第162回桃李7月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:草いきれ、金魚、日記(不言題)

兼題または当季雑詠

兼題T 草いきれ
兼題U 金魚
兼題V 日記(不言題)
7月15日(水) 投句開始
7月22日(水) 投句締切・翌日選句開始
7月29日(水) 選句締め切り
7月31日(金) 披講

投句: 素蘭、鞠、馬客、柊、芳生、素人、松風子、白馬、愛子、春愁、英治、治男、明子、童奈、ミヌ、雛菊、ぽぽな
選句: 春愁、芳生、鞠、英治、柊、松風子、童奈、ぽぽな、素蘭、治男、馬客、ミヌ、愛子、明子

披講

・8点句

赤錆の「立入り禁止」草いきれ  愛子
<春愁(地)>
よく見かける景です。赤さびがいいですね

<英治(地)>
情景が浮かぶ。

<童奈(天)>


<明子(人)>
草の匂いをいちばん強く感じました。

草いきれ抜かれた白球追いかけて  白馬
<ぽぽな(天)>
野球の試合中の一こま。動きがよく見える句です。

<素蘭(天)>
空き地での草野球が盛んだった頃
抜かれた白球を追いかけて探しまわる草っ原
日焼けした顔に吹き出す汗と草いきれがたまりません

<治男(人)>
 草野球であろうか。ボウルを抜かれて、気持ちは
むんむんしていることだろう。季語がよく活きている。

<馬客(人)>
思い出俳句でしょうね、私もこんな小学生でした。

子は母になりて金魚を飼ひにけり  愛子
<英治(天)>
よい雰囲気。

<素蘭(地)>
妙なところがよく似てきて…と微苦笑していそう

<治男(天)>
時と立場の変化が良く表出している。子に対する愛情で
金魚を飼い始めた。良き母親となることでしょう。

猫二十歳金魚十歳夫婦古稀  鞠
<英治(人)>
みんな長生き。

<童奈(地)>


<馬客(地)>
なんだか我が家を詠まれたようで。

<明子(天)>
絶妙のバランスで、ゆったりと時が過ぎてゆくのですね。うらやましい日常と思いました。


・7点句

自分史を俳句で綴る夜の秋  素人
<芳生(天)>
季語が効いています。「自分史を俳句で綴る」が非常によいと思います。

<松風子(地)>
しっとりとした夜の秋の感慨が伝わります

<治男(地)>
「自分史を俳句で綴る」素晴らしいことである。
人生を振り返り俳句を作るのは、難しい。
 「夜の秋」が効果的である。


・5点句

草いきれかつての秘密基地さがす  明子
<鞠(天)>
 昔、国民学校時代、放課後は塾も稽古事も無く、日暮れまで里山の近くで
遊び呆けていた。宅地化の進んでしまった今、かつての秘密基地などは、
いくら探しても跡形も無い。

<柊(地)>


青春の美しき一行土用干  愛子
<柊(天)>


<ミヌ(地)>


籐寝椅子父の遺墨の血圧表  春愁
<鞠(地)>
 病身を籐の寝椅子に横たえて、暑さに耐えていた父の日課は、日々の血圧を表に記入することであった。

<愛子(天)>


日蝕が最初のページ夏休み  明子
<春愁(人)>
日記の一ページ目が、皆既日食とは・・・記念すべき日

<柊(人)>


<童奈(人)>


<ぽぽな(人)>
「日記」不言題としても、時宜の句としても優れていますね。たくさんの日記が書かれた事でしょう。

<素蘭(人)>
燦燦たる一ページ目ですね


・4点句

けふのことやはり記して蚊帳に入る  英治
<芳生(人)>


<馬客(天)>
「やはり」がいいですね。誰に見せる物ではない「日記」でも、
やはり書くのを躊躇う物事ってあるんですよね。


・3点句

一匹となりて長生き金魚玉  明子
<松風子(天)>
金魚に託して我が身を詠む寓意が感じられます

雲あつく過ぎし日蝕草いきれ  英治
<春愁(天)>
実にタイムリーな一句です

溜息をともに吐き出す金魚かな  松風子
<ミヌ(天)>



・2点句

金魚玉明治の爺に記録あり  治男
<ぽぽな(地)>
「日記」不言題からのスピンオフでしょうか。とても味わいがあります。金魚玉も効いています。

月給を金魚に見せる夕餉かな  英治
<芳生(地)>
擬人的表現が効果的です。

更級の老いの鏡や月涼し  素蘭
<明子(地)>
歌仙の呼吸でしょうか。日記という不言題からこういった句がでてくるのが、桃李句会の楽しいところですね。

特記する土用最中の空腹感  鞠
<愛子(地)>



・1点句

草いきれ獣の道は道なりに  素蘭
<ミヌ(人)>


小指より小さき金魚掬ひおり  ミヌ
<鞠(人)>
 無器用なため、金魚掬いは苦手で、網は破れるばかり。たった一匹小さな金魚が掬えて、とても嬉しかった!

飲みさしのカクテルの底金魚かな  春愁
<愛子(人)>


もの言はぬ金魚に声を掛けてをり  柊
<松風子(人)>
どこか侘びしさを感じますが、それでいて独り住まいの温かさが感じられます