第170回桃李3月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:芽、眠、大銀杏(不言題)

兼題T 芽
兼題U 眠
兼題V 大銀杏(不言題)

3月15日(月) 投句開始
3月22日(月) 投句締切・翌日選句開始
3月29日(月) 選句締め切り
3月31日(水) 披講

投句: 白馬、芳生、康、雛菊、鞠、素人、明子、松風子、英治、馬客、素蘭、治男、柊、愛子、春愁、丹仙
選句: 芳生、英治、素人、鞠、治男、雛菊、愛子、松風子、馬客、柊、素蘭、明子、康、丹仙

披講

・8点句

悲史秘めし神樹倒るる春嵐  鞠
<芳生(天)>
鎌倉の大銀杏のポイントをよく突いていると思います。

<馬客(地)>
「大銀杏」は私も真っ先にこう思いました。

<素蘭(天)>
骨肉相食む清和源氏の悲史
その証言者たる大銀杏の樹
幕切れのあっけなさも天啓?


・6点句

春嵐千年の樹を倒しけり  素人
<英治(天)>
すっきりとした言い切りに力。

<鞠(人)>
 磴の途中で立ち止まり、この大銀杏に触れて、鎌倉の悲史をよく偲んだ。

<丹仙(地)>
ズバリと言い切った力強さが良いですね。

芽柳の湖畔を染めるうすみどり  素人
<治男(天)>
 大変 綺麗な風情です。芽柳がういういしく、湖畔への
 日差しがうすみどりとなって、映り心惹かれる句です。

<雛菊(天)>



・5点句

薔薇の芽のつめたきに触れ旅立ちぬ  康
<英治(地)>
心象風景の感。

<馬客(天)>
下五をどう取ればよいのか難しかったのですが、文字どうり
に解釈しました。


・4点句

大地震の瓦礫擡げてもの芽かな  芳生
<鞠(地)>
 天災・人災がどんなに厳しくても、生命の明日は信じられる。戦後の経験
からも……。

<松風子(地)>
躍動する命のうごめきが感じられる句

木の芽風受けて五感の目覚めかな  愛子
<英治(人)>
まさに森羅万象そのモード。

<柊(天)>
自然界の草木も人間も同じであることが言われている

職去りて春眠と言う贅を得し  馬客
<芳生(人)>


<素人(人)>
新たなる役得とでも言えましょう。楽しんでください。

<愛子(地)>
「贅」と感じている頃がいい時ですね 
さらりと退職の心境を語っているところにひかれました

断髪ののちの両国涅槃西風  英治
<馬客(人)>
相撲好きの私が「大銀杏」でコチラを連想しなかったのはナサケナイ。

<素蘭(地)>
若・貴兄弟を背中合わせに目線を追えば国技館
劇画調の構図ながら両国ならばこんな兄弟舟も…

<康(人)>



・3点句

追ひ付きて追ひ超えてゆく木の芽風  柊
<鞠(天)>
 木の芽時の風は思いの外速く強い。「追ひ超えて」という措辞の珍しさに
惹かれたけれど、読みでは「おひこして」となっているが……。

風吹けば巨木倒れて地虫出づ  松風子
<明子(天)>
あっけらかんとした詠みようで、おかしみがあります。

恋の猫深き眠りにゐるときも  明子
<康(天)>
自然の、いや生き物の避けることのできぬ摂理、
そしてそこを流れる時間を感じます。

受験子のひたすら眠る春の部屋  康
<治男(地)>
 受験勉強に疲れたのでしょう。
 何事にも一生懸命なのが、「ひたすら」に
 表れ諧謔味もあり面白いです。

<明子(人)>
見守ることしか出来ない、親の気持です。

点滴の雫を数え柳の芽  治男
<柊(地)>


<丹仙(人)>
退院の近きを祈ります。

懐に百選の水山眠る  芳生
<松風子(天)>
フレーズと季語が照応しています

芽吹くものすべて芽吹きし一丁目  英治
<雛菊(地)>


<愛子(人)>
リズミカルな句で心地よい 明るい気持ちになりました

役者欠く難波の春や髷を結ふ  素蘭
<素人(天)>
確かに言われてみれば「大銀杏」ですね。気がつかなかった。

夭夭と紅天女春眠し  素蘭
<丹仙(天)>
「紅天女」というのは少女漫画から新作能の作品になったとか。
そんな背景もありますが、字義通りの意味に取ってもイメージがふくらみます。

浪人の解けて春眠あさからず  英治
<愛子(天)>
さて次なるステップ前の僅かな楽しみを存分に・・


・2点句

鷽の来てしきりに花芽散らしをり  明子
<康(地)>


木の芽吹く誰かが待つてゐるやうな  春愁
<明子(地)>
芽吹きの季節、その勢いを見ていると、きっと誰かが待っているからこんなに元気に芽吹いてくるのだと心から思ってしまいます。若さを感じる句です。

春眠の幽体離脱黄泉めぐる  春愁
<素人(地)>
中七にはっとさせられました。インパクトがあります。

八幡宮突風一陣春悲し  白馬
<芳生(地)>



・1点句

この今が一番若い木の芽時  松風子
<治男(人)>
 高齢者になっても、このように思いたいです。
 木の芽時を満喫している、若さが出ています。

冴え返る眠狂四郎太刀納む  白馬
<雛菊(人)>


千年の芽吹き断ち切る怨の風  馬客
<松風子(人)>
怨の風が効いています

内定を確かめる子や木の芽晴  鞠
<素蘭(人)>
何とも初々しい子や木の芽に届く光の春の讃歌

芽ぶく木の枝の先まで花の色  雛菊
<柊(人)>