第165回桃李10月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:蚯蚓鳴く、木の実、友愛

兼題または当季雑詠

兼題T 蚯蚓鳴く
兼題U 木の実
兼題V 友愛

10月15日(木) 投句開始
10月22日(木) 投句締切・翌日選句開始
10月29日(木) 選句締め切り
10月31日(土)  披講

投句: 松風子、春愁、素蘭、馬客、鞠、芳生、柊、素人、英治、愛子、童奈、白馬、明子、ぽぽな、月雫、治男
選句: 童奈、芳生、春愁、英治、柊、ぽぽな、馬客、松風子、鞠、治男、白馬、素人、愛子、明子、月雫、素蘭

披講

・10点句

蚯蚓鳴く未だ帰らぬ遺骨あり  柊
<童奈(天)>


<英治(地)>
共感する。

<松風子(天)>
季語と文章が響きあっています

<治男(地)>
 戦争の傷みが今も残っている。
 蚯蚓鳴くで、過去の思いが現在に
 繋がっている。 


・8点句

蚯蚓鳴く真夜に光れり埴輪の眼  愛子
<芳生(天)>
幻想の世界と蚯蚓鳴くとがマッチしています。

<柊(天)>


<素蘭(地)>
オカルト系の演出パターンではありますが
誤解から生まれた季語に虚構の相乗りが面白い


・7点句

木の実落つ我楽多市の壺の中  芳生
<松風子(人)>
俳諧味がある句です

<鞠(天)>
 檀那寺の境内の木陰に、月に一度骨董の市がたつ。晩秋から初冬にかけ、間々、古い皿や小鉢に木の実が降り込む。

<素蘭(天)>
壺中☆天

はにかみて友愛を言ふ神の留守  英治
<春愁(地)>
神の留守の季語斡旋がいいのかな

<柊(人)>


<鞠(人)>
 日本語にとって、「愛」という言葉を宗教用語以外で使うのは、思いの外難しい。「神の留守」に俳諧味がある。

<明子(地)>
友愛、この言葉は口に出すとなぜか少し恥ずかしい。

<月雫(人)>
閻魔様にはみなお見通し


・6点句

愛の羽根つけて心の少し富む  芳生
<馬客(天)>
いい句ですね、このようにスラリと素直に
我が心を詠みたいものです。

<月雫(天)>
プライスレスな今日の喜び

木の実落つマンハッタンは岩の島  ぽぽな
<英治(天)>
こつんと音がする。

<明子(天)>
マンハッタンの意外性がこの句を飛躍させ、イメージが膨らみます。木の実に心が動くのは、どこに住んでいるどこの国の人でも皆同じと思いました。


・5点句

地の底に亡者押し込み蚯蚓鳴く  英治
<白馬(天)>
蚯蚓は深い地底で鳴いている。それよりずっと深い処には亡者が一杯。

<愛子(地)>
リアリティーな句に出来上がりましたね


・4点句

故郷のシャッター通り蚯蚓鳴く  鞠
<芳生(人)>
全く田舎はシャッター通りばかりになりました。この蚯蚓は哀感をもって鳴いています。

<素人(天)>
嘆かわしいことですが現実です。どこもかしこも寂れて閑古鳥、いや、今は蚯蚓のか細い鳴き音なのでしょう。

みちのくに夜咄いまも木の実落つ  英治
<童奈(地)>


<鞠(地)>
 子供の頃、遠野の炉端で、語り部から聞いた夜咄は忘れられない。

蚯蚓鳴く点滴の管引き摺りて  春愁
<馬客(地)>
「引き摺りて」がちょっとナマナマしいんですが。
昔、入院時の我が想いをまざまざと思い出しました。

<素人(地)>
望みは薄くとも生きることに貪欲であれとの示唆ですね。
季語の斡旋が巧み。

蚯蚓鳴く読めて書けないものばかり  ぽぽな
<春愁(天)>
作句するにも、観賞するにも・・・この通りですね

<英治(人)>
しかも蚯蚓が這ったような字だ。


・3点句

きみがゐてぼくがあるやう落葉山  月雫
<ぽぽな(天)>
落葉の中での告白でしょうか。恋の句ながら甘くなりすぎないのは、上五中七の恋を自分流に噛み砕いた言い方と場面の設定の巧さからくるものでしょう。

太陽に小さき地球木の実独楽  春愁
<白馬(地)>
太陽と地球の位置関係、更に地球上の小さな場所で一所懸命回っている木の実独楽。これらのズームが楽しい。

<愛子(人)>
太陽と地球に小さな木の実独楽が印象的でした

髭櫓破る毛抜や蚯蚓鳴く  素蘭
<愛子(天)>
奇抜な題の狂言を思いついた事に感心しました

蚯蚓鳴く独り手酌で飲む夜に  素人
<松風子(地)>
雰囲気が出ています

<明子(人)>
一人でお酒を飲んでいたら、たしかに蚯蚓が鳴いたのです。胸のうちのいろいろな思いと対話しているうちに聞こえたのでした。

友愛を説く人胸の赤い羽根  素人
<治男(天)>
 季語と友愛が佳く合っている。
 殺伐な事件が起こる現代の社会
 各自が友愛の念を持ち、よりよい
 日本にしたいものである。 


・2点句

木の実踏み俳聖殿まで歩きたる  明子
<ぽぽな(地)>
小降りの木の実をぷつりぷつりと踏みながら。芭蕉の碑までゆくのでしょうか。

木の実落つ啄ばむものと拾ふもの  素人
<春愁(人)>
のどかな秋・・・

<治男(人)>
 両者共に木の実を有り難く、享受している
 様子がうまく出ている。

卓子より落ちてもまはる木の実独楽  月雫
<芳生(地)>
木の実独楽の状態をよく見ている。

伝言の終わりに林檎ひとつ置く  ぽぽな
<月雫(地)>
白雪姫に従者七人

望郷の胸打つ音や木の実降る  馬客
<柊(地)>



・1点句

アダムともイヴとも違ふ蚯蚓鳴く  月雫
<素人(人)>
面白いですね。

木の実落ち何かせかるる心地かな  松風子
<ぽぽな(人)>
たしかにそんな気配が漂いますよね。素直に心境を表し成功しています。

子地蔵の台座にあふる木の実かな  愛子
<白馬(人)>
何処かの村はずれ。お地蔵様にひっきりなしに降りかかる木の実。子地蔵様は嬉しいか?痛がっているか?足元にいっぱい集めた。

友愛の円座大きく茸鍋  愛子
<素蘭(人)>
大乗の座布団みたいです

友愛の旗ひるがえり秋高し  松風子
<馬客(人)>
まさに、某党の先生方の意気たるや
かくの如しでありましょう。