第154回桃李10−11月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:紅葉、白鳥、七五三

晩秋または初冬の句 兼題または雑詠

兼題T 紅葉
兼題U 白鳥
兼題V 七五三

投句開始  11月12日(水)
投句締切  11月22日(土)24時 翌日より選句開始
投句締切  11月30日(日)24時
披講    12月 1日(月)

投句: 芳生、剛、旻士、馬客、恵、柊、春愁、童奈、素人、明子、素蘭、ぽぽな、丹仙
選句: 柊、素人、旻士、芳生、剛、ぽぽな、童奈、恵、春愁、馬客、素蘭、明子、丹仙

披講

・8点句

列車過ぐ風を離さぬ花芒  春愁
<旻士(地)>


<芳生(地)>
列車が過ぎてもいつまでも揺れている薄。

<ぽぽな(天)>
「風を離さぬ花芒」の表現が秀逸です。

<童奈(人)>


珈琲の沈黙二つ蔦紅葉  ぽぽな
<素人(人)>
気まずい沈黙なのか。いや、そうではありますまい。
蔦紅葉に見とれての沈黙なのでしょう。

<芳生(人)>
蔦紅葉が二人の沈黙の効果を高めています。

<春愁(人)>
仲違いの恋人同士か、年配の夫婦同士か、なぜか喫茶店での沈黙
これからの行方は・・・意味深なところ

<素蘭(天)>
琥珀色の沈黙に映える蔦紅葉
「二つ」は「ふたつ」が視覚的に美しい

<丹仙(地)>
物語を感じさせる句ですね。


・7点句

紅葉の比叡を仰ぐ一会かな  芳生
<柊(天)>
美しい紅葉の比叡山を眺めることが出来た感動がこの句に現れている。

<春愁(天)>
広がりがある。秋に一度の集い・・・心地よい句

<丹仙(人)>
丈の高い句であると思う。比叡山の紅葉は一段と美しい。

赤壁の空翔けゆくや大白鳥  丹仙
<素人(地)>
景が大きくて気持ちが良いです。

<春愁(地)>
赤壁の古戦場、曹操が姿を変えて白鳥に・・・赤と白色の対比もいい

<馬客(天)>
想の世界の大きさがいい。
技巧的にも赤・青(空)・白と配して絵画的面白さを
出されている。


・5点句

足袋の鞐はずれしままや七五三  春愁
<芳生(天)>
普段履き馴れない足袋を履いた子供の姿が見える。

<素蘭(地)>
晴れ着着せても七五三の子
スキップで快快的

白鳥やいい夫婦の日過ごしをり  童奈
<素人(天)>
11月22日ですね。 そうありたいものです。 特に定年後は。

<恵(地)>
11月22日は「いい夫婦の日」。 つがいの白鳥というより、人間の夫婦が寄り添って見物しているのであろう。パンダやいるかではなく、白鳥なので、夫婦の来しかたが輝いて見える。

夕映えを攫ひてゆけり椋鳥の群  芳生
<旻士(天)>


<ぽぽな(地)>
中七の韻律がすこしもどかしいので「攫つてゆくや」とする方が好みですが、この情景はクラッシックで貴重です。


・4点句

枯枝に鴉ばかりの下界かな  剛
<素蘭(人)>
♪下界ではカラス科のサクシ家が増えている
♪ケサきた雲上のトト様にシバカレた
♪だけども本題はナチの敵
♪ゲイがある
なんちって…

<丹仙(天)>
「枯れ枝に鴉」といえば芭蕉を思い出すが、芭蕉の句が、下から見上げている視線とともに、どこか侘びしく孤高なる印象を与えるのに対し、この句は群れている鴉が枯れ枝にとまっているところ上から見ているという点、したがってその鴉はむしろ世俗の印象を与えている点にユニークさを感じる。


・3点句

桜紅葉郵便受に入りゐたる  明子
<童奈(天)>


七五三帰りは靴に履き替へて  柊
<童奈(地)>


<恵(人)>
七五三の句には、長い袂などがよく詠まれるが、この句の焦点は足元。履き慣れないぽっくりでの苦労が思い出され、さもありなんとうなづいた。
ユーモアへの拍手で「地」に限り無く近い「人」ということで。

七五三跳ねるな汚すなぷっぷくぷう  旻士
<恵(天)>
坪内 稔典氏によれば、「歴史的に言えば、俳句そのものが破格の滅茶苦茶をエネルギーとしている」とのこと。掲句はその意味で成功していると思える。下五がなんとも愉快ではないか。

素数かつ陽の斎ひ児七五三  素蘭
<剛(天)>
素数という言葉が妙に面白かった

紅葉谷まもなく湖に沈む村  素人
<明子(天)>
美しいがゆえに現実の厳しさを強く感じさせます。


・2点句

七五三写真の知らぬ過ぎし日々  恵
<馬客(地)>
遠い過去の自分を見る今の自分。
写真の中には、これからの人生を何も知らぬ自分が居、
その全てを知っている今の自分がここに居る。

白鳥や港に古き連絡船  剛
<柊(地)>
連絡線とおそらく毎年現れる白鳥の取り合わせが良いと思います。

振袖の引きずってゆく千歳飴  素人
<明子(地)>
ありがちかも知れませんが、やはり可愛らしいです。


・1点句

晴れていて閑散として七五三  馬客
<旻士(人)>


飛来せる白鳥湖に着水す  素人
<明子(人)>


紅葉狩奥へ奥へと誘われり  童奈
<ぽぽな(人)>
普遍の情感がありシンプルかつディープなつぼに触れています。

紅葉して命なりけり今朝の木々  馬客
<柊(人)>
紅葉して耀いている木々の力が感じられました。

紅葉かつ散りゆくなかを美術展  丹仙
<馬客(人)>
「紅葉且つ散る」という季語は、使うに大変難しい季語じゃないかと
思われますが、ナルホド、こう使えばいいんですね。