第177回桃李10月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:稲、鮭、秋思(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題1 稲
兼題2 鮭
兼題3 秋思(不言題)

10月15日(金) 投句開始
10月22日(金) 投句締切・翌日選句開始
10月29日(金) 選句締め切り
10月31日(日) 披講

投句: 芳生、素蘭、白馬、鞠、康、春愁、馬客、愛子、素人、英治、水、柊、明子、丹仙
選句: 芳生、英治、鞠、雛菊、春愁、柊、素人、水、馬客、愛子、白馬、素蘭、康、明子、丹仙

披講

・9点句

全生徒十人稲刈る分校田  鞠
<春愁(地)>
過疎化、少子化?・・・

<馬客(地)>
本当に有る景かもしれませんね。

<素蘭(天)>
二十の瞳が稲を刈る分校の田
破調の十九音がユーモレスクのよう
          
 稲孫田に一抜けまゐるファの♪ (加油!)

<明子(地)>
子供たちの声が聞えてきそうです。

頬杖をつきて独りの十三夜  英治
<芳生(地)>


<春愁(天)>
独りですか。一寸侘しいですね

<素蘭(地)>
中七の措辞は再考の余地大アリですが
頬杖と十三夜の取り合わせはなかなか

<康(地)>



・7点句

稲光欄間の龍の昇り立つ  愛子
<芳生(天)>
龍の躍動感が伝わってきます。

<柊(地)>
立派な欄間が稲光で浮き彫りにされた,美しい光景だと思います。

<丹仙(地)>
欄間の龍が生き返りましたね。

鮭汁の眼ン玉啜る番屋長  愛子
<柊(天)>
珍しい野趣のある光景だと思いました。

<水(天)>
番屋のことは、広辞苑を見て、はじめて知りました。いろいろな光景を想像しています。勝手に、稲妻などのBGも仕立てて、鑑賞しています。

<康(人)>



・6点句

日記には書かぬほんたう夜半の秋  愛子
<雛菊(人)>
秋ですもの。密かに思う恋。職場でのかちんときたこと。娘の気持ちわかってくれない親とのもどかしさ。巡る想いは深く長いがほんたうのことは書けないかも。澄んだお月様を見てるとね。

<春愁(人)>
真実はいづこに・・・

<馬客(天)>
子供っぽい表現で、じつは大人の本音。

<明子(人)>
ふと筆を止めてしまう一瞬です。


・4点句

噛み潰す海の記憶や鮭の骨  英治
<水(地)>
ノドに引っかかる、やっかいな骨のことしか考えていませんでした。骨形成のリン(酸)やカルシウムは海水から摂取する。その海洋環境における、生命のいとなみにも思いをめぐらせると、詩になりますね。

<白馬(地)>
何やら荒々しげな不思議な句ですね。

鮭のぼる故郷の水違えずに  明子
<明子(天)>
夕日に燃え立つような紅葉の山々。人の気配のない自然のなか、命を繋ごうと必死に遡ってくる鮭。大きな景が感じられました。

<丹仙(人)>
思えば不思議。

稲架組みて一番星を誘ひ出す  芳生
<愛子(人)>


<康(天)>


ロッキーの嶺を遥かに鮭上る  芳生
<素蘭(人)>
「A River Runs Through It」のモンタナに一票

<丹仙(天)>
カナダの俳句なら、鮭上るはぴたりですね。


・3点句

こんがりと皮焼き上げて鮭とめし  馬客
<素人(天)>
なんとも食欲をそそる句です。こんがりと焼いた鮭の皮、涎が出そうです。
炊き立ての新米のごはんも抜群。

鮭吊す神威の海の翁かな  丹仙
<英治(天)>
臨場感あり。

鮭跳ねて全山照らす夕陽かな  白馬
<英治(地)>
瞬間の描写がうまい

<馬客(人)>
雄大でイイです、キングサーモンかな跳ねたのは。

さらさらと掌をくぐり抜け稲実る  馬客
<白馬(天)>
とても綺麗なお米の句です。

白髭の占む手鏡や秋深し  春愁
<鞠(天)>
秋の静けさゆえ、手鏡の中にまざまざと現るる己が老いー。 

建売りのブームの過ぎし稲穂波  英治
<雛菊(天)>
田園地帯に突如新築家屋群できたのは初夏か。宣伝幟もはつらつとしていた。休日訪れる人も多くてにぎわいをみせていたが夏過ぎると客足もまばらに。そして秋。幟もくたびれている。建物は無口だ。一面黄金に染まる田んぼがまぶしい。今やいたるところで見られる光景を稲穂波に合わせたのがよいと思った。

虚栗掃き寄せられてゐたりけり  明子
<愛子(天)>



・2点句

稲舟や恋の成就を祈りけり  丹仙
<素人(地)>
稲舟ですか。もうこの辺では見かけることはないのです。郷愁をそそられます。恋の成就を一緒に願いたくもなります。

心病む友の自伝を読む夜長  鞠
<素人(人)>
いろんな想いが去来するのでしょうね。

<白馬(人)>
「心病む」友へのふつふつとした思いが。

鮭一尾持つて帰れと差し出され  柊
<鞠(地)>
帰省の度に、鮭ならぬ野菜を山盛りに頂戴しています。

鮭ひときれ野良にやろうかやるまいか  水
<雛菊(地)>
晩年の永井荷風のような。

鵙鳴くや流浪の杜甫の如何に詠む  馬客
<愛子(地)>



・1点句

秋澄むや弥生遺跡の甕棺も  芳生
<柊(人)>


稲熟るる匂ひひときは入日影  明子
<芳生(人)>


競ひ合ひ花の静かや菊花展  柊
<鞠(人)>
思えば、競い合っているのは花ではなくて人間でした。

旅人の帰らぬ無明長夜かな  丹仙
<英治(人)>
面白い句。