「覇王別姫」に寄す(二)

長剣の 流転かしこし 持つ人を なべて破滅に 誘ふがごと

人民裁判 拳ふりたて 叫ぶより ほかに身まもる 術とてもなし

六億の 民の吐きたる ルサンチマン 伝統の臓 食ひ荒らしつつ

重鎮は あっさり吊られ 籠にせし はしき色鳥 行方知らずも

友を売り 友に売られて 妻を売り 妻に死なれつ 今の覇王は

くまどりを 落としてなほも 覇王恋ふる 虞姫は慨(うれ)たし 男身にして

依々として 鏡を舐むる 紫煙かな 阿片のまねば やまぬ嫉妬よ

舞台すてし 覇王消閑 ずちもなく こほろぎ愛づる 陶の小筒に

阿片断つ 五内為烈(ごだいいれつ)の 業苦より 遁れて手足 もやしにぞ似る

覇王いま 破顔一笑 虞姫の死を 得てこそ到れ 大自在境


●記録者 堂島屋 [202.250.240.254]
●記録日 03/28(土)19:26

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