第163回桃李8月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:水馬、日傘、炎暑(不言題)

兼題または当季雑詠

兼題T 水馬
兼題U 日傘
兼題V 炎暑(不言題)

8月15日(土) 投句開始
8月22日(土) 投句締切・翌日選句開始
8月29日(土) 選句締め切り
8月31日(土) 披講

投句: 鞠、芳生、春愁、柊、白馬、明子、素人、馬客、愛子、素蘭、英治、ミヌ、治男、月雫
選句: 芳生、鞠、柊、素人、英治、愛子、春愁、馬客、素蘭、治男、ミヌ、月雫、明子

披講

・9点句

黒日傘地軸のごとく傾けて  春愁
<芳生(人)>


<英治(天)>
いかにも地軸の傾き。

<馬客(地)>
「黒」日傘だからこその着想でありましょう。

<月雫(天)>
地球と月の関係微妙

ものを言ふときの日傘は回らざり  英治
<素人(天)>
発見ですね。なるほどそうだろうなあと納得します。
心のゆとりの尺度ですね。

<素蘭(地)>
よく観察してますね
聞き手の仕草から分析しても面白そう

<治男(地)>
 朗らかな、愉快なひとでしょうか、何か佳いことでも
あったのでしょうか。日傘がぴたっと止まり、話が
弾んでいる模様。情景が良く出ています。

<月雫(人)>
売るほどにある退屈時間

<明子(人)>
日傘をくるくる回すのは間を持たすためだったのですね。


・8点句

あめんぼう水面の凹む重さかな  春愁
<鞠(地)>
 水面を凹ませても沈みはせず、滑走する水馬の軽さ。

<馬客(天)>
「8」と同視点のようにもみえますが、この句では
「あめんぼと水面」の両存在の質量に迫っている、
と感じました。

<治男(天)>
よく見ると水馬のの足先に細い毛があり、水面をへこます
形になっています。良く観察された句です。

廃線の骸曝すや草いきれ  愛子
<素人(地)>
撤去に費用が掛かるので放置されることが多い。まさに骸曝すですよね。

<素蘭(天)>
赤く錆びついたレール
傍らに放置された車両の「骸」
兵どもが夢の痕跡のような痛ましさ

<ミヌ(天)>



・7点句

淡海の雲動かして水馬  芳生
<柊(天)>
広々とした湖に浮かぶ水馬が気持ちよく描かれている。

<素人(人)>
物事には両面があり、かつ、何ごとも相対的ですから。

<英治(地)>
感じが出ている。

<愛子(人)>
「雲動かして」に惹かれました

前をゆくあばらの犬や油照  素蘭
<鞠(人)>
 猫は寒がりだけれど、犬は暑さに弱い。前をゆくのは夏痩せ気味の老犬であろうか。「あばらの犬」は少々無理なので、「犬のあばら」では如何。

<柊(人)>
いかにも暑そう。

<愛子(地)>
暑いだろう〜と思わず声が出ました

<明子(天)>
絵柄が眼に浮かびます。ちょっと劇画調でしょうか。


・5点句

日傘さし面ざし少し大人びて  明子
<春愁(天)>
かさ、さし、ざし、少し・・サ行が、韻律を整えている

<馬客(人)>
ご婦人は、いったいお幾つぐらいから日傘を差そうと
決断されるのでしょうか。

<ミヌ(人)>



・4点句

小波をジグザグに越す水馬  鞠
<芳生(地)>


<明子(地)>
関西在住だと水馬はみずすましのほうが馴染があります。


・3点句

あめんぼの一歩に凹む水面かな  素人
<愛子(天)>
万物のある命を感じました

炎帝のわが影攫ふ歩道橋  春愁
<芳生(天)>
歩道橋という視点が面白い。

昼下がり日傘並びて立ち話  ミヌ
<鞠(天)>
 一日の中で最も暑い時刻でも、日を除けながら延々と続く立話。


・2点句

炎天下ピストルの鳴る競技場  治男
<月雫(地)>
ホールドアップと言はれフリーズ

片影を行く猫のひげ柔らかく  白馬
<柊(地)>
片陰の静けさが感じられる。

今朝出来た水溜りにも水馬  馬客
<ミヌ(地)>



・1点句

あの日から海を見てゐた白日傘  月雫
<英治(人)>
何かドラマがありそう。

影隠す場所を探した暑さかな  月雫
<素蘭(人)>
信号を待つ間にも日陰の欲しくなるような炎暑
韻文としては中七の表現が気になります

惜敗の球児の額汗光る  馬客
<治男(人)>
 高校生らしく、惜敗にも汗と涙が光っている。
 観戦している方も汗と涙である。心情が表出されている。

ぬぐってもぬぐってもなほ退かぬ汗  素人
<春愁(人)>
暑い、同感です。ぬぐっても・・のリフレインが効いている