桃李歌壇  目次

御子生れし

連作和歌 百韻

3801 > 御子生れし今宵祝わんクリスマス嬉し涙の溢るる聖母 
(素人)
1224 2359分)

3802 > ザルツブルグ北方の村ゆつつましき歌は生(あ)れたり聖しこの夜 
(素蘭)
1225 0027分)

3803 > 東方のマギらが急いだこの夜に僕は会いたい邪気ある君に
(ぎを)
1225 0040分)

3804 > 暁の星東の空に輝きぬマギらの見たる星もこれかと 
(素人)
1225 0830分)

3805 > 山影は墨の如くに滴りて光芒はるか北の星辰 
(蘇生)
1225 1056分)

3806 > 寒のこの夜にひそとゆく詩人(うたびと)の思ひはるけし北の星辰 
(丹仙)
1225 1350分)

3807 > 雪を深み妹住む里に行くすべの無ければ今は春ぞ待たるる
(冬扇)
1225 1515分)

3807 > 風紋の波打つ砂漠独りゆく吟遊詩人の前途の険し 
(素人)
1225 1513分)

3808 > 兵士らよ戦ふ日々の中なれど暫し安らげ聖夜ぞ来たる
(ぽぽな)
1225 2314分)

3809 > 映像と数値の中に人の死が虚しく積まれる、野蛮が見えぬ
(ぎを)
1226 0101分)

3810 > まどろみはここちよき枷パペットの糸をゆだぬるその手冷ゆるも 
(素蘭)
1226 0105分)

3811 > まどろめばなほ偲ばるる面影の冷たく思ほゆ文も杜絶えて
(冬扇)
1226 1122分)

3812 > 「愛の夢」見果てぬ前に微睡みのごとく儚く楽曲は果つ
(ぎを)
1227 0058分)

3813 > 永遠の道化はつひにたちながら風車は夢を見果てぬをとこ 
(素蘭)
1227 0201分)

3814 > 決戦の見えぬ戦の無機なるは道化も何も無きが如くに 
(蘇生)
1227 0621分)

3815 > キホーテの夢見る意気のあらまほし逼塞の世を打破するために 
(素人)
1227 0842分)

3816 > この腕に命を掛けて羽ばたかむ晴れの男の世界の舞台
(冬扇)
1227 1010分)

3817 > 決勝のピストルを待つ選手らの刃に張りつめし闘志のリンク
(ぽぽな)
1227 1011分)

3818 > スタートラインに身構へて待つ緊迫は我が日常にはるかに遠し
(たまこ)
1227 1631分)

3819 > みどり児は今も荒野に叫べどもわがベツレヘムには平和来たらず 
(丹仙) 
1227 2130分)

3820 > 繰り返しなほ繰り返し呼びかけるかの人の夢叶わざれども 
(素人)
1227 2245分)

3821 > マクレイン・レイン・エレイン・リフレイン LもRもいつも雨降り 
(素蘭)
1228 0101分)

3822 > スペインの雨が平野に降るならば日本の雨は心に降るよ
(ぎを)
1228 0301分)

3823 > 素足にてゴルゴダの丘歩みゆくいつまで続くメシアの痛み
(ぽぽな)
1228 0337分)

3824 > 人々の棘の視線の痛みこそ背なの十字を超えて重たき 
(素人)
1228 0920分)

3825 > スコールを牛ひくアジアンレポートに銃後の貧しきときを思いつ  
(蘇生) 
1228 0940分)

3826 > 貧しけど山河のみどり深ければ心豊かに時は過ぎゆく 
(素人)
1228 1059分)

3827 > 戦後といふ言葉も遠くなりて今『暗黒日記』読み始めたり
(たまこ)
1228 1116分)

3828 > 飢餓にして夕焼くる空の美しさを分かち得たのは虐げられし故か
(海斗)
1228 1149分)

3829 > さなきだに滅びの声はひといろににんげん滅ばば緑の地球 
(素蘭)
1228 2339分)

3830 > 人間は死に絶ゆるとも人の流す涙は誇る青き星の痕
(海斗)
1228 2355分)

3831 > 涙のやうな雨粒の筋の跡をけしぴかぴかに磨く歳晩の窓
(たまこ)
1229 0848分)

3832 > けふてふつくにあまりし九にをり去年となりける今年にわれは 
(蘇生)
1229 0908分)

3833 > アルファにしてオメガはよけれ文字盤にXIIのかたちあるを愛でたり 
(素蘭)
1229 2126分)

3834 > 難解を愛でる知性に煽られる平凡人の詩に悲しみ 
(素人)
1229 2135分)

3835 > 突き抜ける空に碧は深まりてかもめ廻れる冬の海かな
(海斗)
1229 2346分)

3836 > 投企する者は大河を遡るカモメは海へと帰るがいいさ
(ぎを)
1230 0224分)

3837 > 過ぎたるは猶のバブルを過ぎてより幾たびなりや大つごもりは 
(蘇生) 
1230 0622分)

3838 > 閉塞の世に住み続け息苦し泡沫なれば水面に浮かばむ 
(素人) 
1230 0634分)

3839 > F教授長男をもて戦へり***ひとつぶんの明るさのため 
(素蘭)
1230 1131分)

3840 > 吾の知らぬ吾のいること知る吾に光年離るる星ぞ瞬く
(ぽぽな)
1230 2340分)

3841 > 声高にそしるを聞けばおほかたは自らのこと蔑
(なみ)し語れる 
(素蘭)
1231 0034分)

3842 > わが天に唾棄することの愚かさを仰臥の後の冷汗に知る 
(蘇生)
1231 0628分)

3843 > 愚かさを醒めた目で見る賢さを備えし人は瓜実の顔 
(素人)
1231 1649分)

3844 > うまヒツジ時は過ぎゆく花の雲あさき夢みし三献の屠蘇 
(丹仙) 
11 1325分)

3845 > 去年今年孫の振舞う折節に更なる年の頼もしきかな 
(蘇生)
11 1934分)

3846 > 初春の空にカイトの唸りゐて下萌ゆる野に影ぞさすらふ
(やんま)
11 2056分)

3847 > 凧悠々大根畑を見下ろして太平洋へと半島を出ず 
(素人)
11 2115分)

3848 > 悠揚と天の高みに初鳶が元朝詣を閲しをるやに
(蘇生)
11 2159分)

3849 > 満天の花火に明けたニューイヤーやがて恵みの雨の寿ぐ
(ぽぽな)
12 0507分)

3850 > 言祝ぎて屠蘇一献を酌み合ひぬ穏やかなるや初春の空 
(素人)
12 0958分)

3851 > 元朝はうらぶれたるか初日の出二日は心すむにやあらむ 
(蘇生)
12 1036分)

3852 > 過ぐるなば遣らむ方なき日々さへもさと仄甘く薫らせる空
(悠珂)
12 1835分)

3853 > ささめ雪仄かに舞ひし夕まぐれこの世のほかの春に続かむ 
(丹仙)
12 2114分)

3854 > 爺婆の集ふ巣鴨の夕間暮れお地蔵さんの細き目和む 
(素人)
12 2131分)

3855 > 正月の町に子どもの声絶えて東京中が巣鴨となりぬ
(ぎを)
13 0043分)

3856 > 異国にて年越せばなほ正月は日本の貴き宝と思ふ
(ぽぽな)
13 0725分)

3857 > 活気ある人種の坩堝に身を置ひて故国の正月眺むるや良し 
(素人)
13 0928分)

3858 > ま青なる海でいるかの戯むるをパソコンで見る正月の朝
(海斗)
13 1324分)

3859 > 混沌の太古が海(うな)ゆ陸地(くぬが)へと参り渡りぬ璞(あらたま)の星
(悠珂)
13 1507分)

3860 > さらの日も三日のけふも雲さむく恵みありたる二日をおもふ 
(蘇生) 
13 1523分)

3861 > 人類の驕り咎める罰ならむガイアの鞭に星の震える 
(素人)
13 1533分)

3862 > 罪深き羊あふるる欲望の園生(そのふ)に嘆くやかの羊飼ひ
(ぎを)
14 0032分)

3863 > かろやかに雪はつもりて白樺のたえねばひしと折れるを見てり 
(素蘭)
14 0122分)

3864 > 雪折れの辛夷の枝手に屋に入ればつぼみの産毛やはらかになる
(ぽぽな)
14 0554分)

3865 > 膨らみを仰ぎて見れば梅が枝に雀の群れが見下ろしをりぬ 
(蘇生)
14 0618分)

3866 > ちさき身に春待つ胸をふゝませつ佇まひては雀耐へゐる
(悠珂)
14 0737分)

3867 > 小ぶりにて敏なる影は目白たりふくよかなりや寒の雀は 
(蘇生)
14 1018分)

3868 > 凍てつきし夜あればこそ晴れ渡る氷を踏みて割る音響く 
(素人)
14 1139分)

3869 > 残りしは独りともとふ幽(かご)やかき霜夜へ降るゝ月の忍び音
(悠珂)
14 1401分)

3870 > 怒りに触れ手負ひの心癒さんと夜雨やさしく雪に移りぬ
(ぽぽな)
15 0022分)

3871 > しぐれより雪にうつろふこころあらば虚実のあはひ言葉はあれむ 
(素蘭)
15 0155分)

3872 > 御降りの厳しき日々に大寒はさらに凍てなむ常なる如く 
(蘇生)
15 0644分)

3873 > 湖は氷れる夜毎しんしんとただしんしんと御神渡り待つ
(ぽぽな)
15 1001分)

3874 > 砕けては滾つ奇(くしび)に己(おの)さへも委ねまほしと寒暁に祈(ね)ぐ
(悠珂)
15 1438分)

3875 > 神の手に全てを委ねる決意してなほ疑いの過ぎるひ弱さ 
(素人)
15 1449分)

3876 > 押し寄せる波引く波に高まりて飛沫を岩に吼える凍月
(海斗)
15 2154分)

3877 > 冬ざれて万象強(こは)くざらつきぬ、ほつと息つく朧梅の花 
(ぎを)
15 2208分)

3878 > つよからぬひさしくもあらぬ万華ゆゑ鏡のやうに雪を見てゐる 
(素蘭)
16 0026分)

3879 > 街に降る雪赤になり青になりネオンの行くに合わせて行けり
(ぽぽな)
16 0740分)

3880 > 何事も飲む口実となりぬべし仕事始めの夜の巷に
(冬扇)
16 0911分)

3881 > 巷にはなほも不安の渦巻ける新たな年をいかに生くべき 
(素人)
16 0931分)

3882 > 夜もすがら浮き寝の床に丸まりて拒(つき)むいづれと容るゝかつてと
(悠珂)
16 1555分)

3883 > 深々と夜道に背中丸くなりカレーライスが恋しくなった
(海斗)
16 2236分)

3884 > 陽を孕み膨らむ布団にくるまれば胎児の頃に戻る心地す
(ぽぽな)
17 0725分)

3885 > この心地何事にも代え難し母の温もり永遠の安らぎ 
(素人)
17 0843分)

3886 > こんもりと雪積もりをりこの日ごろどこへも行かぬ母の盆栽
(たまこ)
17 1552分)

3887 > たらちねの母の面影なつかしく野に出でて見る名残雪かな
(冬扇)
17 1646分)

3888 > あかぎれの母の手さすりし夜もありぬ貧しさゆゑの優しさありし日
(ぎを)
17 2358分)

3889 > 毛糸玉ころがしころがしスエーターを編みかへしをりそれも思ひ出 
(素蘭)
18 0122分)

3890 > セーターの毛糸の編目は繰り返す呪文と諭す歌姫のいて
(ぽぽな)
18 0330分)

3891 > 若人へ君に託すの言の葉もロマンも失せし国とは何ぞ 
(蘇生)
18 0903分)

3892 > 朝毎に会ふ青年の大股に急ぐ姿の小気味良きかな
(冬扇)
18 0918分)

3893 > 駅頭で今朝も演説する青年国を憂いて呼びかける熱 
(素人)
18 0928分)

3894 > パンドラは若者に問ふ今もなほ箱の中には希望はあるか
(ぽぽな)
18 1024分)

3895 > 絶望に安住の地すら見出せぬ若者に問ふパンドラの罪 
(素人)
18 1216分)

3896 > 人生を不可解なりと嘆じたる青年の泣く日光の滝
(冬扇)
18 1620分)

3897 > 若ければひとりはなるる砂丘にすくふよしなく砂にうめしこと 
(素蘭)
19 0057分)

3898 > 若さとはやはらかきこと手の指を反り返らせてたしかめてみる
(たまこ)
19 1239分)

3899 > 若き日の恋の記憶の甦るそはほろ苦き思ひ出にして
(冬扇)
19 1337分)

3900 > 断ち切れぬ想ひはいづれ待つといふあはれとなるらむ息の緒がたび
(悠珂)
19 1637分)