第186回桃李7月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:夏越、蓮池、冷房(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 夏越
兼題U 蓮池
兼題V 冷房(不言題)

7月15日(金) 投句開始
7月22日(金) 投句締切・翌日選句開始
7月29日(金) 選句締め切り
7月31日(日) 披講

投句: 白馬、松風子、素人、悦子、素蘭、翔河川、馬客、芳生、柊、英治、鞠、明子、春愁、あや、丹仙
選句: 芳生、英治、鞠、悦子、白馬、松風子、あや、素人、馬客、翔河川、明子、柊、素蘭、春愁、丹仙

披講

・12点句

蚊帳に寝て昭和の風のむすぶ夢  英治
<鞠(地)>
エアコンを止め、表と裏の窓を全開して風を通し、久し振りに蚊帳を吊りました。

<素人(天)>
今夏は蚊帳を吊って、窓を開けっぱなしで寝る家も多いのでしょう。
懐かしい風情。節電の思わぬ効果でしょうか。 昭和が懐かしいですね。

<馬客(天)>
昭和も遠くなりましたね。
蚊帳を吊るのとはずして畳むのとが私の役目でした。

<柊(地)>
長い昭和を生きて来た者に懐かしい思い出です。

<素蘭(地)>
♪人生いろいろ 昭和もいろいろ 夢だって百人
♪百色吐息 キティとよばれる 猫はaprèsすぎて


・11点句

遠景に富岳を入れて茅の輪立つ  芳生
<英治(地)>
よい情景だ。

<鞠(天)>
大景の央に立つ茅の輪の清々しさ。

<松風子(地)>
実景ではなさそうですが、一幅の絵をみるような(例えば北斎の)構図がうまくつくられていて、目に浮かぶようです。

<素蘭(人)>
茅の輪から眺める富士山
葛飾北斎的構図が大胆で愉快

<春愁(天)>



・8点句

産土神の茅の輪をくぐり留学へ  鞠
<芳生(人)>


<悦子(天)>
親子で神社にいらっしゃったご様子が浮かびます。安心させようと両親の前での明るく振舞っているお子さんの様子が見えます。

<明子(地)>
茅の輪潜りから留学への飛躍が楽しい句です。

<柊(人)>
留学に胸を膨らませながらも、日本人的。

<丹仙(人)>
連句ならば発句ではなく付句として面白い。「留学へ」が未来を感じさせるので選びました。「火車怖ろしき北京大学」と続けましょう。

圓朝と八雲枕の昼寝かな  馬客
<悦子(地)>
まあずいぶんとかわった取り合わせの楽しそうなお昼寝ですね。

<明子(天)>
これに限ります!

<丹仙(天)>
圓朝でしたら牡丹灯籠がこの句には相応しいかも知れませんね。
しばし、日本の古き怪談を抱き枕として今年の夏を過ごしましょう。


・7点句

鉄の帳ある憂さや夏祓  素蘭
<松風子(天)>
今、この日本にのしかかる鉄の帳のようなものを夏祓で吹き飛ばしたいと思う気持ちがあらわされています。

<馬客(人)>
地獄の沙汰もなんとやら、閻魔さまにも水心あり。

<翔河川(天)>
重い空気を祓いたい


・5点句

手を高く振りて蓮池越しの恋  馬客
<白馬(地)>
この微笑ましさ。初々しい青春時代。

<あや(天)>
なにか、とてもいい、です。

沼神の化身わきたつ蓮の池  松風子
<芳生(地)>


<白馬(天)>
蓮一杯の池面をじっと見ていると、そんな気がしてきますね。

冷えメロン皆人並みの顔になり  松風子
<英治(天)>
それぞれの顔つきが目に浮かぶ。

<あや(地)>
この夏は人並みの顔とならないのですねぇ・・・


・4点句

絵日記へゴーヤ簾の影の濃く  鞠
<馬客(地)>
絵日記にもりっぱなゴーヤが描かれていることでしょう。

<丹仙(地)>
ゴーヤ簾に一票入れました。今年の夏を象徴します。

不忍池に雨こそよけれ蓮の花  柊
<芳生(天)>
不忍池、蓮の花、雨。風情がありますね。

<春愁(人)>


蓮池の音拾はむとまた一人  英治
<素人(地)>
ほんとにポンと音がするのでしょうか。信じて一度は聞いてみたいと未だに集うのでしょう。 夢は壊さん方が良いのでしょうね。

<春愁(地)>


祓へども夏越し難き瓦礫かな  丹仙
<白馬(人)>
被災地の皆様に一日も早く平穏な日々が訪れますように。

<素蘭(天)>
どぎゃんかせんと…


・3点句

大股に就活の娘の夏越かな  英治
<柊(天)>
明るくて頼もしそうな女性に未来が託せそうである。

夏祓清々として身ひとつ  あや
<悦子(人)>
さっぱりとした様子が見てきます。

<翔河川(地)>
潔く生きられたら


・2点句

夏ばてはせず温度差の少なくて  明子
<鞠(人)>
よく食べよく眠り、この暑さにも思いの外元気なわけが判りました。

<あや(人)>
なにごとにも両面のあり。

蓮池の日暮れを告げる牛蛙  悦子
<松風子(人)>
体験的に、こうした光景を目にしたことがあります。いかにも夏の夕暮れを感じさせます。

<明子(人)>
牛蛙のあの地に響く重低音。蓮池の静謐な世界と好対照です。


・1点句

この夏は魔法の切れしだたの箱  あや
<素人(人)>
冷蔵庫にしろクーラーにしろ電気がなければただの箱。確かに、そうですね。

蓮池を雨軽やかにとうりゆき  翔河川
<英治(人)>
さっぱりとした感。