第198回桃李7月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:出水、祇園、原発再稼働(不言題)

題詠または当季雑詠
兼題T 出水
兼題U 祇園
兼題V 原発再稼働(不言題)

7月15日(日) 投句開始
7月22日(日) 投句締切・翌日選句開始
7月29日(日) 選句締め切り
7月31日(火) 披講

投句: 春愁、白馬、越民、柊、芳生、鞠、松風子、翔河川、馬客、素蘭、雛菊、あや、素人、丹仙
選句: 英治、雛菊、白馬、芳生、越民、鞠、あや、馬客、素蘭、柊、松風子、春愁

披講

・8点句

出水なるもののけずいと放たれて  翔河川
<雛菊(地)>


<越民(天)>
近年の豪雨禍は、物の怪が暴れているとしか思えないほど。人為なのだ、といわれても、にわかに納得できない。

<あや(天)>
確かに "もののけ" としかいいようのない災害です


・7点句

埋め尽くす170000の夏帽子  雛菊
<英治(天)>
勢いの在る時事詠。

<あや(人)>
国と国民との間には、大河のような溝がある

<馬客(天)>
横書き俳句でなければ「170000」は使えない。
こう書かないと、あの「原発はいらない!」デモの
俯瞰画面からの迫力は立ち上がってこない。

手花火の火種じぶじぶ呟きぬ  松風子
<雛菊(人)>


<白馬(人)>
原子炉を手花火に模した。おもちゃじゃないぞ!

<馬客(地)>
線香花火の火の玉は、時に煮え滾る核燃料炉を思わせる。
じぶじぶ言っている間に手早く次の一本に火種を移すか、
ボトりと奈落へ落とすか、持っている人間よドウスル・ドウスル?。

<春愁(天)>
じぶじぶ・・・ですか面白い


・6点句

うねり立ち牛の流るる大出水  越民
<白馬(天)>
豪快な濁流。牛を助けてあげたい。

<鞠(天)>
天災をより増幅させた人災、数多の家畜も物言わぬまま流されていった。

稚児の太刀発止涼風起こるかな  馬客
<雛菊(天)>


<芳生(天)>
祇園会はテレビで見たくらいです。果たして実景に即しているか。


・5点句

ままならぬ天の蛇口や夏出水  素蘭
<英治(人)>
実感である。

<白馬(地)>
天に大きな樽があって、その蛇口が制御不能。 お酒なら−−−。

<柊(地)>
天の蛇口が巧み

守るもの違え続ける夏狂言  あや
<英治(地)>
まさに狂言。

<柊(天)>
隠喩による修辞法が巧み


・4点句

祇園会や町を縫ひゆく鉦の音  松風子
<芳生(人)>


<素蘭(天)>
祇園会にコンチキチンの鉦の音
類句もわんさとありそう(?)な祭の真骨頂に天


・3点句

朝涼の背筋正して静坐かな  芳生
<松風子(天)>
いかにも朝の涼けさが出ています

祇園の子鼻に汗してわらべ歌  雛菊
<馬客(人)>
30年近く以前の思い出を呼び覚ましてくれました。
少女ともいえぬ幼い児たちの「ちまき」等の売り立て
声が、その一途な様子とともに胸に浮かんできました。

<素蘭(地)>
鼻に汗して浴衣の子の
夏 
祇園

昨夜の夢続きて烏瓜の花  柊
<越民(地)>
毎年同じ場所にはびこり、花も実も身近だった。実は彫って遊んだ。無尽蔵のおもちゃだった。夢は、こどもの頃のものだったのだろうか。

<春愁(人)>
烏瓜の花・・夏暑いですね


・2点句

打ち水やなつメロ流る祇園辻  白馬
<あや(地)>
祇園の、ゆるめな感じでしょうか

打ち水を了へて屈託呼び戻す  越民
<松風子(地)>
打ち水を終えたあとの安堵寒が伝わります

遠雷や急いて羹また啜る  馬客
<鞠(人)>
今年も、もうすぐ広島忌・長崎忌・敗戦忌を迎える。懲りもせずに、羮を啜り
ながら。

<松風子(人)>
羹を急く行為が不安感を醸しだしています

祇園会がふたりの出遭いことしまた  素人
<鞠(地)>
京生まれでなくても、祇園会での巡り会いこそ、ふたりの愛の原点。

梅雨出水背びれ波うつ鯉の影  松風子
<春愁(地)>
波うつ背びれ・・・がリアルでいいですね

ふるさとへ出水見舞に急ぎけり  鞠
<芳生(地)>



・1点句

恩師からお呼ばれ祇園の床涼み  鞠
<越民(人)>
クーラーなどが要らない日本人の知恵がつまった涼み方。呼んで下さった恩師はどんな人なのでしょう。

まだ懲りぬ経済人や夏の雲  白馬
<素蘭(人)>
経済界のみならず、君子は豹変するものと…

山鉾の大きく回す京の辻  芳生
<柊(人)>