第126回桃李6月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:簾、蝸牛、蹴球(不言題)

夏の句 雑詠または題詠

兼題1 「簾」 
兼題2 「蝸牛」
兼題3 「蹴球(サッカー)」(不言題)

句会の日程は
6月12日 (月)    投句受付開始
6月19日 (月)24時 投句締切、翌日選句開始
6月26日 (月)24時 選句締切
6月28日 (水)    披講

投句: 葉子、松風子、満太郎、梅雪、芳生、英治、双六、れん、素蘭、潮音、ぽぽな、わたなべはるを、馬客、悦子、たま、佳音、鞠、治男、連、康、伊三、柊、雪女、童奈、雛菊、明子、半可、月雫
選句: 芳生、雛菊、雪女、葉子、柊、悦子、双六、佳音、鞠、童奈、半可、れん、馬客、英治、わたなべはるを、伊三、治男、ぽぽな、連、素蘭、月雫、郭公太、たま、松風子、明子、康、潮音

披講

・17点句

蝸牛関東平野を進みけり  雪女
<双六(天)>
小さな蝸牛と雄大な関東平野、雨ではなくて夏雲が湧いているような…

<れん(人)>
蝸牛関東平野を進みけり--蝸牛.関東平野の対比を.進みけり、、伸びやかにもとれるし、大変だにもとれる、読む人しだい? <天地人、初めてですみません>

<英治(天)>
面白い。類句がありそうだが。

<ぽぽな(地)>
関東平野、と大きく捉えたところが成功。蝸牛との大きさの差が面白いですね。
[21]:かたつむり還暦などは青艸し:のあっけらかんとした感慨も面白かったです。青くさしと、かたつむり、響いています。頂きたかった。

<素蘭(地)>
広大な関東平野ゆえ遅々として進まない蝸牛、いま何処?

<たま(天)>
小さなそして遅々とした蝸牛と大きな関東平野との取り合わせのおもしろさ。地球規模で見たら人間もこんなものだろうな・・・と思いました。

<康(天)>



・14点句

地平より雲沸き上がる蝸牛  ぽぽな
<芳生(天)>
雄大な景のなかの蝸牛。大と小との対比。

<わたなべはるを(天)>
俳句の骨法のしっかりした句。大小の対比が大景をみごとに描写した。

<たま(地)>
地平線が見えるところというと日本ではないような・・・雄大なものと小さなかたつむりの取り合わせが面白いと思いました。句形もすっきりしていて良いと思います。

<松風子(天)>
大景のなかの小さきものを捉えた状景が見事

<潮音(天)>
夏雲奇峰に多し。蝸牛にも夏の雲。雲の峰を配した雄大な構図にちょこんと置いた蝸牛。この取り合わせは抜群に面白いですね。

(「雲沸く」と「雲湧く」の異同については広辞苑をひくなどして調べましたが、結局わかりませんでした。雲は水蒸気が露点に達して小さな水滴になるのですから水が沸点に達して気化するのとは逆ですが、かといって泉が湧くように地中から湧出するものではないし・・・。比喩とすると、作者の表現どおりで、この句の雲は、地から湧き出るような雲よりも水面が沸き立っているような雲が似合ってるような気もします。)

青簾畏まる子の膝頭  双六
<柊(地)>
青簾の掛かっている部屋に緊張して行儀よくしている子供の姿が目に浮かびました。

<童奈(天)>
少年の日の自分がそこにいるような。

<半可(天)>
初夏の素直な爽やかさ。

<ぽぽな(天)>
うーん、「膝頭」がうまいですね。取らざるを得ないです。
そのほか、頂きたかった簾句です。
[66]:降る前の風に捲れる簾かな:夕立のまえのむんむんとした空気を感じさせてくれる佳句。
[39]:簾へと入つていつてそれつきり:あとの想像ご自由に!の突っぱね方に味あり。

<月雫(地)>
畏まった、くすぐったそうな膝頭が青簾に微妙に合ってます。

<たま(人)>
叱られる前?それとも知らないおうちで緊張しているのかな?
膝小僧に絆創膏が貼ってあったりして、微笑ましい句でいただきました。


・10点句

簾へと入つていつてそれつきり  月雫
<れん(地)>
簾へと入つていつてそれつきり--何か70番と共通性を感じる、戻ってくると思って待った。けど、それっきりのおいてけぼり、かわされた思いかひようひようとしたものを感じる。

<連(天)>
風に吹かれて気の向くままに、こう言う生活好きです

<素蘭(天)>
何と奥ゆかしい
西洋ならばかのカテリーナ・スフォルツァの武勇伝ともなるところ
(美しき伯爵夫人にCHEERS!)

<康(地)>



・8点句

いささかも簾の奥を疑はず  英治
<葉子(天)>


<双六(人)>
そう、ドアなんかなくても誰も覗きはしない。
大丈夫、二人のことだもの。

<半可(人)>
些かならず疑って。

<連(人)>
鬼が出るか、蛇が出るか。信じないとやってけませんよね。

<素蘭(人)>
「いささかも」というのが曲者で
「簾の奥」に対する疑念が芬芬
しかも「簾の奥」って・・・?と妄想までシンクロして…

<康(人)>



・7点句

山水の音を入れたる簾かな  わたなべはるを
<芳生(人)>
谷川の近くでしょうか。涼しさが感じられます。

<柊(人)>


<佳音(人)>


<治男(天)>
綺麗な情景が見えてきます。簾が生きております。
「音を入れたる」が擬人法になっているのが、少し気になります。

<松風子(人)>
文章部分が季語と照応しています

道草の言ひ訳となり蝸牛  雛菊
<葉子(地)>


<治男(地)>
 諧謔味があり、痛快な句ですね。「言ひ訳」が「蝸牛」とは
反撃の言葉も無いでしょう。

<月雫(天)>
蝸牛を眺めていれる心の余裕が憎いです。


・6点句

かたつむり石碑の裏のかすれ文字  松風子
<佳音(地)>


<童奈(地)>
かたつむりの這った跡も見えてくる。

<郭公太(地)>
24]:かたつむり石碑の裏のかすれ文字
苔むす石碑のかすれ文字。
ちょうどよい湿気でかたつむりは、居心地よさそう。

見しことも見ぬことにして古簾  馬客
<童奈(人)>
古簾が効いている。

<れん(天)>
見しことも見ぬことにして古簾--よくある、生きるうえの知恵か。関わり過ぎても苦しい、無関心も辛い、古簾にたくし、真理がさらりと、洒脱な句とおもつた。

<英治(人)>
含蓄のある句。

<月雫(人)>
簾越しのすっとぼけた表情が見えるようです。古簾が古狸っぽくて良いですね。

湯上がりの足もと見ゆる半簾  治男
<悦子(天)>
艶っぽい存在感のある句ですね

<鞠(天)>
 「半簾」がなんとも艶めかしい。


・5点句

みづうみを一望にして蝸牛  たま
<雪女(人)>
蝸牛が大きく見える。

<馬客(地)>
おおきい対象から一点に収斂させて行く、
その一点から又おおきい対象に意識は戻って
行く。句作りの基本1でしょうか。
同様の句の内この句が一番この季語を活かして
いると感じました。

<英治(地)>
広がる景色と蝸牛との対比。

青簾なにやらかじる留守居の子  佳音
<雛菊(天)>
想像力を喚起させられるなあ。なにやらって何?

<潮音(地)>
「食べる」ではなく「なにやらかじる」。この表現は流石。壁を向いてちょっとすねたような留守番の子。さて、この子は何をかじっているのでしょう。わたしは、グリコのビスコに一票。

カルピスをかきまぜる音青簾  ぽぽな
<馬客(天)>
実にさわやか、
そのままTV・CMになりますね。

<伊三(地)>



・4点句

運慶のゴールキーパー夏盛り  双六
<悦子(人)>


<伊三(天)>


角伸ばし山門仰ぐ蝸牛  芳生
<柊(天)>
蝸牛と山門の高さの間合いがよいと思いました。

<郭公太(人)>


蝸牛昨日の朝と同じ場所  月雫
<鞠(人)>
 蝸牛は寝ても覚めても、無音界に在るごとく。

<郭公太(天)>
昨日も雨だった。そして今日も。
縁側から見えるあじさいの葉に、今朝も蝸牛がいたんだな。

枕辺にサッカーボール昼寝の子  わたなべはるを
<雪女(地)>
サッカーもこのくらいの時がいい。

<鞠(地)>
 しっかりお昼寝して、深夜のW杯の実況中継に備えているのかな。


・3点句

闘いのあとのゴールや夏の月  康
<芳生(地)>
「兵どもが夢の跡」のグラウンドに煌々と照る月。

<ぽぽな(人)>
熱狂と静寂、劇的な時間経過を捉えました、夏の月の光がその静寂を一層引き立てます。

簾上ぐ腕のしろき夕山河  康
<雪女(天)>
鏑木清方の絵を思わせます。

でで虫の思案の一歩の光かな  満太郎
<半可(地)>
時として、かたつむりが光の集まりに見えて。

<馬客(人)>
たしかに、でんでん虫は思案してます。

でで虫や白川郷の雨やまず  童奈
<佳音(天)>


かたつむり還暦などは青艸し  梅雪
<明子(天)>
かたつむりには時の流れをゆったりと遅らせてくれる不思議な力があるような気がします。そう、還暦なんてまだまだ青春真っ只中・・・


・2点句

蹴り込みて斜めに夏至のゴールかな  英治
<松風子(地)>
夏至のゴールが効いています

簾吊る傘雲脱ぎし伊吹山  潮音
<明子(地)>
夏が近づいているという感じがよく伝わってきます。
季節が移り変わる微妙な感覚が捕らえられていると思いました。

簾巻き伊吹の風を入れにけり  芳生
<悦子(地)>
さわやかな気持ちの良い句ですね

大経を書写し了りて青簾  梅雪
<双六(地)>
一陣の涼風を感じます。

蝸牛の崩されやすき普請かな  素蘭
<雛菊(地)>


飛び込んでヘディングシュート夏つばめ  童奈
<治男(人)>
 燕なら、いかなるキーパーも寄せ付けず、ゴール
間違いなし。ドイツにも燕がいれば良いですね。

<明子(人)>
夏つばめがいいと思いました。

緑陰にサッカーボール忘れられ  たま
<わたなべはるを(地)>
寂しさの残る句。
日本が負けたせいかも。

株の値の上下蝸牛の這うごとし  葉子
<連(地)>
身につまされます


・1点句

朝市の泥のキャベツにかたつむり  明子
<雛菊(人)>
素直な句で好き。

硫黄島蔦が簾の灼熱濠  連
<伊三(人)>


夏星や声援遠く浜にあり  芳生
<葉子(人)>


ぬるきもの拒む少女や竹簾  雪女
<潮音(人)>
「あんまり冷たいのだとお腹こわすからこれでいいの」
「やだ、氷入れたのがいい」

蝸牛童女のゆびが眼の前に  康
<わたなべはるを(人)>
情景の見える句。