第179回桃李12月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:年の暮、白鳥、顔見世(不言題)

題詠または当季雑詠 

兼題T 年の暮
兼題U 白鳥
兼題V 顔見世(不言題)

12月15日(水) 投句開始
12月22日(水) 投句締切・翌日選句開始
12月29日(水) 選句締め切り
12月31日(金) 披講

投句: 白馬、鞠、芳生、春愁、馬客、柊、あや、愛子、素蘭、松風子、英治、素人、丹仙
選句: 芳生、春愁、あや、松風子、柊、英治、白馬、愛子、馬客、素蘭、丹仙

披講

・16点句

煤逃げをあつめ四条の芝居小屋  英治
<芳生(人)>


<松風子(天)>
顔見世興行の京の町人のありさまがあらわせれていて、どこかおどけた感もある句です

<白馬(天)>
逃げ場所は皆同じです。

<馬客(天)>
「あなた、邪魔ッ!顔見世でも観てきたら!」
「へいへい」なんて事は当今ないでしょ。

<素蘭(天)>
忙中閑ありの 雅が ス・テ・キ

<丹仙(天)>
顔見世は、元来は華やかな歳末風景となりますが、それを「煤逃げ」と結びつけたところが俳になりますね。


・9点句

年の暮母は静かに惚けたまふ  白馬
<あや(天)>
常人たちは忙しく走り回る年の暮だが、惚けたまふ母は超越し、尊いほど。
ありのままの母を受け止め、世話をする子は、実は更に尊い域に。

<英治(地)>
達観しているが、介護は大変だ。

<素蘭(地)>
時間旅行に身をゆだねておいでなのでしょう
「静かに」がいい感じ

<丹仙(地)>
慌ただしい年の暮れとは独立の時間を過ごすご母堂の様子、おかしみとともに、諦念をうちに秘めた肉親への愛を感じさせます。


・6点句

老いてなほ追はるるここち年の暮  英治
<芳生(天)>
いくつになっても歳末は慌しいものです。

<松風子(人)>
現役を離れ、もはや追われる身ではないのだが、年の暮ともなれば、やはり追われる気持ちになるのは、これもやはり年のせいかと、実感できます

<柊(人)>
同感です。

<丹仙(人)>
何に追われているのか、それは云わず語らずでしょうが、
自ずから分かる場合がある。私は私の場合に当てはめて共感した次第。

歳晩の凛と塔立つ法隆寺  芳生
<柊(天)>
格調の高い句に惹かれました。

<英治(天)>
風格がある。


・4点句

望郷の瞼閉づるや大白鳥  愛子
<松風子(地)>
白鳥の心に入りこめば、さもあらんと思えるような気もいたします

<柊(地)>
憧れの白鳥の飛来する故郷羨ましく思います。


・3点句

「売り尽くし」人影もなく年の暮  あや
<春愁(天)>
寂しく今年も暮れる

差替へし庵看板京時雨  素蘭
<あや(人)>
歌舞伎界を走った激震は、看板を差し替えるとも時雨降るなか、
尚収まりどころ知らず……

<愛子(地)>


年の暮時に噛まれてゐるやうな  松風子
<愛子(天)>



・2点句

大白鳥首の強きが恋に勝つ  馬客
<白馬(地)>
なるほど。

代演の人気や暮れの南座に  鞠
<春愁(地)>
隠れた才能は居るもの

遠哭きの白鳥空を白くする  松風子
<あや(地)>
彼方の白鳥、白く広がる空が、音、映像として迫ってきます

日記果つ今年逝きたる友の数  芳生
<馬客(地)>
今年はほんとにこの句の思いを実感しました。

白鳥の背から項へ水陽炎  鞠
<芳生(地)>



・1点句

謹慎の身となり悔む年の暮  素人
<素蘭(人)>
どうか狂言の和泉元彌の二の舞にならないでと
事故の顛末を見守る歌舞伎ファンが多そう

白鳥に澄み極まりし越の空  芳生
<馬客(人)>
白鳥の飛翔あってこその「澄み極まりし」です。

白鳥の二羽には狭き街の池  柊
<春愁(人)>
まさにそうでしょうね

見せられぬ顔となりたる年の暮  素人
<白馬(人)>
かの人も、そして私も。

山の音水面引きづり大白鳥  春愁
<愛子(人)>


トイレには神様が居る年用意  丹仙
<英治(人)>
ごもっとも。