京の夏

雨けぶる四条大路や山鉾に住みてほほゑむ禿童(かむろ)の精は

千年の賀茂の流れに世々捨てし夏の片恋数も知らなく

ゆりかもめ群るる河原に立ち出でて首はねられし人をしぞ思ふ

寝苦しき夜の人波のかたはらに竜馬遭難之地のいしぶみ

比叡(ひえ)暮れて川音(かはと)かそけき橋のうへ友のこよひの浴衣すがしも

今出川上ル下ルと朝顔の鉢のちまたをなづさひてゆく

大文字消えし真闇に呟きし君が一言われを縛しぬ

川床(ゆか)にして酒器の切子の赤と青こもごもうまき酒をつぐべし

若楓たなびく古き滝みちをわれも登りぬ雲水もまた

おほてらの闇にたたせる千躰の仏の国に蚊の羽音すも


●記録者 堂島屋 [202.250.240.254]
●記録日 07/16(木)12:56

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