第193回桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:春寒、目刺、バレンタイン(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 春寒 
兼題U 目刺 
兼題V バレンタイン(不言題) 

2月15日(水) 投句開始
2月22日(水) 投句締切・翌日選句開始
2月29日(水) 選句締め切り
3月 1日(水) 披講

投句: 芳生、鞠、丹仙、馬客、松風子、柊、素蘭、素人、翔河川、英治、白馬、春愁、あや
選句: 芳生、松風子、英治、鞠、白馬、春愁、翔河川、あや、馬客、素人、素蘭

披講

・8点句

陋巷の路地を燻して目刺焼く  芳生
<松風子(天)>
目刺焼く風景がぴたりとおさまりました

<英治(地)>
「陋巷」の言葉に惹かれた。

<春愁(天)>
昭和の日々か


・7点句

春寒や抱かせてもらふモルモット  鞠
<松風子(人)>
いかにも春寒にふさわしい温かなモルモットではあります

<英治(天)>
春寒の季語がぴったり。

<あや(天)>
小さな生き物のぬくもりが、春寒を際立たせます。


・6点句

春寒や薄き日こばむ木歩の碑  松風子
<春愁(地)>
薄き日薄幸の人生

<翔河川(人)>
ひっそりとあること。

<素蘭(天)>
西日を背にひっそりと立つ句碑
3月11日も間もなくです


・4点句

朧夜に手渡されたる贈り物  柊
<松風子(地)>
朧夜に暗示される、不確かな贈り物のイメージが引き立ちます

<あや(地)>
和のバレンタインですね。

春寒や一週間のピルケース  柊
<英治(人)>
ギョッとさせられて面白い。

<馬客(天)>
薬頼りにまた一週間が無事すぎた。やさしい春まで、もう一息。

春寒や指に感じる不整脈  素人
<鞠(地)>
先日、輪読会の最中に、隣の友人が突如失神。救急車を待ちながら脈拍を探り続けました。

<馬客(地)>
かなり厄介な不整脈をかかえる者として、共感を禁じ得ない。

料峭や黄河を登る六六魚  素蘭
<芳生(天)>
大きな景が見えます。

<馬客(人)>
大鯉は龍たらんと黄河を悠々と遡る。「料峭」はこう使えとのお手本。


・3点句

決然として目刺焼くなり妻の留守  馬客
<白馬(天)>
料理の全く駄目な人が、この時ばかりは。

孤独死てふ活字跳れる寒き春  芳生
<翔河川(地)>
暖かい春が待ちどおしい。

<あや(人)>
こんなにも多い孤独死が繰り返されている、日本の現実。

清貧を貫く人の目刺かな  素人
<芳生(地)>
故・土光さんを思い出しました。

<白馬(人)>
そういうお金持ちの御人がおられましたね。

チョコの香を秘めて春めく女学生  英治
<白馬(地)>
貰う側でなく、あげる側のときめき。

<春愁(人)>
われも春めく

春寒や寡夫となりし友の文  馬客
<鞠(天)>
昭和の小学校では珍しかった男女組の同級生で、今でも年賀状を交換している唯一の友人、遂に寡夫と寡婦になってしまいました、

踏絵さす思いのチョコを手渡しぬ  馬客
<素人(天)>
踏み絵なる季語と取り合わせたことに思わず歓声。
そして、次にいまどきこんな健気な女の子がいるのかと驚嘆。

吾がためかGODIVAの包み春浅し  春愁
<鞠(人)>
あの日のため、せめて空港の免税店で、高級チョコを買いましょう。

<素人(地)>
GODIVAですから義理チョコじゃないでしょう。
でもあなたに来るかどうかは分からんですよ。


・2点句

ロースター目刺の煙も昭和まで  あや
<素蘭(地)>
「三丁目の夕日」的にはheavyな光景も
平成ロースターなら light smoke without fire.


・1点句

春愁や義理あるチョコの並びゐて  松風子
<素蘭(人)>
怖い、こはい、3・14……………

目刺食む三文文士にもならず  松風子
<芳生(人)>
アイロニーが効いている。

チョコ欲しさおべっか使う男子いて  白馬
<素人(人)>
ま、そうやって世間なるものを学んでゆくのです。