第157回桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:針供養、旧正(月)、バレンタイン(不言題)

兼題または当季雑詠

兼題T 針供養
兼題U 旧正(月)
兼題V バレンタイン(不言題)

投句: 素人、悦子、芳生、馬客、愛子、素蘭、春愁、鞠、柊、英治、治男、明子、月雫、丹仙
選句: 芳生、柊、鞠、英治、素人、悦子、馬客、素蘭、愛子、治男、明子、月雫、春愁、丹仙

披講

・22点句

畳屋の肘の年季や針供養  月雫
<柊(天)>
畳屋さんが肘を付いて針を使う様子が目に浮かびます。。畳も針仕事も少なくなって、こんな光景を見る事が少なくなっていますね。

<鞠(地)>
 長年お世話になっている畳屋さんの、卒寿過ぎても現役のおじいさんの
肘の大きな胼胝が目にうかびました。

<素人(天)>
畳屋も針供養はせねばならんでしょうね。忘れていた視点でした。

<悦子(天)>
畳屋だった義父の巧みに操る長い畳針と仕事場の様子を懐かしく思い出しました。

<素蘭(天)>
作者の眼ぢからにも天

<愛子(地)>
今は機械での仕上げが多いと聞きますが
肘に年季がみれらるほどの職人さんなら多分この日はお休みでしょう

<治男(天)>
畳張りには肘を使って作業をしていたので、
肘が硬くなり、瘤が出来ていた。
畳針だけでなく、そんな職人の、労もねぎらい
針供養が祈念されている、情景がでている。 

<丹仙(天)>
「肘の年季」が言い得て妙ですね。


・8点句

夫の背の春日にそつと触れてみる  愛子
<馬客(地)>
「夫」を「妻」と置き換えてみましたが、
「そっと」にはやはりそぐいませんでした。

<月雫(天)>
暖かさを感じるのは日差しの所為だけではなさそうです

<春愁(天)>
年季の入った夫婦の味わいが滲み出ている

でこぼこの祖母の指貫針供養  悦子
<芳生(天)>
針供養のための針を探そうと引出を開けたら祖母の指貫が目にとまった。そのでこぼこの指貫に往時の祖母が偲ばれる、というような趣旨でしょうか。

<愛子(人)>
つかい込まれ手にしっくりと馴染んだ指貫を懐かしみ
遠き日を思い出してる様子が伝わります

<明子(地)>
針仕事は大の苦手でしたが、きれいに整った針箱のなかを見るのは好きでした。懐かしい過ぎ去った時間です。

<月雫(地)>
年季ある一品を思いました


・7点句

チョコレート溶けぬ寒さでありにけり  月雫
<英治(天)>
なんかいい感じ。

<治男(人)>
 季節感のある句である。

<明子(天)>
バレンタインの思い出は甘いものばかりとは限りません。心の奥がほんのちょっとチクッとしたような気がします。


・5点句

旧正や農家を継ぐと言ふ五男  丹仙
<英治(人)>
まさに安堵の気分。

<素蘭(地)>
旧正月に頼もしくも跡継ぎ宣言
誠に春から縁起の良い話で
おめでとうございます

<治男(地)>
 長男から四男迄でなく、五男が継ぐ事に
 意味があるようだ。戸主の喜びが、目に見えるようだ。
 農家の行事や作業は、旧暦に従うことが、多く、季語が
 良く効いている。

旧正や楽日も近き旅一座  馬客
<鞠(天)>
 楽日といっても、興行期間の短い旅芸人の一座には、旧正が正月本命の
農山村巡りこそ、書入れ時なのかも……。

<春愁(人)>
中七の楽日も近き・・・に何か哀愁を感じる

<丹仙(人)>
配合の妙。

忘れ得ぬかのくつ箱や黄水仙  春愁
<柊(人)>
若き日の良き思いでですね。

<馬客(天)>
うん十年前の新制高校時代をホロ苦く
思い出させてくれました。

<素蘭(人)>
Wordsworthの詩の世界みたい


・3点句

家庭科の得意な息子針供養  鞠
<柊(地)>
微笑ましい句だと思いました。

<素人(人)>
息子さんはしないでしょうから、代わって親御さんが。さもありなんと共感する句です。

旧正の波耀へる鳰の海  芳生
<愛子(天)>
身近に旧暦で正月で祝う事を経験していませんが・・
「旧正の波耀へる」と言う表現に惹かれました

白壁は水と睦みて城の春  芳生
<馬客(人)>
「水と睦みて」が実に春らしい。

<春愁(地)>
春光が水に映えて美しい


・2点句

荒れ沢のここから展け猫柳  明子
<芳生(地)>


旧正の爆竹煙る支那の街  悦子
<素人(地)>
旧正月を祝う中華街の賑わいはなかなかのものです。
ボクは専ら食い気専門ですが。

旧正や東洋人とひとくくり  月雫
<英治(地)>
面白い。

春の日や手作りチョコがどんと來る  丹仙
<悦子(地)>
思わず笑ひました。食べすぎないように。。。

春めきて十四日の小箱かな  素蘭
<丹仙(地)>
チョコレートをあらわに言わぬところが奥ゆかしい。


・1点句

旧正の日差まぶしと思ひけり  明子
<芳生(人)>


義理チョコの置かれ余寒のデスクあり  英治
<月雫(人)>
余寒がミスマッチっぽくてよいですね

漆黒の玄武が絵文字t針祭  素蘭
<悦子(人)>
漆黒の玄武が絵文字が針供養に効いていると思います。

外つ国の旧正月に迷ひ込む  愛子
<明子(人)>
異次元の世界に紛れ込んだ気分ですね。

針供養自分で縫いし和服着て  治男
<鞠(人)>
 母譲りの着物を縫直し、私も針供養に間に合いました。