第171回桃李4月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:花曇、巣立、亀鳴く

兼題または当季雑詠

兼題T 花曇
兼題U 巣立
兼題V 亀鳴く

4月15日(木) 投句開始
4月22日(木) 投句締切・翌日選句開始
4月29日(木) 選句締め切り
4月30日(金) 披講

投句: 芳生、白馬、鞠、馬客、素人、素蘭、春愁、英治、愛子、康、治男、柊、明子、松風子
選句: 春愁、康、鞠、白馬、芳生、英治、馬客、素人、愛子、素蘭、治男、明子、松風子

披講

・9点句

遥かより叡山の鐘花曇  芳生
<愛子(地)>
情景が目に浮かぶ落ち着いた句でした

<素蘭(天)>
花も空も水も朧に響む叡山の鐘
上五の措辞は「遥遥(はろばろ)と」ならばより雄渾に

<治男(天)>
花曇りであるから、遥かよりがよく効いている。
比叡山からの鐘の音が、奥深く聞こえてくるようだ。 

<明子(人)>
静かな情緒が感じられ、整った句と思います。


・7点句

奉安殿ありし辺りや亀の鳴く  芳生
<春愁(天)>
戦後半世紀の時を経て、奉安殿は今・・・

<鞠(地)>
  小・中・高と母校には必ず奉安殿が在り、その前を過ぎる時には最敬礼
 をしなければなりませんでした。想像上の季語「亀鳴く」と、今は実在し
 ない「奉安殿」、昭和史をしみじみ回想させていただきました。

<治男(地)>
 奉安殿、懐かしい言葉。戦時中、校門の所にあり、
 礼をして、教室に入ったものである。そこに亀が鳴くという。
 色々、想像できる。
 


・6点句

限りなき円周率や亀の鳴く  春愁
<芳生(天)>
円周率の計算、「もうたまらない」という亀の声が聞こえてくるようで、亀鳴くの季語の本意にも合っていると思います。

<松風子(天)>
季語に照応するフレーズです


・5点句

巣立鳥天の青さに溶けゆけり  芳生
<康(天)>
その声とともに青空に吸い込まれてゆく巣立鳥。さわやか、気持ちよい句です。

<松風子(地)>
巣立ちの晴れ晴れとした感じが出ています

廃村を包みつくして花曇  愛子
<英治(天)>
景が見える。

<明子(地)>
見る人がいなくなっても花は咲き、人々の生活した名残りを大切に守っているようです。


・4点句

河童ゐて寝太郎もゐて亀の鳴く  英治
<素蘭(人)>
pooしてpeeしてpapipupe・Poeとか?

<明子(天)>
文句なしに楽しい句です。

亀鳴くや空き家の木戸に残る錠  白馬
<芳生(地)>


<英治(人)>
亀の鳴きそうな雰囲気だ。

<愛子(人)>
光景を想像すると物語が湧いてきそうに感じました

亀鳴くや丑三つ時のツイッター  鞠
<康(人)>
つぶやきもまた亀の鳴く声に似て・・・・・?

<愛子(天)>
今人気のツイッターを持ってきたところにひかれました
丑ひとつ丑ふたつで無く丑三つとなれば「亀鳴く」も生きますね
面白い句で頭の中で何度も繰り返してます

花曇メトロノームのうすき塵  春愁
<芳生(人)>


<素人(天)>
巧みな取り合わせです。ちょっと練習に倦み疲れましたかね。

老犬の薄目を開く花曇  柊
<馬客(天)>
この老犬は私かも・・・

<素人(人)>
仲春のアンニュイな雰囲気がよく伝わります。老いゆくものの悲哀も。


・3点句

風吹けば梢より零る巣立鳥  愛子
<鞠(天)>
  庭木に掛けた巣箱から、四十雀の雛が巣立つ頃、強風の吹く日が多く、 チ・チ・チと親鳥に縋るような幼い鳴き声が心配になります。

亀鳴けり河童の棲みし隠江に  柊
<白馬(天)>
陰陽変幻の世界

巣立つまでよろしくと紙貼られたる  明子
<白馬(人)>
誰が張ったか。きっと親鳥。

<素人(地)>
微笑ましい。この優しさが貴重になってきた昨今の世相です。


・2点句

朝市に手打ちの刃物花曇  明子
<康(地)>
「手打ち」の刃物の親しさ、その光の冷たさも春の朝の雰囲気にあいますね。

亀鳴くや置いてけぼりになる夕べ  松風子
<白馬(地)>
寂しさと亀の声のマッチング

亀鳴くや虚実皮膜の詩一行  素蘭
<馬客(地)>
虚実皮膜の間を詠む、これぞ俳句のひとつの形。
「亀鳴く」も虚実皮膜。「同天」の句。

しんがりの子の巣立ちゆく軒庇  春愁
<英治(地)>
達成感と淋しさ。

巣立ちたる巣を親鳥の一覗き  鞠
<春愁(地)>
親ごころ

樋狭し巣立のあとに残るもの  白馬
<鞠(人)>
  巣立ちの季節には、雨戸の開け閉てや、雨樋の清掃に気を遣います。
 以前うっかりと威勢良く大掃除して、雛を傷付けてしまいました。

<治男(人)>
 樋に残ったものを見て、巣立ち鳥を思っている作者。
 鳥への愛情が見られる。

ふるさとは亀鳴く夜の盆地かな  康
<素蘭(地)>
遠きにありて思う
山紫水明の懐かしきふるさと


・1点句

亀鳴くや午後のテーマは暗黙知  素人
<春愁(人)>
きっと眠くなるテーマ・・・

亀鳴くや本読めばすぐ眠気さし  明子
<松風子(人)>
何か見えぬ霊力に引き込まれていくような

花曇靴の踵の減り具合  素人
<馬客(人)>
無頓着に暮らしていても、ふと、この様な事が気になる
ことがあるものです。特に花曇りの日などに。