桃李歌壇  目次

墨田にうらら

連作和歌 百首歌集

 

5101  入学に卒業にあるさくらさくら墨田にうらら桜花散る 茉莉花 11月13日 13時13分
       
5102  桜咲く鉄砲州の小学校浅野内匠の屋敷跡かな  弁慶 11月13日 18時12分
       
5103  欄干にみかんのやうな夕陽こぼれ佃渡しの昔懐かし 真奈 11月14日 09時26分
       
5104  築地なる明石町の路地の先清方描く美人は傘持つ  弁慶 11月14日 10時51分
       
5105  見返りし人のおくれ毛艶めきて春の霞の夕まぐれかな  冬扇 11月14日 11時29分
       
5106  春がすみ武蔵野の空を一団の桜吹雪が横切りにけり  弁慶 11月14日 15時12分
       
5107  冬桜うすき笑顔のまっすぐに余命の限り友は告げに来  11月15日 01時29分
       
5108  晩夏(おそなつ)の空を真つ直ぐ飛びゆきし燕の群よ今どのあたり たまこ 11月15日 01時45分
       
5109  はぐれたる燕抱く手はやさしきに我が恋なぜにはぐらかす汝は 茉莉花 11月15日 02時07分
       
5110  燕去り空に一片の雲も無し失恋の日の悲しき美空  弁慶 11月15日 09時17分
       
5111  失ひし恋の香りはモカ珈琲口に含みてなほほろ苦し ぽぽな 11月15日 23時51分
       
5112  別れ来て青山通り花の店夜目にも白き君影の花  弁慶 11月16日 13時17分
       
5113  磨けど磨けど鏡の中の吾の目の涙止まぬや滂沱のごとく ぽぽな 11月17日 09時12分
       
5114  吾が涙流れて止まぬあの日から既に半年今日は晴眼   弁慶 11月17日 10時01分
       
5115  あなたにはかくせないのよこの涙やせたる肩を友はふるわせ  11月17日 10時07分
       
5116  恋のためその身を投げて証し立つ真間の手児奈のごとき君かな  弁慶 11月17日 10時43分
       
5117  身を投げて泣くを覚えしをさな子が「シールが欲しい」と身を投げて泣く たまこ 11月17日 11時55分
       
5118  泣きつつもシールをやれば幼子は破顔一笑五月晴れかな  弁慶 11月17日 13時11分
       
5119  悪童に囃し立てられ筒井筒いつしかなりぬ恋の二人に  冬扇 11月17日 13時47分
       
5120  朝な朝な筒井の暗き水を汲み仏に供へてをりしおほはは たまこ 11月17日 17時17分
       
5121  梓弓君のハ−トを的にして恋の矢射しが届かざりけり  弁慶 11月17日 17時26分
       
5122  たはむれに仕掛けし恋と思ひしが今こそ命掛くる恋なれ  冬扇 11月18日 11時09分
       
5123  木枯しの吹く街角にシンバルを鳴らすゼンマイ仕掛けの小猿 たまこ 11月18日 12時21分
       
5124  藁科の川中にあるははそ木の「木枯らしの森」今紅葉して  弁慶 11月18日 12時36分
       
5125  あっしには関はりのねえことだよと咥へ楊子で行く上州路  冬扇 11月18日 17時36分
       
5126  楊子江河口の幅は限りなく雲湧く辺りに岸辺あるべし  弁慶 11月18日 19時19分
       
5127  この里に作れる詩篇数多にて斗酒なほ辞さぬ詩仙居るらし  冬扇 11月19日 22時47分
       
5128  短日をゴルフに興じ夜の宴米寿翁の盛んなるかな 蘇生 11月20日 06時25分
       
5129  歳老いて盛んなること目出度くも少子孫ゼロ目前にあり  弁慶 11月20日 11時15分
       
5130  年下の叔父御のあまた徳川家精力絶倫狸ぢいさん  冬扇 11月20日 13時20分
       
5131  子沢山あな懐かしき言の葉ぞ昔の人は子供好きかな  弁慶 11月20日 14時06分
       
5132  暗闇で「何してるの?」と聞かれたら「句作りです。」と答えてみよう ぽぽな 11月21日 07時02分
       
5133  田を作り句歌詠みし人多かりきこの日の本の千歳の伝統  弁慶 11月21日 07時37分
       
5134  諍いを長句短句で遣り取りし歌仙終わればケンカ忘れて 茉莉花 11月21日 09時16分
       
5135  ケンカしても歌仙を巻けばおのずから春風駘蕩世は事もなし  弁慶 11月21日 11時25分
       
5136  あれほどの熱き契りの頼りなき今日散る花の行方知らずも  冬扇 11月21日 13時45分
       
5137  晶子にもわれ流星の自嘲あり年の坂ゆくをんな歌とは 真奈 11月21日 13時52分
       
5138  女詠む歌の姿の美しさ歳を重ねてなおいや増しに  弁慶 11月21日 15時32分
       
5139  双の手を翼となして風を受く春繚乱の夢匂ふらん 真奈 11月21日 19時05分
       
5140  夢匂う夜半の寝覚めの手枕に君の面影幽かに残れリ  弁慶 11月21日 23時24分
       
5141  浜砂に対に残りし靴の跡若き二人の明くる東雲  蘇生 11月22日 08時13分
       
5142  浜茄子の花咲くころに二人して原生花園訪れにけり  弁慶 11月22日 11時24分
       
5143  サロベツの海岸に夕陽沈まんとす薄き貝殻手にほろほろと鳴り 真奈 11月22日 13時23分
       
5144  サロマ湖に沈む夕日の赤々と汀に立ちて手をかざす君  弁慶 11月22日 16時17分
       
5145  エトピリカまたエトピリカ断崖に嘴の黄の昏れゆきにけり ぽぽな 11月23日 01時22分
       
5146  摩周湖の霧り晴れ渡り深緑の岸辺に白きサビタの花かな  弁慶 11月23日 08時55分
       
5147  北の辺の色鮮やかな嘴においらんちょうと称ふはしかり  蘇生 11月23日 09時21分
       
5148  吾が友は朱鞠内湖の岸辺こそ日本一の紅葉ぞと言う  弁慶 11月23日 11時45分
       
5149  老いたりしポプラ並木の後を継ぐ若き並木の健やかなるを  蘇生 11月23日 12時06分
       
5150  外苑の銀杏並木の夕暮れに赤くビル染む夕日を見たり  弁慶 11月23日 18時24分
       
5151  六本木摩天の楼が林立す何故に何故にか人は集きぬ  蘇生 11月23日 19時03分
       
5152  夕されば麻布十番夏祭サンバにのってカーニバル来る 真奈 11月23日 21時30分
       
5153  一の橋二の橋そして三の橋君住む町は麻布十番  弁慶 11月23日 23時15分
       
5154  今を去るウン十年の若きころデイトはいつも麻布界隈 茉莉花 11月24日 01時28分
       
5155  笠着とて一句付けては盆踊り碧眼もをり浴衣藍染 真奈 11月24日 09時05分
       
5156  高樹町、材木町に霞町、赤坂虎ノ門は六本木の先  弁慶 11月24日 09時49分
       
5157  巨塊なるヒルズを見つつ割り箸で摘まんとする蕎麦の一筋  蘇生 11月24日 10時08分
       
5158  蕎麦の店布屋太兵衛の更科の盛り一枚の懐かしきかな  弁慶 11月24日 11時13分
       
5159  更科の蕎麦をさらさらさらさらと食めば今宵は寒の新月 ぽぽな 11月25日 01時27分
       
5160  浪速から遷都とともに江戸にきて巴に蕎麦の砂場ありけり  蘇生 11月25日 07時18分
       
5161  元禄の能装束のさくらばな黄のあり青あり緑さへある たまこ 11月25日 16時53分
       
5161  土地土地の砂場砂場で出すそばに白きもあれば黒きもありき  弁慶 11月25日 16時52分
       
5163  能舞台常に緑の太き松見る人々の命寿ぐ  弁慶 11月25日 17時56分
       
5164  午前6時木々の影絵が躍動し今東雲は命寿ぐ  蘇生 11月26日 06時09分
       
5165  東雲は色鮮やかに染まりつつやがては薄く消えてゆきけり  弁慶 11月26日 09時46分
       
5166  安曇野の風に抱かるる丹頂の一声残し去り行きにけり 真奈 11月27日 12時47分
       
5167  みすずかる信濃の国の望月の駒失せしより千歳過ぎけり  弁慶 11月27日 13時01分
       
5168  悔しくて落とす涙はマウンドに仰ぐ浅間は父の如くに ぽぽな 11月29日 09時51分
       
5169  千兵の大牙擁せし川中島鞭音絶えて既に四百年   弁慶 11月29日 11時00分
       
5170  滔々と流るる時の波の間に咲く一輪の恋の花かな  冬扇 11月30日 08時58分
       
5171  冬薔薇の一輪ほどの心さえ通い合わぬはさびしきことよ 茉莉花 11月30日 12時00分
       
5172  みぞれ降る小さき駅の片隅に白き薔薇持つ君を見たりし  弁慶 11月30日 18時20分
       
5173  紅葉が紅く盛りし彦根城大老埋もれしときはさぞやと  蘇生 11月30日 19時59分
       
5174  紅葉の残り一葉の舞ひきたり夢とぞまがふ胸の高鳴り  11月30日 21時31分
       
5175  桜田の雪に倒れし大老も部屋住みの頃紅葉狩ゆく   弁慶 11月30日 21時32分
       
5176  桜田にフランスデモのこだまして無援の抒情めぐる季節よ 真奈 11月30日 23時31分
       
5177  今にして思えばデモは娯楽かな高等遊民たりし我等の  弁慶 12月1日 09時45分
       
5178  米軍は去れとベースの門前のSPに叫ぶ肩車しつ 海斗 12月1日 17時04分
       
5179  米軍は去れとこぶしを突き上げし人の命も守る彼等は  弁慶 12月1日 17時26分
       
5180  自力では平和守れぬ国に住み対岸の火事消せぬ哀しさ 茉莉花 12月1日 18時27分
       
5181  戦争を望まぬ民の連帯が真の平和を守る砦と 真奈 12月1日 20時18分
       
5182  全能の神を信ずる者達の信者同士の争いは何故  弁慶 12月1日 20時43分
       
5183  おほき風地震(なゐ)の過ぎにし沈黙(しじま)よりかそけき神の聲ぞ聞こゆる  丹仙 12月1日 22時56分
       
5184  無防備の最も小さき者たちのすべなく祈る声聞きたまえ  千種 12月1日 23時31分
       
5185  祈る声聞きたりとても神の声従わぬ人なんと多きか  弁慶 12月2日 01時26分
       
5186  ギリシアにライオスといふ王のゐて王子オイディプスは生まれたり ぽぽな 12月2日 04時12分
       
5187  プロメテウス解き放たれよその鎖天上の火を能く御するべし 真奈 12月2日 07時28分
       
5188  太古より相争いて進化せる人類の業なんと深きか  弁慶 12月2日 08時06分
       
5189  子供らに文房具をとの遺志を継ぎ魂安らげよ大和の獅子ら 海斗 12月2日 11時56分
       
5190  その国の民安かれとその身をばイラクにささげし大和男よ  弁慶 12月2日 12時36分
       
5191  金槌を持てばすべては釘に見えイラクの砂に釘は埋もるる 真奈 12月2日 14時59分
       
5192  悲しきは弓手(ゆんで)に聖書馬手(めて)に剣神の御心知らぬ人々 冬扇 12月3日 09時57分
       
5193  奢り尽く二十世紀の果てのなき史上怪なる人間われも  蘇生 12月3日 18時20分
       
5194  清明の果てなく青き冬空へ魂抜けて向かって行った 海斗 12月6日 11時40分
       
5195  柿簾その白き粉ふく狭間より祈るがごとし群青の空  12月6日 16時11分
       
5196  殉教(ジハード)は人を殺める言の葉かイラクの空は今日も群青  弁慶 12月6日 17時28分
       
5197  十二月八日日本十二月七日アメリカ今日雪曇り ぽぽな 12月8日 07時18分
       
5198  行く手には炎にもえる黄葉の光まといて大公孫樹立つ  蘇生 12月8日 18時47分
       
5199  大銀杏散る直中に立つ君は印度より来しザビエルの末裔(すゑ) 丹仙 12月8日 23時51分
       
5200  黄葉に夕日影さす大公孫樹こがね吹きたる曼荼羅華かな  蘇生 12月9日 06時31分