第164回桃李9月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:花野、秋思、イチロー(不言題)

兼題T 花野
兼題U 秋思
兼題V イチロー(不言題)

9月15日(火) 投句開始
9月22日(火) 投句締切・翌日選句開始
9月29日(火) 選句締め切り
9月30日(水) 披講

投句: 白馬、素蘭、芳生、春愁、柊、馬客、治男、松風子、ミヌ、英治、愛子、月雫、明子、素人
選句: 柊、白馬、春愁、英治、芳生、ミヌ、馬客、素蘭、松風子、愛子、治男、素人、明子、月雫

披講

・15点句

水の輪の音なくひらく秋思かな  松風子
<柊(天)>


<芳生(地)>


<ミヌ(天)>


<馬客(人)>
この句のちょっと前に、小さな蛙がポチャンと
跳びこんだんでしょう。

<素蘭(天)>
水底から湧き出る水がつくる水の輪
或いは〈秋思〉

<愛子(地)>


<明子(人)>
静かさが思いを引き寄せるのでしょうか。


・11点句

マラソンのしんがり消ゆる花野かな  芳生
<英治(天)>
景がよく見える、

<馬客(地)>
たとえビリでも、こう詠まれるとランナーも
かっこよく見えますね。

<素蘭(地)>
喧噪のあとの静けさが花野にマッチ

<素人(人)>
大きな景です。

<月雫(天)>
小旗振る振る青梅街道


・9点句

母がゐて父がうなずく夕花野  春愁
<白馬(天)>
仲良しの父母を安心して見守る優しい作者の視線。

<ミヌ(地)>


<治男(地)>
 ほほえましく、懐かしい情景である。
 子供の頃の回想に思える。

<月雫(地)>
記憶の闇は全部美し


・7点句

葡萄もぐ一碧の天揺らしては  芳生
<柊(人)>


<馬客(天)>
句柄の大きさ、句品のほどの佳さ。
葡萄棚を透して見上げる雲ひとつ無い秋天、
それを揺らすのは自分か・葡萄の房か。

<愛子(天)>



・6点句

無花果の実の生るこの木九年目  月雫
<春愁(天)>
九年目にして漸く実もなり、熟してきた感慨−好きな句

<素人(天)>
面白いです。

見返れば我が影はまだ花野中  馬客
<春愁(地)>
秋の野路に長き影・・・

<芳生(天)>


<月雫(人)>
おきてきぼりのままに年取り


・5点句

似し顔を羅漢にさがす愁思かな  明子
<白馬(地)>
自分の愁思の顔と類似の顔を羅漢の中に見つけようと。

<治男(人)>
 故人に似し顔であろうか。先日五百羅漢へ行き
 写真を撮ったが、大体、難しく、渋い顔が多い。
 拝んで行くのも愁思である。

<素人(地)>
確かに不思議と見つかるものです。


・3点句

所在無きひと日余して愁思かな  愛子
<松風子(天)>
心の動きがふと止まる時、ふいにわきあがる思いというものがある。秋の季節は特にそうした思いを深くする。

自己分析できる男よ天高し  白馬
<治男(天)>
絶えず研究と練習に励むイチロウ。
 「自己分析」の言葉が適切である。
 天高しもよく効いている。

花野来てもうなんにもいらないと  白馬
<明子(天)>
花野の美しさ、豊かさが<なんにもいらない>という言葉に集約されていると思いました。


・2点句

ただひとりこの道をゆく秋の暮  素人
<芳生(人)>


<ミヌ(人)>


花野きてひとりぽっちをかみしめる  素人
<松風子(地)>
花々の群れている姿を見るにつけ、対照的に我が身の孤独を思う、という心情が出ています。

窓によれば漢にあれど秋思う  馬客
<柊(地)>


もののふを謳ふシアトル秋高し  愛子
<明子(地)>
素直に称えたいと思います。

四畳半膝を抱える吾が秋思  素人
<英治(地)>
大した考えも浮かばぬが。


・1点句

いもうとを置き去りにした花野かな  月雫
<白馬(人)>
遠い昔を思い出してちょっと後悔。

腕みがく面壁九年玉の汗  春愁
<松風子(人)>
たゆまざる日々の努力がやがて成果を生む、まさに「玉の汗」である。

爽やかに武士道徹すバットかな  柊
<愛子(人)>


秋思かな白磁の白のあたたかき  ミヌ
<英治(人)>
「あたたかき」に意外性。

デカルトの一語思ひゐる秋思かな  芳生
<春愁(人)>
考えすぎると、悩みは深くなる

二百本二千本打つ芝の秋  英治
<素蘭(人)>
イチロー!!