第172回桃李五月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:麦、鮓、普天間(不言題)

兼題または当季雑詠

兼題T 麦
兼題U 鮓
兼題V 普天間(不言題)

5月15日(土) 投句開始
5月22日(土) 投句締切・翌日選句開始
5月29日(土) 選句締め切り
5月31日(月) 披講

投句: 素人、松風子、白馬、明子、英治、馬客、鞠、芳生、春愁、柊、愛子、康、素蘭
選句: 芳生、柊、英治、素人、松風子、鞠、愛子、春愁、馬客、康、素蘭、明子

披講

・13点句

馴鮓や奈良に古りたる撥釣瓶  素蘭
<芳生(天)>
撥釣瓶が効いています。一度見てみたいものです。

<柊(天)>
奈良の雰囲気がよく出ていると思いました。

<英治(地)>
趣がある。

<松風子(人)>
オーソドックではあるけれども、いかにも奈良ののどかな原風景があわられています。

<愛子(人)>
いにしへより脈々と現代に伝わり続くもの

<春愁(天)>
いにしえの古きよきものを感ずる


・9点句

手庇の見ゆるかぎりや麦の秋  春愁
<柊(人)>


<英治(天)>
格調がある。

<鞠(人)>
みはるかす穂麦の畑、広々と眩しく……。

<愛子(地)>
大きな景の句で眼前に広がる麦畑を想像できました

<素蘭(地)>
抜けるような青空と黄金色の郷愁
ゴッホはお好き?


・7点句

黒南風や破れし国の基地の町  英治
<素人(人)>
戦後50年を経てなお解消できぬ問題。為政者の責任は重いです。

<松風子(天)>
この国の本質を鋭くついたフレーズに「黒南風」がいかにも沖縄を想起させています。

<素蘭(天)>
三代四代…基地を取り巻く事情も様変わり
黒南風の普天間

誇り咲く梯梧の花を怒りとも  柊
<素人(地)>
不言題「普天間」が秀句を引き出す良い効果をもたらしています。

<松風子(地)>
「梯梧の花」は沖縄人の誇りであり、その真っ赤な花色は、いまや彼等の怒りをあらわしていると、みた作者の目が効いています。

<愛子(天)>
不言題「普天間」を上手に作られていると思います


・6点句

信じての果の卯の花腐しかな  馬客
<康(地)>


<素蘭(人)>
♪卯の花の匂ふ垣根に時鳥 早も来鳴きて
♪忍び音もらす 夏は来ぬ (作詞 佐々木 信綱)
この「卯の花」を「おから」と答えて笑われた中学生が
英語教師となって嘆くイマドキ高校生の文語力
poor languageの果のJanglish Tragedy
あな、おそろしや………

<明子(天)>
地に落ちて泥にまみれている卯の花の無残さ。あらためて深い怒りを感じます。


・5点句

穂が揺れて雀も揺れて麦の秋  明子
<柊(地)>


<馬客(天)>
素直率直、好きですね、こお言う句。

ランドセル肩に馴染みて麦熟るる  素人
<芳生(人)>
新一年生も麦熟るる頃となると板についてきます。

<鞠(地)>
ランドセルが肩幅からはみ出す大きさに感じられるのは新一年生。それにも目慣れ入学してはや二ヶ月、麦秋の候を迎えた。

<明子(地)>
やっと少しランドセル姿が様になってきた頃、畑では麦が黄金色に揺れています。健やかな明るさがあります。


・4点句

鮒鮓やお国訛の輪の中へ  愛子
<鞠(天)>
近江名産の鮒鮓をはじめ馴鮨というものはお国訛と同じで、その方言を喋り合いながら、強く匂うその食べ物を一緒に賞でる同郷人同士にこそ、最も懐かしい夏の味覚である。 

<明子(人)>
あの味こそ故郷そのものなのでしょうね。残念ながら、いまだ鮒鮨を食べる勇気がでないのですが・・・


・3点句

押し寄せる一枚波や麦嵐  愛子
<英治(人)>
臨場感。

<馬客(地)>
誰にも実景が目に浮かぶ句。

曇りても照りてもシーサー夏の天  愛子
<素人(天)>
沖縄の苦悩が巧みに詠まれています。

腕白や麦の穂ちぎりちぎり行く  馬客
<康(天)>
今日学校から帰って何して遊ぼうか、まだ決まらない・・・
その漠然としたつまらなさが、麦の穂をちぎらせる。そうそうと麦秋の風が吹きわたっていく・・・。


・2点句

押酢の仄甘き香に妣がをり  康
<芳生(地)>


軒先に夕づつ呼びて鮓握る  芳生
<春愁(地)>
一番星を呼び出したのが、手柄・・


・1点句

柿の葉鮨持ちて宇陀野を歩きけり  明子
<康(人)>


麦秋は消えゆく言葉故山荒る  芳生
<馬客(人)>
ほんとにそうならない事を祈ること切。

麦の穂に山風ひと日遊びをり  芳生
<春愁(人)>
初夏のさわやかで、ゆったり感が好きな句