第160回桃李5月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:新樹、初鰹、母の日(不言題)

兼題T 新樹
兼題U 初鰹
兼題V 母の日(不言題)

5月15日(金) 投句開始
5月22日(金) 投句締切・翌日選句開始
5月29日(金) 選句締め切り
5月31日(日) 披講

投句: 素蘭、芳生、鞠、素人、松風子、英治、柊、ミヌ、愛子、春愁、馬客、月雫、治男、明子、童奈、戯れ子、丹仙
選句: 柊、童奈、芳生、英治、春愁、素蘭、鞠、松風子、愛子、素人、ミヌ、馬客、月雫、明子、戯れ子、治男

披講

・9点句

寡婦長き母へ真赤なカーネーション  鞠
<愛子(天)>


<素人(天)>
元気に長生きしてください の思いが良く伝わってきます。
良くぞ女手ひとつで、これまでにしてくれたとの感謝の念も込められています。

<治男(天)>
 寡婦の母への労り、思いやり、励ましが出ている。


・7点句

新樹光教室の窓開け放ち  明子
<春愁(天)>
さわやかな風がサッと室内に・・・

<松風子(地)>
いかにも明るい光景がひろがります

<馬客(地)>
生きている喜びを児童達にも、と窓を開け放つ。

花道は見得切るところ初鰹  素蘭
<童奈(天)>


<春愁(人)>
今年もまた初鰹が花道で、堂々と大見得を・・。歌舞伎座は今、改築中。

<戯れ子(天)>
初鰹が良い距離で決まりました、見事です。


・6点句

バンジージャンプ新樹の海へ身を投げる  素人
<鞠(人)>
 高所恐怖症でも、こんな素敵な海へなら、身を投げられるかも。

<愛子(地)>


<月雫(天)>
バンジージャンプからの視点という句はみたことがない

寄りてはや昔語りや初鰹  英治
<素蘭(人)>
大皿に豪快に盛り上げた初鰹のたたきを囲んで
昔語も大いに盛り上がりそう

<鞠(天)>
 昔語りに花が咲くのは、クラス会かOB会か。初鰹を平和に賞味しつつも戦時の被爆や飢餓について語り飽かぬのが戦中派です。

<ミヌ(地)>
ほのぼのとした雰囲気が伝わってくるよう。

湖きらり新樹に残る雨粒も  柊
<芳生(人)>
大と小との対比がよいと思います。

<馬客(天)>
樹間に見える湖が光る、枝の若葉の露も光る
刹那の輝き。

<治男(地)>
 遠近があり、それぞれの目線で、よく観察出来ている。


・5点句

そのなかに母の呼ぶ声百千鳥  芳生
<松風子(天)>
百千鳥のさえずりのなかにまじる母の呼び声はある種哀切でもあります

<明子(人)>
母の文字が入ってしまっているのが残念ですが、鳥の囀りの中に懐かしい声があると言う発想が素敵です。

<戯れ子(人)>


若葉雨母の小さき肩敲く  春愁
<芳生(地)>
季語が効いています。

<英治(天)>
素直な良い句。


・4点句

乗り換へのホーム匂える新樹かな  月雫
<童奈(地)>


<春愁(地)>
通勤途上か・・・爽やかに緑風が匂う

花は葉に亡母の齢を指折ぬ  愛子
<素蘭(天)>
享年に後の齢を重ねても
眼裏にうかぶのはおそらく若き日の面影でしょう
「母」の字が出ているので不言題の規定には抵触しますが
「はなははに」「は」の頭韻が「はは」を呼び出す異次元に天

<松風子(人)>
あらためて懐旧の念にとらわれる仕草が出ています

麓よりブラスの響き新樹光  戯れ子
<愛子(人)>


<明子(天)>
金管楽器の晴れやかで明るい音色は、新樹光と良く響きあうと思います。

瞑想の石仏ひとつ新樹陰  芳生
<童奈(人)>


<英治(地)>
情景が浮かぶ。

<ミヌ(人)>
どこかで見たような風景が浮かんできました。


・3点句

黒潮の怒濤とどめる初鰹  松風子
<柊(天)>


四国路を旧婚の旅初鰹  鞠
<芳生(天)>
こんな旅をしてみたいものです。

聖五月瞳の懐かしきアリア像  松風子
<ミヌ(天)>
お母さまのイメージとお母さまを慕う気持ちの両方が、表現された句に感心しました。

畳なはる山の新樹の濃し淡し  童奈
<素蘭(地)>
美しい五月
まほろばの新樹は濃きも薄きもさみどり

<月雫(人)>
「畳なはる」が練れてない気がするが、濃淡への観察力はするどい


・2点句

 かぎろひし母美しく老いにけり  戯れ子
<柊(地)>


クール便にお礼のメール初鰹  柊
<明子(地)>
現代の初鰹の景ですね。

身命に心あらたむる新樹かな  素蘭
<戯れ子(地)>
この時季の新樹はまさに命の輝きです。心あらたまる、分るような気がします。

宙吊りのビルのゴンドラ新樹光  春愁
<月雫(地)>
ビル清掃のゴンドラを詠むというのも面白いが「新樹光」との取り合わせには無理を感じる

バーバにもあげるとカーネーションひとつ  馬客
<素人(地)>
例えついでのこととは言え、素直に喜ぶのが一番です。それだけお嫁さんの教育が行き届いているのだと思えば一家は平和と言うもの。

カーネーションこつそり孫に買はせけり  丹仙
<鞠(地)>
 誰へのカーネーションでしょうか?お孫さんにとってお祖母ちゃま、とは
作者の奥様か、などと愉しいこと!


・1点句

境内のみなぎる木々や新樹光  治男
<柊(人)>


外海の暗きうねりや初かつを  月雫
<英治(人)>
力強さを感じる。

つつがなく終へるひと日や初鰹  愛子
<馬客(人)>
生きていることへの感謝、他の生を頂くことへの
感謝の句でしょうか。

ふるさとの海は青いか初鰹  戯れ子
<治男(人)>
 初鰹より故郷を回想し、季語が生きている。

皆は赤く彼だけ白いカーネーション  童奈
<素人(人)>
母性本能を少し擽られましたね。