第17回句会桃李定例句会(2月)披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:風邪、試験、バレンタイン(不言題)

冬または初春の句(雑詠)または題詠
(一句は題詠とする)
有言の題詠(その言葉を使う)は「風邪」または「試験」
不言の題詠(その言葉を使わずに、心を詠む)は、
「バレンタイン」です。
2月14日(日)投句受付開始
2月21日(日)投句締切、選句開始
2月28日(日)選句締切、披講

投句: 重陽、楽千、葉子、涙笑、木菟、悠久子、雲外、はる
選句: 涙笑、楽千、葉子、松、重陽、香世、木菟、雲外、悠久子

披講

・9点句

恋猫の嘆き聞きつつチョコを割り  葉子
<涙笑(人)>
なんだかこの日は全国的に恋猫の如き浮かれようですものね。(^^;;;

<松(天)>
結構でがす。天然自然はめぐりて春ですね。

<重陽(天)>
「嘆き」と「割り」が呼応して情感が伝わります。

<雲外(地)>
二月中旬に猫が盛ることも、個体によってはあるらしい。
相手を求めて情熱的に鳴くのは牡の方。それを「嘆き」と聞く。
「チョコを割る」というからには板チョコか。
バレンタインに板チョコ? 自分で買ったのか。
一句の中での二重の違和感の衝突が、侘びしさを越えて感興を重層化している?


・7点句

本命に非ずのどかに贈らるゝ  木菟
<涙笑(地)>
何か一抹の寂しさもありますよね。でものどかなんですね。(~o~)

<楽千(人)>
いやご同輩お互い惚れた腫れたは昔となりましたな。
えっ、お宅まだお若い? 独身!?

<葉子(地)>
今年のヴァレンタインは日曜日だったので、義理チョコ一枚もらえなかったと嘆いている青年あり。この句の作者も義理チョコを貰われたのでしょうが、泰然としている様がよく出ていると思います。

<悠久子(地)>
こういう雰囲気がバレンタインの楽しさでしょう。
のどかに、明るい早春のイベント。
そんな気分で、私もチョコレートをたくさん贈っていました。
今年はどうもそんなかろやかな世の中ではなくて、止しましたげれど。


・6点句

テレビ見るより聴いてゐる風邪ごこち  悠久子
<楽千(地)>
今その状態でいます。一種のエクスタシー感覚。
夢かテレビか幻しか、妖かしの気配が揺らめく。

<葉子(人)>
聴くだけなら、ラジオか、CDでも聴けば、といいたいところなれど、つい習慣で、テレビをつけてしまう、という現代人の様子がよく出ています。

<木菟(天)>
 風邪を引いたときの、ちょっと虚ろな気分が良く出ていると思います。


・5点句

ものなべて丸みおびたり春の雪  葉子
<松(人)>
えらくクラシックにまとめて下さったけど、お隣さんとの出会い頭に丁度いいんじゃないですか。

<重陽(人)>
春の雪の風情が「丸み」で見事に捉えられていますね。

<雲外(天)>
「ものなべて丸みおびたり」と、捉えたた感性に感服、いや脱帽しました。
群を抜いての天ですね。
30点位いくのではないでしょうか。


・3点句

いまさらにこひのねつかやかぜごごち  楽千
<香世(天)>
こんな歳になってときめきが。なにか昔の恋の想いに似てる。
微熱のようなぼんやりした気分。つい、空(くう)を見る。
とまどいと嬉しさと。

試験子に 届きしチョコと 風邪薬  雲外
<悠久子(天)>
風邪も試験もバレンタインも、全てクリアして
しかも自然におさまっている句ですね。
きっと、風邪も軽く、恋も軽く、試験も軽くクリアでしょう。

如月や 事典溢れる 我が几案  雲外
<楽千(天)>
もうちょっとで冬ごもりの明けようという如月。
うずうずした心で春に向けて何を企んだのだろう。
調べが尽きる事はない。

春蒼穹 行人絡繹 凱旋門  雲外
<重陽(地)>
面白いですね。漢語俳句ですか。
音韻が整って不思議に字余りが気になりませんね。

<木菟(人)>
 漢字ばかり並べて、それとは正反対の風景を述べているのが、諧謔味があって面
白い。

早春の女は淡き香に染まる  木菟
<涙笑(天)>
こうゆう女に出会ってみたいσ(^^)

受験場の屋根にゃカラスの官苦郎  楽千
<松(地)>
わしゃ関係ないもんね。

<香世(人)>
こんな気楽な気分で試験に臨めば合格か。反対にもう諦めているのかな。
アホーなんて鳴いている。あ〜あ。

大けやき地に寒空に在りにける  重陽
<葉子(天)>
けやきという木は四季折々に風情ある好ましい木ですね。通勤途上甲州街道のケヤキ並木を通るので、いつもいいな、と思いつつ眺めます。
この句は堂々としたけやきの句ですが、細い枝が青空にシルエットになっているのもよいものです。


・2点句

モノトーンに雪とめどなし色も無く  重陽
<木菟(地)>
 これは雪国で、しょっちゅう大雪には慣れている方の句ではないでしょうか。し
きりに降りしきる雪を、無感動に眺めているような気がします。

黄水仙添へて優雅に渡すべし  悠久子
<香世(地)>
渡すべしで、本人の決断を感じます。あるいは、教示か。
いずれにしても下五できりりと新鮮になっている。


・1点句

風邪薬くすりくすくすズル休み  はる
<雲外(人)>
「くすり」も「くすくす」笑っている気がするのか。
kazekUsUri kUsUri kUsUksU zUrUyasUmiという「U」音の
多用による音楽的面白さ。

風邪籠もり妻もたまには優しくて  葉子
<悠久子(人)>
風邪をひいた夫に、私も優しかったことがあります。
今ならどうでしょう?
そう、たまのことなら、優しいかも。
「夫もたまには」としてみたいですね。