第194回桃李3月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:春の雪、卒業、3/11(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 春の雪
兼題U 卒業
兼題V 3/11(不言題)

3月15日(木) 投句開始
3月22日(木) 投句締切・翌日選句開始
3月29日(木) 選句締め切り
3月31日(土) 披講

投句: 鞠、春愁、芳生、白馬、馬客、松風子、柊、素蘭、あや、ぽぽな、英治、愛子、治男、明子、丹仙
選句: 柊、芳生、英治、白馬、あや、素蘭、愛子、ぽぽな、春愁、松風子、明子、馬客、治男

披講

・11点句

春吹雪陸の破船の漂へり  愛子
<柊(天)>


<白馬(天)>
中七の「儚さ」が。

<春愁(天)>
心奥に深く残っています

<明子(地)>
薄墨色の幻想的な景色。でもまぎれもなく現実の風景なのです。


・7点句

鳥帰るブルーシートの屋根の上  柊
<春愁(地)>
まだブルーシートの取れない

<明子(天)>
鳥帰るの季語が今年はひときわ心に響きます。

<馬客(地)>
我が家の近くでも、つい最近までブルーシートを被った
瓦屋根の家が散見されていました。

筆太の「復興」の文字若布寄す  春愁
<愛子(人)>


<ぽぽな(天)>
物と季語の潔い提示により構築された格調の高い句。「筆太の」が復興への強い思いを読み手に伝えます。季語も海と言わずに海辺を思わせ「面影」として今回の震災を示唆。更に季節感が希望を後押ししています。

<馬客(天)>
あれから一年、復興を激励するかのように
海の幸は育っていたのだ。


・6点句

言絶ゆる春や渚の鎮魂  素蘭
<あや(天)>
ただただ祈るばかりです

<愛子(天)>
未だ3千人を超す人々がかえらないと言う海を前に家族の元へと、、そして奪われた命の鎮魂をただ祈るのみ 生々しく情景が浮かびます

はじめての言葉かける日卒業す  松風子
<白馬(地)>
そんな淡い思い出。どきどきして。

<素蘭(天)>
不条理劇場は不滅です。

<春愁(人)>
少年期の追憶、こんなことも


・4点句

明日在るを信ずる瞳卒業す  馬客
<芳生(天)>
日本の未来は若人にあります。

<明子(人)>
この瞳の輝きが未来を作ります。

あるじ無き雛を飾りし家もあらむ  馬客
<素蘭(地)>
あるじ無き雛人形にランドセルの残像が重なって…

<治男(地)>
 雛を買い祝った娘も、今は逝ってしまった。
 雛だけは、残り今年も綺麗に、雛壇へ飾り付けた。
 と、解釈しましたが、あるじは、別のような気もします。

濁り江に拾ふ巻貝卒業期  素蘭
<あや(地)>
どんな思いで卒業してゆくのでしょうか

<ぽぽな(地)>
「濁り江に拾ふ巻貝」が、不安と期待の入り交じった複雑な心境を彷彿とさせ秀逸です。


・3点句

学生と共に卒業職を辞す  明子
<治男(天)>
担任した学生の卒業と、自分の退職が同じ時期となる。
長年勤務し、様々な出来事を、思い浮かべ、感無量である。
「学生と共に」が、想いを深めている。私も同じ経験をしました。

三月のまなぶた閉じる祈りかな  ぽぽな
<英治(天)>
心に沁みる。

卒業の花束供う母の墓  治男
<松風子(天)>
今はなき母の墓前に花束を供えて報告する深い気持ちが伝わります

廃校と決まりし母校卒業歌  愛子
<芳生(地)>
人口の減少とともに廃校が増えていますね。

<治男(人)>
 少子化となり、山里の学校が次々に廃校になっています。
 一人だけの卒業で、村人達が式に参列し、母校を懐かしんでいる
 のをテレビで見ました。卒業歌がよく効いています。

春の雪寂と衛士立つ二重橋  芳生
<柊(地)>


<ぽぽな(人)>
春の初めの皇居の美しい風景が見えます。「寂と」が少し惜しい感じもするが、衛士の厳かで静かな心持ちが伝わります。


・2点句

大地震に遭はで逝きしよ雛の夜  鞠
<松風子(地)>
複雑な感慨が伝わります

春の雪命包みて淡きかな  あや
<英治(地)>
雰囲気のある句。

春の雪載せて傘振る別れかな  馬客
<あや(人)>
傘を振っている人の顔が見えるような

<松風子(人)>
春の雪の断片が印象的です

復興の立札ならべ涅槃西風  英治
<芳生(人)>


<白馬(人)>
涅槃の風よ、一日も早い復興を。

列島を覆ふ香煙春寒し  芳生
<愛子(地)>



・1点句

空襲の日々に春雪深かりし  鞠
<素蘭(人)>
敗色いよよ濃かりける
巷にゆきの降るぞえな
巷にたまの散るぞえな
巷にひとの泣くぞえな

選手等も被災地想う春選抜  治男
<柊(人)>


筒に仕舞う卒業証書そして闇  ぽぽな
<英治(人)>
まさに心象風景。

廊の端の熱き告白卒業す  芳生
<馬客(人)>
手ひどく振られた苦い思い出のある小生、この句
あに、点を入れざるべけんや。