第113回桃李5月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:祭、幟、筍

初夏の句 雑詠または題詠
兼題1:  「祭」
兼題2:  「幟」
兼題3:  「筍」

句会の日程は

 5月15日 (日)    投句受付開始
 5月22日 (日)24時 投句締切、翌日選句開始
 5月29日 (日)24時 選句締切
 5月31日 (火)    披講

投句: 白馬、芳生、素蘭、青榧、やんま、ぽぽな、康、顎オッサン、葉子、毬栗、双六、馬客、東彦、雪女、雛菊、潮音、伊三、童奈、わたなべはるを、悦子、晴雨、英治、柊、佳音、愛子、明子、治男、梵論、水、素人、庚申堂、月雫
選句: 英治、やんま、雛菊、雪女、わたなべはるを、芳生、伊三、木菟、佳音、東彦、柊、童奈、潮音、青榧、月雫、悦子、康、毬栗、治男、葉子、庚申堂、梵論、馬客、水、ぽぽな、双六、明子、素蘭、愛子、虹子

披講

・16点句

父の眸に力戻りし祭笛  愛子
<やんま(人)>
老いの父も数々の祭を経てきた。
祭笛が聞こえるとまたしても心が騒ぐ。

<潮音(天)>
お父上はなにかお仕事や生活で疲れることがあったのだろうか、ご年齢的なものであろうか。父上の半生や作者の父上への思いなど含蓄深い一句。祭の呼び覚ます人間の根源的なエネルギーという「祭」のこころを正面から描いて、見事に成功しておられると思う。

<悦子(人)>
祭りの持つ不思議なエネルギ-を感じます

<治男(天)>
老いた、或いは病弱の父でしょうか。祭笛に「眸に力戻りし」で父の過去の活躍や思い出が蘇ってきているようです。

<庚申堂(天)>
年を取ったのか病気なのかでもお祭りが好きなのですね。

<素蘭(地)>
祭り囃子の魔術でしょうか
お大切に

<虹子(天)>



・14点句

紅つけて眠る母の背祭りの子  双六
<芳生(人)>
祭りのなかでいつのまにか眠ってしまった子供。

<童奈(地)>


<月雫(天)>
遊びつかれて、きっと良い夢を見ているんでしょう

<毬栗(天)>
幼子の愛らしさが際立ちます。

<素蘭(天)>
疲れて眠る幼子をクローズアップで活写
ちょんと紅をさした唇とふっくらしたほっぺが愛らしい

<愛子(地)>
遠い思い出の祭は何時も父の背中でした


・13点句

断ち割って筍の闇解き放つ  双六
<わたなべはるを(天)>
言われてみれば、筍に「筍の闇」がある。「筍の闇」と捉えたところが手柄。
その闇を「解き放つ」と感じる感受性の豊かさ。

<佳音(天)>
あの小部屋は秘密めいています。

<東彦(天)>
地中の闇の中に英気を蓄えていた筍の勢いを割ることにより解き放つ。

<柊(人)>
心象句としていただきました。

<馬客(天)>
確かに、竹の節と節の間には「闇」が封じ込められている。
筍のそれも幼くしてすでに「闇」であり、真っ向唐竹に
割れば節間の「闇」はそれぞれ解き放たれる。
凄い句だ!!。


・11点句

筍を包む地方紙見入りけり  青榧
<雛菊(天)>
ありますね、こういうこと。主役の筍よ、しばし待てと。楽しいのですよね
地方紙。ちょっと汚れて読みにくいんだけれど。

<童奈(人)>


<治男(地)>
故郷か思いのある地方の新聞でしょうか。贈られた筍を置き、新聞に見入っている
作者の様子が見えてきます。

<水(地)>
その地方とは、めったに帰らない郷土のことかな。母親の帰れコールの演出にはまった感もある。

<愛子(天)>
懐かしい故郷からの宅配便でしょうか


・10点句

筍とともに猫の子貰われし  康
<佳音(地)>
かたやぶらさげて、かたや大切に手の中。

<柊(天)>
筍をくださった方の気持ちがわかる気がして面白い。

<童奈(天)>


<双六(地)>
可愛らしい。昔はよくこんなことがありました。


・9点句

甲斐駒を水底に置き鯉幟  双六
<伊三(地)>


<佳音(人)>
勢いと景色が好きです。

<青榧(天)>


<康(天)>
大きな景ですね。勇壮な鯉幟が目にうかびます。


・8点句

茅葺きの二間打ち抜く初幟  晴雨
<雪女(天)>
めでたい!

<ぽぽな(天)>
「二間打ち抜く」が鯉幟の大きさを伝えるだけでなく、初めての節句を祝う喜びを伝える。

<明子(地)>
初幟の嬉しさが、二間打ち抜く、によく表れていると思います。


・7点句

筍を下げし夫と坂で遇ふ  雪女
<悦子(地)>
情景が浮かびほのぼのとして気持ちのいい句だと思います

<梵論(天)>


<馬客(地)>
息子に替って入試の合格発表を見に行った父、
帰りが少し遅いので母は途中まで行ってみる、
ちょっと重そうに、筍を提げた夫が坂を登ってくる。
母は子の合格を直感する。
こんなコンテはいかがでしょう?。


・5点句

釜底のおこげ香し筍飯  雛菊
<やんま(天)>
おこげの香で筍の香が倍増。
醤油をちょっと振って、これはおいしそう。

<芳生(地)>


たかんなの押し戻したる刃かな  毬栗
<英治(天)>
思いに反して薹が立っていたか。

<葉子(地)>
たけのこを切るときの手に伝わってくる感触がよく表現されている。


・4点句

筍や男捨てたる物語  素蘭
<明子(天)>
竹取物語はたしかに男を捨てる物語。潔い言い切りが爽快です。

<愛子(人)>
そう言われればそうですよね 面白い

廃校や藤の花房重く垂れ  葉子
<青榧(地)>


<虹子(地)>


単線の駅のにぎわひ夏祭  毬栗
<雪女(人)>
かえって普段のひっそりとした駅周辺が感じられます。

<伊三(天)>


同じ日に生れて揃ひの祭髪  佳音
<雛菊(地)>
双子ちゃんのかわいらしさ。髪に注目したのですね。

<康(地)>
小学生の双子の姉妹でしょうか。すこし化粧もしてもらって、はにかむ姿もも目に浮かびます。

春祭あのひょっとこはわが亭主  庚申堂
<木菟(天)>
何とも言えないおかし味、笑ってばかりじゃ居られないけど。

<梵論(人)>


をとこ吹く笛は荒ぶる宵祭  月雫
<わたなべはるを(人)>
夜の更け行くに従い、ますます祭も盛り上がってくる。男たちの心も体も祭と一体になってくる。祭の醍醐味を詠ってみごと。

<双六(天)>
宵祭りの雑踏と笛の音の興奮が響いてくるようです。

縺るるも解るるもよし祭髪  ぽぽな
<葉子(天)>
祭りの熱気が感じられる。臨場感あり。

<庚申堂(人)>
ちょっと意味深で・・・。


・3点句

下駄の音合図に逢ひし祭の夜  雪女
<柊(地)>
ロマンチックで良いと思う。

<明子(人)>
桂信子の句を思い出しましたが、初々しさに惹かれました。

背そろふ印半纏夏祭  童奈
<芳生(天)>
祭りの様子がよく出ている。

つながれて自由を歌ふ幟かな  英治
<水(天)>
妻の尻にしかれて、安堵している亭主。その他、パラサイト族の深層心理。

はためくもへの字の口や武者幟  素蘭
<月雫(地)>
風の清々しさとへの字口とのミスマッチがおもしろいです

<葉子(人)>
せっかくの武者ぶりもへの字の口になっては哀れにもおかしい。ユーモラスでよい。

進級子筍と脛比べをり  梵論
<雪女(地)>
光景が目に浮かんで笑ってしまった。

<水(人)>
背比べならぬ、脛比べがおもしろい。

大盛りの竹の子めしや二浪の子  馬客
<悦子(天)>
竹の子飯と二浪の子の取り合わせに親の気持ちがこめられた良い句だと思います。

火星では筍はキピクプと言う  ぽぽな
<潮音(地)>
そ、そうだったのか。知らなかった。

<馬客(人)>
これだから桃李句会はやめられないのです。愉快愉快。
これを「てれすこ俳句、」とか「伊勢の浜おぎ俳句」とか
申します。


・2点句

筍のはじめのひと突き土を盛る  月雫
<木菟(地)>
それは誰も知らない情景だけど。

筍や雲を脱ぎゐる伊吹山  芳生
<ぽぽな(地)>
近景の筍と遠景の伊吹山を合わせ景の大きな句となった。「雲を脱ぎゐる」が効いている。

筍を雪駄で探す祖父の顔  白馬
<東彦(地)>
雪駄で「探る」の方が感じが出ないか。

知らずして祭りの中に巻き込まる  柊
<わたなべはるを(地)>
素直な句で好感が持てる。いつの間にか、祭りの渦の中にいるってこと、
祭りならではの寸描。

幟立つ豊川稲荷の朱の鳥居  素人
<毬栗(地)>
紅い鳥居とのぼりの立つ空の青の対比が美しい。

風止んでくたんと下がる鯉幟  雛菊
<庚申堂(地)>
「くたん」が感じ出ています。

筍のずずずずずんと雨に伸ぶ  悦子
<伊三(人)>


<月雫(人)>
「ずずずずずん」が生きてます

堰の夏正木ゆう子の寝そべりぬ  治男
<やんま(地)>
寝そべってきく夏の堰音、
詩人にまた一句が湧出した。

丸顔の武者絵りりしき初幟  月雫
<梵論(地)>


声張りて手締めつぎつぎ祭果つ  明子
<英治(地)>
いなせな若い衆の勢いを感じさせる。


・1点句

たかんなと呼ばれたう無き五尺半  佳音
<素蘭(人)>
五尺半は計算したところ約167cm
確かに竹の「子」と呼ぶには微妙なところですね

筍の皮の乾くや道の駅  わたなべはるを
<毬栗(人)>
道の駅に並べられた筍の時間の経過が分ります。

筍の臍の緒に打つ楔かな  潮音
<康(人)>
筍の臍の緒?、そうか、そうだったのかと納得させられました。

筍の男顔して掘られをり  愛子
<虹子(人)>
筍の男顔ってどんなだろう?
と、思いながらいただきました。

半纏の肩上げ解きて子の祭  馬客
<ぽぽな(人)>
子供の成長を喜ぶ親の仕草、祭りにはしゃぐ子の表情も感じることができる句。

吹流しがおまへと言はれ長女かな  明子
<潮音(人)>
なぞなぞのような味わい。大きな真鯉よりも上。理屈といわれようがなんと言われようが、長女は一番上。それで良いのだ。

顔ほどの筍抱え一年生  素人
<雛菊(人)>
大きな筍を両手で一生懸命抱えている一年生。
一年生だからこの句がいきるのです。

ベランダに斜めに泳ぐ鯉幟  青榧
<木菟(人)>
せめてその位のことはしてあげたい。

祭り囃子俄に雷もとよめいて  葉子
<東彦(人)>
祭囃子のおどろおどろしき音調が雷を呼び寄せるのか。

大波を受けたる如き神輿かな  晴雨
<青榧(人)>


筍を茹でて曇らすガラス窓  柊
<治男(人)>
厨房の情景ですから女性でしょう。筍料理に精を出し、ふと見れば、と言う感じが
何気なく、良く表現されています。

留年の子の束帯や賀茂祭  潮音
<双六(人)>
賀茂祭と留年の取り合わせがよかった。

若鮎のわかあゆに水零れけり  顎オッサン
<英治(人)>
まだぴちぴち跳ねている鮎をひとつ摘まみ上げれば・・。