第197回桃李6月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:紫陽花、桜桃忌、スカイツリー(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 紫陽花
兼題U 桜桃忌
兼題V スカイツリー(不言題) 

6月15日(金) 投句開始
6月22日(金) 投句締切・翌日選句開始
6月29日(金) 選句締め切り
6月30日(土) 披講

投句: 松風子、芳生、素蘭、春愁、鞠、素人、白馬、柊、翔河川、愛子、英治、治男、馬客、あや、明子
選句: 英治、春愁、芳生、鞠、柊、白馬、松風子、馬客、治男、素蘭、愛子、あや、明子

披講

・9点句

見はるかす民の竃や梅雨じめり  馬客
<春愁(地)>
国の民は痛んでる・・傷んでる

<柊(天)>
まるで為政者が高階から人民を眺めているような捉え方が面白い。

<愛子(地)>


<明子(地)>
湿りっぱなしの我々の暮らしをどんな風に眺めているのでしょうか。


・8点句

ひとり居のやうな二人居桜桃忌  愛子
<素蘭(天)>
このライフスタイル、プラチナエイジには似合いかも?

<あや(地)>
ひとり居に対して二人居というのをもってきての人間の孤独。こういうところ、まさに太宰的だと思われ・・・

<明子(天)>
太宰の小説の一場面を思わせます。


・7点句

紫陽花や一花の重さ挿しあぐむ  馬客
<鞠(地)>
どうしても、短めの一輪挿しになってしまいます。

<白馬(天)>
この感じ、よく分かります。

<治男(地)>
 感じたままを、表現して見事な句となった。
 重さで、その花の美しさ、作者の気持ちが、よく出ている。


・6点句

山深く源氏の塚と濃紫陽花  芳生
<愛子(天)>


<あや(天)>
紫陽花のキマりかたが、なんとも尋常ではないような。


・5点句

紫陽花にけぶるばかりの送りかな  素蘭
<英治(人)>
しんみりとした雰囲気

<春愁(人)>
野辺送り・・あぢさゐに囲まれて

<鞠(天)>
余震も放射能洩れも収まらないまま、荒梅雨に竜巻まで重なり、痛めつけられて紫陽花は項垂れるばかり、身辺りに永別の続く今日この頃です。


・4点句

桜桃忌独りが好きの淋しがり  鞠
<馬客(天)>
なんか、さらりと口ずさんだ小唄か都都逸みたいで
いいじゃありませんか。太宰もそうそうって言ってるかも。

<素蘭(人)>
ほんに人騒がせ…

大川にあまる尖塔大夕焼  愛子
<芳生(天)>


<柊(人)>


音たかき雨後の流れや桜桃忌  英治
<芳生(地)>
「音高き」のなかに太宰の死を悼んゐる気持が表れているようです。

<松風子(地)>
音高き川の流れに太宰の心中のさまがあらわれています

くもり日の紫陽花クレーの絵のように  翔河川
<春愁(天)>
パステルカラーの絵・・・

<愛子(人)>


燕の子見上げるものを希望とす  あや
<英治(天)>
スカイツリーのイメージは無用。

<治男(人)>
 スカイツリ−に昇って、下界を見渡す事を、望み人が多い。
 しかし、下から眺めるのも、又素晴らしい。「燕」でそれを
 表現したと、解釈しました。


・3点句

紫陽花の一本ひとつの鉢に咲く  白馬
<松風子(天)>
[ひ」の連続の響きが、いかにもひっそりと咲く紫陽花の味わいが出ています

雨の降る玉川上水桜桃忌  素人
<治男(天)>
太宰が心中した川に「雨が降る」。その雨には色々な想いが浮かぶ。
残した、子供達か。作者の状況も分かる様だ。

桜桃忌心奥の澱解けぬまま  春愁
<芳生(人)>


<白馬(地)>
太宰に寄せる若き日の心。

太宰忌の富岳はひと日雲の中  芳生
<英治(地)>
それなりの感慨を生む。

<あや(人)>
ちょっと屈折ちょっとはにかんで、出てこなかったんでしょうか


・2点句

飽きもせずバベルの塔を夏の月  英治
<素蘭(地)>
どーしてこんなに高さを競いあうのか
高所恐怖症の私には興味津津ウラウラーの心理学

おたくさの愛しき謂れ額の花  春愁
<鞠(人)>
シーボルトのお滝さんへの想いが愛しい。

<明子(人)>
お滝さんと呟いてみたくなります。

中天に江戸の雅や冷酒酌む  素蘭
<柊(地)>
ライトアップされたスカイツリーを眺めながらお酒を飲むのも楽しみですね。

眼の下に東京タワー花は葉に  春愁
<馬客(地)>
難問の不言題に「東京タワー」とは技あり。
花の盛りの墨堤もすっかり葉桜の景、さまざまの
俯瞰図です。


・1点句

紫陽花や水の底樋に落つる音  松風子
<馬客(人)>
浅学菲才にて「底樋」を知りません。
でも、なんとなく静寂の雰囲気を感じています。

桜桃忌流れ覗けば濁りゐて  明子
<松風子(人)>
玉川上水に呑込まれていった男女のさまがあらわれています

吊忍天に分け入る巨き塔  芳生
<白馬(人)>
真ん中に吊り心棒があるのです。