第196回桃李5月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:五月、竜巻、原発(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 五月
兼題U 竜巻
兼題V 原発(不言題)

5月15日(火) 投句開始
5月22日(火) 投句締切・翌日選句開始
5月29日(火) 選句締め切り
5月31日(木) 披講

投句: 芳生、松風子、素蘭、鞠、白馬、馬客、春愁、英治、柊、素人、あや、翔河川
選句: 鞠、芳生、英治、春愁、松風子、あや、白馬、馬客、柊、素人、素蘭

披講

・12点句

生えかはる前歯はにかむ聖五月  春愁
<鞠(地)>
生意気盛りの科白も、乳歯が欠けていてなんとも可笑しい。

<芳生(地)>


<松風子(天)>
芽吹きのような新しい歯はかがやかしい聖五月にふさわしく

<馬客(地)>
みそっ歯が生え変わる頃、子供たちにも「はにかむ」と言う
心の動きが芽生えるのですね、5月のみどりの様に初々しく
爽やかです。

<柊(天)>



・11点句

巡礼の道美しき五月かな  素蘭
<芳生(天)>
きれいな句です。

<英治(天)>
格調のある句。

<あや(天)>
新緑五月の美しさと巡礼の道のハーモニーが素晴らしいです。

<柊(地)>



・8点句

ふるさとの除染すすまず花は葉に  素人
<鞠(天)>
帰りたくても立ち入り禁止の故郷ゆえ、望郷の念は一層強まる。

<松風子(地)>
終りなき除染作業は季節をめぐる。季語がふさわしい

<馬客(天)>
桜は蕾から、咲き初め、盛りとなり、花吹雪の後に爽やかな
葉桜となる。対極にあるのが大企業のエゴ政治屋の日和見。
除染が進もうはずがない。


・6点句

夏草や人影見えぬ汚染帯  芳生
<あや(地)>
何も知らず今年も命茂らせている夏草なのに、人間のせいで不気味な地となってしまいました。

<素人(人)>
戻りたくとも戻れませんから。

<素蘭(天)>
むざんやな老頭児嘆く核日傘


・5点句

両刃の剣もてあます武者人形  馬客
<白馬(地)>
永久閉鎖か再稼動か?

<素人(天)>
確かに作者の言われる通りかもしれません。


・4点句

竜巻に茫然自失かたつむり  素人
<あや(人)>
ただただ殻に閉じこもってやり過ごしたのでしょうか。人だけではないですね、生き物みな天変地異には茫然自失。

<馬客(人)>
災害を可笑しみにしてはいけないのでしょうが、俳諧味は
捨てがたいものです。
なめくじはどうだったんでしょうか?

<素蘭(地)>
人為を超越した自然の圧倒的な破壊力にただ茫然

ファンファーレ五月の宙に六三四の塔  素人
<春愁(天)>
五、六三四の数字の発見が新鮮

<素蘭(人)>
雅な立ち姿に夢を託して


・3点句

嬰を抱いて見えぬものから逃げる夏  鞠
<芳生(人)>
放射能の恐ろしさをリアルに伝えています。

<英治(人)>
俵万智もこんな歌を詠んでいる。

<白馬(人)>
苦労するのはいつも民衆のみ。

竜巻の鼠花火のごと走る  松風子
<春愁(人)>
同時多発か

<素人(地)>
そうとも言えるかもしれません。

腸を抜けてセシウム鯉のぼり  春愁
<白馬(天)>
鯉のぼりは被爆しないか?


・2点句

高層の窓にゴンドラ聖五月  松風子
<英治(地)>
聖五月が効いている。

俎をはみ出してゐる初鰹  柊
<春愁(地)>
ピチピチ跳ねている


・1点句

五月闇善良な罪つと目覚め  翔河川
<柊(人)>


竜巻警報はやそよぎ初む今年竹  芳生
<鞠(人)>
手入れの行き届かない雑木林が殖えて竹が繁り放題となり、竜巻が来れば今年竹
の揺れが真っ先に目立ちます。

万緑の中に天体望遠鏡  柊
<松風子(人)>
万緑のなかの天体望遠鏡が目に見えるようです