第16回句会桃李正月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:成人、凧、めでたい(不言題)

新年の句(雑詠)または題詠
(一句は題詠とする)
有言の題詠(その言葉を使う)は「成人」または「凧」
不言の題詠(その言葉を使わずに、心を詠む)は、
「めでたい」です。

1月15日(金)投句受付開始
1月22日(金)投句締切
1月29日(金)選句締切、披講

投句: 佐藤貴子、篠原春香、清三津恵子、大村由香利、岡田あや、中山梨絵、芹澤めぐみ、酒井有紀、勝又美香、坂東友美、塚越由香、菅沼瞳、白石麻衣子、佐藤ゆかり、森田美香子、中村奈未、田本久美子、重陽、葉子、香世、涙笑、楽人、木菟、悠久子、雲外
選句: 重陽、香世、雲外、涙笑、松、木菟、悠久子、東鶴

披講

・10点句

須臾の間に凧は宇宙の点となり  葉子
<雲外(地)>
「須ゆの間に」で、まっしぐらに上がっていった情景を捉えている。
その上「宇宙」(成層圏の外)とやった誇張が効いてます。
「寒空」では「凧」と季重なりだし「大空」ではものたりなですものねネ。

<涙笑(天)>
情景が浮かびます。遠近法がよいです。

<木菟(地)>
 凧糸に限りがあって、そんなに高くあげたことはありませんが、何時でももっと
もっとと思いながらあげています。

<東鶴(天)>
「須臾」とか「宇宙」とかいう大時代的な表現が
そら高く舞い上がった凧の非日常性をよくあらわしています。
下五が「点となり」となっているのも、目に見えぬところで
凧がまだ空に舞っているいるという感じをよくあらわしています。


・4点句

初便りリハビリ友や生気満つ  重陽
<涙笑(地)>
喜びが素直に伝わってきます。

<東鶴(地)>
年賀状にリハビリに励む友を見出す。ああ、こんなにも元気になったか
という安堵感、それにひきかえ、どこも悪くないはずの自分は.....
などと様々な感慨を催しますね。


・3点句

刻々と除夜ぬぐい去る初日かな  重陽
<木菟(天)>
 あまりそんな時間に起きていたことはないのですが、その場に立ち会ったら、き
っとこんな風に感激して初日の出を拝んでいるんじゃないかと、思われます。

式と名のつくもの好かぬ成人の日  楽人
<松(天)>
おおう、おおう。それで一生、とうしてみろ。寂しいぞ。

元旦や我も一茶と呟いて  葉子
<悠久子(地)>
目出度い元日。
(お)めでたい思い。
拍手!

<東鶴(人)>
この軽みがよいですね。一茶とつぶやいた一句に一点進呈。

はたちとは生臭き年と申すべく  葉子
<重陽(天)>
言い得て妙。

氏素性なく生まれ来し注連飾り  木菟
<雲外(天)>
この気分いいですね。注連飾りをきちんとする家が少なくなってきてますから尚のこと。
でも、「氏素性」がないなんて、謙遜しすぎ。
「氏素性卑しく生まれ注連飾り」くらいか。

この吾を 祖父とし綾香 成人す  雲外
<香世(天)>
娘の成人とは違う感慨があるのでしょう。
家系がこうして流れるように次ぎの世代へと伝わっていく。
この吾にして。

大凧や まこと一心 不乱かな  雲外
<悠久子(天)>
大凧の昇り行く様を表して、この上なし。


・2点句

元旦の道路広きや葉の走る  香世
<重陽(人)>
淑気がそう感じさせてくれるのか。共感できる。

<木菟(人)>
 たしかに元日の道路はいつもと違って、車の出足が鈍いようですね。毎年、元日
に仕事をしに行く私もそう感じます。

受けいれて凧みな悠々流れ雲  涙笑
<重陽(地)>
「受け入れて」の捉え方が、面白い。ただ、「受けいれて」と「悠々」が若干重なり合う感じ。悠々を不言にできれば・・。

元日や賢兄愚弟集まれり  香世
<松(地)>
そんなもんだわさ。

年賀状何枚くるか楽しみだ  酒井有紀
<香世(地)>
なんでもない句ですが、いろんな思いが感じられます。
特に若い時はそうでした。


・1点句

成人の記念の印は何処なる  悠久子
<松(人)>
あるわけないじゃん。

凧糸を切って昇らん天までも  楽人
<涙笑(人)>
はち切れそうな気持ちがよく出ています。

君が名を探し並べる賀状かな  楽人
<雲外(人)>
東鶴先生の呼びかけに応じて あえて一句を。
腫れた惚れたという話は和歌の世界で、どうも十七文字には
馴染まないと思っていますが、まどかさんだって失敗していて。

初雪に顔のぞかせる白うさぎ  白石麻衣子
<悠久子(人)>
卯年ですし、「めでたい」に入れても良さそうな。
本物の兎なら、赤い目がきらきらして、耳がぴくぴくして。
雪うさぎなら、ひたすらおとなしく。

初詣今年は何を願おうか  坂東友美
<香世(人)>
初詣は、もう何度目になったろう。叶うなら願うことも多いが。
しかし、運命を引き受けるも、又、良しとしようか。