第185回桃李6月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:紫陽花、短夜、節電(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 紫陽花
兼題U 短夜
兼題V 節電(不言題)

6月15日(水) 投句開始
6月22日(水) 投句締切・翌日選句開始
6月29日(水) 選句締め切り
6月30日(木) 披講

投句: 松風子、芳生、白馬、鞠、素蘭、翔河川、馬客、素人、柊、春愁、あや、英治、愛子、治男、明子、悦子、雛菊、丹仙
選句: 雛菊、芳生、英治、鞠、白馬、翔河川、悦子、春愁、素人、松風子、あや、治男、愛子、素蘭、明子、馬客、丹仙

披講

・9点句

風鈴で呼び戻したる江戸の涼  柊
<芳生(地)>


<白馬(人)>
この夏、クーラーは使わないぞ!

<悦子(天)>
節電もまた楽しみに変える心意気素敵です。

<あや(地)>
「呼び戻す」というところに、
暗くない“節電”が感じられるのが
いいですね

<愛子(人)>



・8点句

短夜や仮の棲ひの窓明り  丹仙
<芳生(天)>
被災地を詠んだものでしょうか。よく分かります。

<英治(人)>
仮設住宅の侘しさを思う。

<松風子(人)>
仮住まいの落ち着かない心境が出ています

<馬客(天)>
未だ避難所に暮らされておられるかたがた、又やっと仮設住宅に
入居されたご家族、親戚知人宅に身を寄せられておられる方々、
いずれのどの方々も此の句を詠まれるご心境でありましょう。


・7点句

枕辺に母ゐるやうに古団扇  愛子
<芳生(人)>


<白馬(天)>
母は子が眠りつくまで団扇で扇いでくれた。あの優しさを今想う。

<素人(地)>
団扇の起こす風の柔らかさ優しさがそう思わせるのでしょう。

<治男(人)>
 幼き頃を回想しているのでしょうか。
 優しく、大事に世話をしてくれた、
 立派なお母さんが、表現されています。


・6点句

短夜に座るひと待つ森の椅子  翔河川
<英治(天)>
メルヘンチックな雰囲気。

<悦子(人)>
メルヘンのよう

<松風子(地)>
どこかメルヘンチックというか幻想的な句にひかれました

紫陽花や雨に風添ふ都府楼址  芳生
<素蘭(天)>
太宰府へ思わずヴァーチャル吟行して来ました
黒南風のなかの紫陽花が素敵

<丹仙(天)>
これは「都府楼址」との配合が良いですね。叙景の句が、歴史を実感させるものと結びついて「丈の高い」句となりました。

紫陽花や傘傾けて擦れ違ふ  柊
<鞠(人)>
雨道を行く時の当然のマナーながら、こうしない人の多いのも現実です。

<春愁(地)>
お寺の境内で

<あや(天)>
紫陽花、雨を背景に、日常にある
人の営みの優美さが素敵です

紫陽花や昼を灯して文を書く  明子
<素人(天)>
この静かな雰囲気が良いですねえ。

<松風子(天)>
いかにも梅雨時のじめじめした、しかも、どこか落ち着く雰囲気が出ています

七変化眠る娘の男顔  治男
<英治(地)>
ふとそんな感じに。

<白馬(地)>
父として、はっとした瞬間。思ってもみなかった表情。

<悦子(地)>
ふと気が付く娘の気の強さの源って感じがします。

職退くも現役の夢明易し  芳生
<春愁(天)>
受験の夢、職場の失敗の夢など、長々と

<治男(天)>
長らくご苦労様でした。私も退職の頃、経験したことです。
出勤しなくてはと、習慣的に早起きをするものです。
 季語がよく効いていますね。

先人の知恵に六月無礼かな  素蘭
<明子(天)>
六月無礼は江戸時代からの季語とか。この夏は気持をゆったりと持って
少々のことは良しとして乗り切りましょう。

<馬客(地)>
勉強になりました、この言葉を存じませんでした。
辞書にちゃんとありました!。いい言葉です。

<丹仙(人)>
これは「六月無礼」という古い季語に着目した所を頂戴しました。

平凡が好き紫陽花の色は白  悦子
<雛菊(地)>
最近はアジサイも多種ありまして蛍光色の派手な物も人気あるようです。
作者は昔ながらの青や白が好きなのでしょう。日常の何気ないことに楽しみ
を見つけることがきっとお上手なのでしょう。

<素人(人)>
同感です。

<治男(地)>
 人柄がよく出た句ですね。
 言われてみれば、全くその通りで、
 共感します。

<馬客(人)>
句そのものが素直。でも紫陽花は一生懸命に白く咲いている
ように見えます。


・3点句

紫陽花の色に色ある環かな  松風子
<翔河川(天)>
好きなリズムです。

紫陽花や珈琲店の馴染み席  素人
<あや(人)>
立ちのぼってくる珈琲店の雰囲気が
いいですね

<愛子(地)>
お気に入りのお店のお気に入りの席ってありますね この季節には紫陽花が・・と心待ちしていたのでしょう

いつの間にこの大株ぞ濃紫陽花  馬客
<雛菊(天)>
同感です。我が家母の日にもらった小さな鉢植を、庭に植えたら手に負えないくらい大株に。うれしくもあり邪魔でもあります。

宿坊に寝物語の夜短か  鞠
<愛子(天)>
この頃は宿坊宿泊ツアーなるものがあるそうな 国内外の旅も大方を終えたご夫婦が選んだ宿坊での夜 自然の真中の静寂で妻はぽつり、ぽつりと来し方など・・独立した子らのことなど・・これからの事など話しだす 妻の横顔のシルエットを優しいまなざしで見る 落ち着いた晩年のご夫婦での旅を想像しました

短夜の寝酒の円居なほ解けず  英治
<鞠(天)>
旅の一夜であろうか。「寝酒の円居」が楽しい。


・2点句

紫陽花のゆったりと速いときを生き  翔河川
<丹仙(地)>
「紫陽花の」の「の」を「のように」の意味にとりました。すると「ゆったりと速いときを生き」ているのは、作者でもあるのかもしれません。無常迅速の世界を平常心を以て生きる心境の句として頂戴しました。

紫陽花やじたばたせずに逝きし猫  英治
<翔河川(地)>
ひと月まえに猫をなくしました。2ヶ月苦しんでの往生でした。

瓦礫臭ふ朝に紫陽花咲きにけり  丹仙
<明子(地)>
紫陽花の色の美しさが痛々しい。

この夏は早寝早起き日課とす  素人
<鞠(地)>
子供の頃から躾られながら、大人になるにつれ、なかなか守れない早寝早起き、
節電と健康法と、この一石二鳥を実行しましょう。

五歳児の塾の宿題短き夜  治男
<素蘭(地)>
お受験の準備ですか?
五歳児の脳の発達の必須条件は十二分な睡眠だってこともお忘れなく


・1点句

銀行は団扇を添へて待たせをり  松風子
<雛菊(人)>
早くも今年の夏を実写していてよいと思いました。

政治家のなほ暑苦しクールビズ  馬客
<春愁(人)>
菅直人と置き換えてみたら

短夜の夢の全長見定めず  愛子
<明子(人)>
暑さもあって夢も途切れ途切れです。

リモコンを持ちて逡巡大西日  明子
<素蘭(人)>
真っ赤に燃えた太陽だから
真夏の屋根は塗炭の季節なの…