|三|枕|東|険|万|千|暑|南| |叫|流|風|水|里|山|中|海| |蜀|二|頻|時|連|満|見|斉| |魂|値|順|誠|玄|緑|一|梅| |残|没|難|大|瀾|蔭|寒|雨| 以下失礼ながら説明です。 [語釈] 「斉」おさめる。はれる。 「見」見る。みまう。受身。 「一」甚だしいの意も含む。 「一二句」四国・九州は梅雨明けしたのに、前線の南下によって 全国的に寒気が入ってきた様を述べる。 「緑蔭」木陰。 「玄」くろい。 「瀾」波涛の連なり。 「険」けわしい。 「二値」相対の二値。「値」は「恥」に音を通じ、「漱石」の名前の由来 と通説で言われている「枕流漱石」と言い間違えた故事の「恥」 を連想させつつも、真の命名意図は、そうした塵事を絶した「悟」 の境地に基づくとする飯田利行氏の考えを踏む。 「三叫」「蜀」の連想から揚子江「三峡」に音を通ず。 さらに古来、猿の啼き声を三度聞けば、涙襟を潤おすと謂われる。 「蜀魂」ほととぎす。=「子規」。 漱石詩の末句「夢半残」より、蜀漢の軍師、諸葛孔明の「出師表」 「先帝創業未半、而中道崩ソ」を想起す。 [作法]上平声十四寒押韻。仄起格。子規と漱石の下記贈答詩に次韻。 ○子規「送夏目漱石之伊予」 去矣三千里、送君生暮寒。空中懸大嶽、海末起長瀾。 僻地交遊少、狡児教化難。清明期再会、莫後晩花残。 ○漱石「無題」(明治29年) 海南千里遠、欲別暮天寒。鉄笛吹紅雪、火輪沸紫瀾。 為君憂国易、作客到家難。三十巽還坎、功名夢半残。 ○漱石の添えた俳句:東風や吹く 待つとし聞かば 今帰り来ん [補足]全体の詩興は漱石詩の「巽」と「坎」の展開にあります。 それぞれ「易」「風水」によると以下の通り。 「巽」入。順。風。頻恥。東南。木。緑。 「坎」険。誠。険之時ニ用フレバ大矣哉。西北。水。黒。
●記録者 梅足 [hisgw.hitachi-his.co.jp]
●記録日 07/14(火)08:56
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