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歌仙 春雨こぼる

1997年復活祭を記念して

初折表
 静けさや春雨零る萱の軒       (きこ) (327 1832)
  遅日の恵み温む大地に      (ゆう) (328 0924)
 太極拳腕のびやかに梨花指して  (登代子) (328 1447)
  翁若やぎ頬笑む乙女         (ひとし) (328 1544)
 名月や小竹の上に降る光        (ゆう) (329 1148)
  長き箸にて採る衣被         (きこ) (329 1217)
初折裏
 さはやかに人去りゆきて過疎の村(登代子) (329 1318)
  橡の実落ちて廻る夕日に     (ゆう) (329 1416)
 初猟や気配殺して位置につき   (やまめ) (329 1648)
  小雄鹿のごと伏して君待つ   (ひとし) (329 1721)
 夏空や青一色に寄する波       (きこ) (329 1759)
  光あまねき真昼の砂丘     (登代子) (330 1011)
 闇の牢祈り拒みし異邦人       (ゆう) (330 1033)
  トスカの城に掛かる寒月    (ひとし) (330 1109)
 絶壁や氷柱煌めき落ちゆけり   (ゆう) (330 1327)
10   立ち籠む煙見えぬ行く先   (きこ)  (330 1406)
11 花千筋隠れ小路をたれか来る (登代子) (330 1435)
12  赤穂の家老ともす春燈     (ひとし) (330 1713)
名残表
 つばくらめ疾くとく帰れ我が心 (きこ)  (330 1827)
  輝き失せしマドロスパイプ   (やまめ) (331 0814)
 白鯨の夢再びと入れ歯はめ     (ゆう) (331 0930)
  孫追いかけて怪獣ごっこ     (ひとし) (331 1143)
 藝術は爆発なるかポップコーン (きこ) (331 1240)
  放屁の如く宇宙始まる       (ゆう) (331 1441)
 ホーキング時間旅行は車椅子   (ひとし) (331 1550)
  深き淵より出づる光明       (ゆう) (331 1610)
 颱風の大楯となる巌聳ゆ       (きこ) (331 1656)
10  戦矢一万薄穂靡き         (ゆう) (331 1725)
11 時とまれアロンの谷に沈む月 (きこ) (331 1742)
12  鶏なきて眼覚む荒野に     (ひとし) (331 1800)
名残裏
 ゲッセマネ齢数へて二千年    (ゆう) (331 1819)
  樹を割りて見よ我そこにあり (きこ) (331 1847)
 籠に載す菓子と見まがふ卵かな (ゆう) (331 1855)
  春の命ぞ宿るしじまに     (きこ) (331 1901)
 父母の生まれる前の花開く    (ゆう) (331 1914)
  身に溢れゆく永遠の御言葉  (きこ) (331 1927)