだに 食ひたらば 死すとも恨み 無しといふ友


●記録者 堂島屋 [202.250.240.254]
●記録日 03/22(日)18:47

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