鮟鱇上声29韻65首(43−65)

           鮟鱇上声29韻65首(43−65)

43  (上声十八巧)            −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

守  愚  無  辯  巧              愚を守って辯巧(=口先がうまい)なく
兼  愛  収  牙  爪              広く愛して牙爪(=防御の道具)を収む
三  省  去  私  心              三省して私心を去り
唯  忻  人  佼  佼              ただ喜ぶ、人の佼佼(=優れている)たるを

44  (上声十九皓  其一)      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

月  光  輝  皓  皓              月光、皓皓と輝き
風  発  吹  秧  稲              風起きて秧稲を吹く
夜  半  盛  蛙  声              夜半、蛙声盛んにして
今  年  夏  来  早              今年は夏来ること早し

45  (上声十九皓  其二)      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

凡  士  歓  胡  考              凡士は長生きを歓び
酒  荒  僖  転  倒              酒荒(=大酒飲み)は転倒を喜ぶ
飛  仙  昇  極  天              飛仙、極天に昇り
亀  鶴  知  窮  老              亀鶴、天寿を窮めるを知る

46  (上声二十カ (加+可)   其一)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

迷  妄  情  煩  瑣              迷妄すれば情は煩瑣にして
悟  空  心  帖  妥              空を悟れば心は帖妥たり
天  天  勤  淡  交              日々、淡交に勤め
朝  夕  献  香  火              朝夕、香火を献ず

47  (上声二十カ (加+可)   其二)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

侠  客  収  仙  果              侠客、仙果 (=桃) を収め
艶  姫  詼  婀  娜              艶姫、たわむれて婀娜(アダ)たり
月  光  斜  繍  房              月光、繍房(=女性の部屋)に斜めにして
枕  上  眠  花  朶              枕べに眠る花

48  (上声二十一馬  其一)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

馬  不  分  朝  野              馬は朝野を分かたず
英  雄  無  衆  寡              英雄に衆寡なし
平  時  養  壮  図              平時は壮図を養い
有  事  馳  戎  夏              有事は戎夏に馳す

49  (上声二十一馬  其二)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

霊  魂  離  化  者              霊魂、化者(=死者)を離れ
化  者  帰  無  仮              化者は根本に帰る
無  仮  象  壺  天              根本、壺天を形どれば
壺  天  夢  姑  且              壺天の夢、しばし

50  (上声二十二養  其一)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

雲  山  天  渺  茫              雲山に天、渺茫たり
溪  水  煙  揺  蕩              溪水に煙、揺蕩す
俄  起  風  穿  林              にわかに起つ風、林をうがち
春  声  捜  魍  魎              春の声、魍魎(モウリョウ)を捜す

51  (上声二十二養  其二)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

男  子  宜  豪  放              男子、よろしく豪放たるべし
諸  君  無  付  党              諸君、党に付するなかれ
平  時  慎  虎  威              平時には虎威を慎み
有  事  明  俊  爽              有事には俊爽たるを明らかにす

52  (上声二十二養  其三)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

胡  姫  声  朗  朗              胡姫、声朗朗として
未  了  歌  悲  響              未だ悲響(=悲曲)を歌うを終えず
酣  蕩  到  三  更              酣蕩、三更に到る
欲  眠  辞  宴  饗              眠らんと欲して宴饗を辞す

53  (上声二十三梗  其一)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

猛  鷲  棲  危  嶺              猛き鷲は危嶺に棲み
凝  眸  窮  遠  境              眸を凝らして遠境を窮む
天  天  少  野  禽              日々、野禽少なく
飢  渇  堪  移  景              飢渇して移景に堪ゆ

54  (上声二十三梗  其二)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

年  少  争  奇  穎              若いときは奇穎たるを争い
老  成  離  不  逞              老成して不逞たるを離る
悠  悠  欲  適  帰              悠悠として適帰せんと欲すれば
天  地  通  虚  静              天地は虚静に通ず

55  (上声二十三梗  其三)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

月  亮  高  万  井              月亮(=月)は万井(盛り場)に高く
妓  女  争  聡  警              妓女は聡警(=聡敏)を争う
酔  客  欲  調  情              酔客、調情を欲すれば(=いちゃつけば)
迎  合  而  歯  冷              迎合するが歯は冷たい

56  (上声二十四迥  其一)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

老  師  眸  炯  炯        老師の眸は炯炯として
一  世  勤  摩  頂        一世(=生涯)、摩頂(=脳天をすり減らす)に勤む
往  往  楽  酣  觴        往々、酣觴を楽しみ
寛  容  皆  酩  酊        皆の酩酊に寛容なり

57  (上声二十四迥  其二)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

江  上  煙  遼  迥              江上、けぶってはるかなり
早  晨  浮  釣  艇              朝早く釣舟を浮かぶ
天  天  魚  小  心              日々、魚は注意深く
香  餌  徒  然  等              よい餌も徒然として待つのみ

58  (上声二十五有)          −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

五  山  埋  葬  九  賓  柩      五山に埋葬す、九賓の柩
四  海  散  灰  三  患  友      四海に散灰す、三患の友
現  世  富  貴  貧  賤  分      現世、富貴貧賤わかるるも
黄  泉  老  少  無  妍  醜      黄泉の老少に妍醜(=美醜)なし

59  (上声二十六寝  其一)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

月  光  蹂  客  枕              月光、客枕(=旅の枕)を蹂み
秋  夜  難  酣  寝              秋夜、酣寝(=熟睡)しがたし
靠  近  窓  仰  瞻              窓に靠近(=近寄る)して仰ぎ見れば
満  天  星  懍  懍              満天に星、懍懍

60  (上声二十六寝  其二)    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

鯨  飲  到  三  更              鯨飲して三更(=真夜中)に到り
月  光  催  草  寝              月光、草寝(=野宿)を促す
未  知  蝶  夢  情              いまだ知らず蝶夢の情
唯  探  資  生  枕              ただ捜す、資生(=生活に役立つ)の枕

61  (上声二十六感)          −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

人  有  千  思  猶  万  感   人には千思あり、なお万感あり
詩  宜  吟  此  披  肝  胆   詩はよろしくこれを吟じ肝胆を披(ひら)くべし
先  生  時  至  逝  仙  山   先生、時至って仙山に逝くも
後  進  情  清  留  古  淡   後進、情清くして古淡を留めん

62  (上声二十八  王炎  其一)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

吾  妻  勤  節  倹            我が妻は倹約に勤しみ
積  習  口  紅  淡            口紅の淡きを積習(積年の習慣)とす
荏  苒  儲  存  銭            荏苒(次第に)として銭を儲存(たくわえ)し
天  天  喜  粧  点            天天(日々)、化粧を喜ぶ

63  (上声二十八  王炎  其二)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

麗  人  粧  点  淡              麗人、化粧は淡く
慎  語  無  諛  諂              語るを慎しんで諛諂(=こびへつらう)なし
微  笑  未  開  眉              微笑、いまだ眉を開かず
含  愁  為  習  染              愁を含むこと、習染となす

64  (上声二十九  豆兼  其一)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

鼠  盗  惶  腰  斬              鼠盗、腰斬らるるを惶(オソ)れ
獄  中  心  黯  湛              獄中に心、黯湛(アンタン)たり
已  遅  悔  犯  科              すでに科を犯すを悔いるに遅し
祈  請  刑  軽  減              刑の軽減を祈る

65  (上声二十九  豆兼  其二)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

河  声  如  吶  喊              河声、吶喊(トッカン)のごとく
天  意  無  軌  範              天意に軌範(キハン)なし
氾  濫  斬  堰  堤              氾濫、堰堤(=堤防)を斬り
雨  晴  皆  湛  湛              雨晴れてみな湛湛たり


●記録者 鮟鱇 [h016.n078.nhk.or.jp]
●記録日 12/28(月)17:32

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