第15回12月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:灰皿、唇、クリスマス

冬の句(雑詠)または題詠
有言の題詠(その言葉を使う)は「灰皿」または「唇」
不言の題詠(その言葉を使わずに、心を詠む)は、
「クリスマス」です。

12月15日(火)投句受付開始
12月22日(火)投句締切
12月29日(火)選句締切、披講

投句: 重陽、香世、葉子、ゆかり、木菟、雲外、涙笑、楽人、悠久子
選句: 重陽、葉子、雲外、涙笑、松、六鬼、木菟、香世、悠久子、東鶴

披講

・12点句

浮き島に並びて鴨の胸丸し  香世
<重陽(天)>
まざまざと光景が浮かぶ。「胸丸し」が何ともお見事。

<葉子(天)>


<雲外(天)>
水面にさざ波を立てる寒風が、鴨の胸のやわらかな羽根を震わせている。
そうですね、確かにその胸は丸い。
旬の鴨の胸肉、これがまた旨いんですね。

<東鶴(天)>
鴨は伝統的な季題、万葉の時代は「鳴く鴨」が、古今以後は霜夜の寒々とした佇まいに「寄水鳥恋」の歌として、俳諧では、更に食材として、様々に詠まれました。
芭蕉の「海くれて鴨の声ほのかに白し」は絶品。鴨を詠むのは、それだけに難しいところですが、この作品は「胸丸し」に新味があります。


・11点句

寒靄の鐘幾重にも京の宿  重陽
<葉子(地)>


<雲外(地)>
冬の京都は、また独特の情趣ですね。盆地だから鴨川沿いは、
冬でもガスることがある。鐘の音も重々しく響く。
一人旅の哀愁ここに尽きる。
字面の話ですが、「幾重」はいかにも重いから、
「鐘いくへにも京の宿」の方が、というのは選者の趣味か。

<木菟(天)>
 「京」の地名が出ると、もうそれだけで何とも言えない、情緒が浮かんできます。
日本人の原点であるような、社寺の群、町並み、そして遠くかすむ山並み、鐘の音が
響いてきて、靄が立ちこめている。もうそれだけで充分絵になります。

<香世(天)>
除夜の鐘。
京都で、お正月、いいなあ!

<悠久子(人)>
京都で越年したことが一度だけあります。
この句は、ホテルではなく「宿」なのですね。
京都の情緒があふれています。


・6点句

風花や唇に触れふっと消え  葉子
<涙笑(天)>
一瞬のはかなさが良く出ていてとても詩的で良かった(*^。^*)ポッ!!

<松(人)>
大したもんじゃなかったんだといいきかす。

<木菟(人)>
 「風花」美しい言葉ですよね。それが如何にもはかなげに、舞い落ちてきて、唇に
触れて消えて行く。何気ない情景を取り上げて、つかの間の「生」が感じられるよう
な気がします。

<東鶴(人)>
いかにも女性的な感覚に溢れた句です。風花の儚く消える一瞬を
肉感的に捉えました。作者は、見上げた空の中に
子供の時の情景を回想しているのかも知れません。


・3点句

靴下のなるほど大きなイブの夜  香世
<松(天)>
無理にでもいれてやろうとする親心

熱燗の唇の辺に香りける  重陽
<悠久子(天)>
これは熱燗でなければならない句なのでしょう。
冷やでは勿論、人肌の燗でもいけない。
熱燗の酒だから、唇で香を感じる。
それほど呑めないのですが、味は日本酒もワインもスコッチも分るつもりです。

辞めたしとつね思ひつつ花八つ手  木菟
<重陽(地)>
配合の妙。花八手の陰鬱さと思いが交錯して、心の襞が伝わってくる。

<雲外(人)>
会社というのは、ぬるま湯と同じで出ると風邪を引きそうだし、
じっと浸かっているしかないもの。
分かりますねえ、その気持ち。う〜ン「花八つ手」ですか、感心しました。

灰皿を 鳥寄せにして 冬籠もり  雲外
<重陽(人)>
近くに寄ってくる冬鳥に注ぐ視線と温かい心持ちが伝わる。灰皿を上手に詠んだ句。

<木菟(地)>
 あり合わせの灰皿、庭にやってくる小鳥達には、それで充分です。おまけに冬ご
もりの炬燵の中から、不精して小鳥達の生態を眺めている、人生無事、世捨て人の
心境です。


・2点句

灯ともせば俄に赫しポインセチア  葉子
<香世(地)>
冬、この時期、室内にはポインセチアです。
帰ってきて、灯をつけたときの鮮やかな赤。しゃきっとします。

河豚くらひ くわへ楊枝や 人形町  雲外
<六鬼(人)>


<香世(人)>
なぜか、中年になると楊子が必要になりますね。
河豚鍋を食べて、身体はほかほか。ちょっとほろ酔いでいい気分。
最終電車は間に合いますか?

寅さんも タコ社長も逝き 年暮るる  雲外
<松(地)>
始めてみたのは二十数年まえ。あんなに笑ったことは久しくない。

風邪医者に呆うけのごとく口開けり  香世
<涙笑(地)>
情景が浮かぶよう(^o^)。。 自分を想像してもおかしい。

冬雷にひびきあひたるひとのこへ  涙笑
<東鶴(地)>
「雷」は昔は季感の薄いものとして「雑」扱いでしたが、
近代になって夏の季語として定着しました。
冬雷または寒雷は、何か「異様な」印象を与えるものとして詠まれることが
多いようです。この作では「ひびきあひたる」人の声を配し、ありふれた日常の風景が「寒雷」によって一変する様を捉えました。

凍夜苦吟灰皿たちまちあふれたり  葉子
<悠久子(地)>
お酒はともかく、煙草だけは大嫌い、煙で気分が悪くなるのですが
この句は頂きます。
考えがまとまらない時、愛煙家はいいですね。
締切り間際の雰囲気がよく表われている、そんな感じです。


・1点句

外套の早瀬のごとく駅に向く  重陽
<葉子(人)>


粉雪の中くちびるを重ねたり  悠久子
<涙笑(人)>
[恋する俳句」ってかんじでよいです。(*^_^*)