第200回桃李9月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:秋暑、秋遍路、敬老の日(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 秋暑
兼題U 秋遍路
兼題V 敬老の日(不言題)

9月15日(土) 投句開始
9月22日(土) 投句締切・翌日選句開始
9月29日(土) 選句締め切り
9月30日(日) 披講

投句: 白馬、芳生、柊、明子、素蘭、春愁、翔河川、雛菊、鞠、あや、英治、松風子、馬客、治男、丹仙
選句: 鞠、芳生、柊、雛菊、松風子、英治、白馬、翔河川、馬客、素蘭、治男、あや、明子、丹仙

披講

・15点句

はぐれ雲道連れにして秋遍路  翔河川
<芳生(天)>
飄々と歩いている遍路の姿が見えてきます。

<柊(天)>
世間離れのした飄々とした心境が伺えました。

<英治(天)>
さわやかな情景が。

<治男(天)>
はぐれ雲はご自身でしょうか。漂泊の秋遍路の心情、
足取りが、良く表現されていますね。

<あや(天)>
年を経て秋遍路に出た人の感じがでていると


・10点句

筆まめの二度来る残暑見舞いかな  馬客
<雛菊(人)>


<白馬(地)>
何となくユーモラス。

<素蘭(人)>
ホンに残暑の南無残暑

<あや(地)>
今年のような暑ーく、長ーい夏には、こういうこともあるんですね

<明子(人)>
例年の倍の長さの残暑でしたね。

<丹仙(天)>
今年のように残暑の期間が長すぎると、二度出しても構わぬような気持ちにもなりますね。


・9点句

一輪の野の花胸に秋遍路  芳生
<柊(地)>
自然の優しさが感じられました。

<雛菊(天)>


<松風子(天)>
明るく広がる遍路道の景が見えてきます

<英治(人)>
そんな景も見かける。


・8点句

身に添はぬ老いてふ言葉菊の酒  芳生
<松風子(地)>
認めたくない老いの訪れを、しみじみと感じている様が出ています

<馬客(人)>
「老」だの「翁」なんて字や呼称はなんか好きになれないです。
でも長寿を願い寿ぐ「菊の酒」はすきです。

<素蘭(天)>
travail 或いは labor of love の季節かも?

<明子(地)>
自覚は無いんです。


・6点句

頷きて微笑みあふて秋遍路  あや
<白馬(人)>
とても佳い景色ですね。

<翔河川(地)>
偕老同穴ですね

<馬客(天)>
参道ですれ違うお遍路同士、発心のきっかけはそれぞれ・さまざまながら
お互いのこれからの遍路安かれとの気持ちが通じ合う。冬に向かう季節で
あればなお更であろう。


・4点句

断捨離を諾ふ母や秋日和  素蘭
<鞠(地)>
身辺整理を始めると、暫くはこれまで以上に物が溢れ出し、収拾不能状態となる
けれど、まずはやってみること、やがて断捨離の境地に達するでしょう。

<治男(地)>
 老人は子供の頃から、物を大切にする習性があります。
 が、家族に同意して断捨離をする。言葉の使い方が見事です。


・3点句

茜さす非常階段秋暑し  素蘭
<鞠(天)>
3・11以後、マンションの自治会でも、緊急時への備えと節電の為に、非常階段の上り下りの訓練が、定期的に施行されている。

紙袋持たされて出る秋麗日  春愁
<明子(天)>
なんだか知らぬ間に呼びだされ、知らぬ人の話を聞かされ、気がつけば手には紙袋が・・・・

ご馳走は冬瓜の煮物三世代  雛菊
<あや(人)>
美味しいものは、どの世代にも、おいしい

<丹仙(地)>
敬老の日のご馳走ですから、若い世代が年寄りの好みに合わせたメニュー。味わいのある句。

胸軋む父母への不孝秋彼岸  馬客
<白馬(天)>
敬老会もしてあげられぬまま他界してしまった父母への哀悼。孝行も出来なかった懺悔。「胸軋む」が効いています。


・2点句

秋の夜連理のやうな夫婦居て  松風子
<素蘭(地)>
 あらまほしきとすだく邯鄲

秋遍路入日を追うて歩きたり  明子
<雛菊(地)>


子遍路のまなざし澄むや天高し  治男
<芳生(地)>
子遍路のひたむきな顔が浮かんできます。

故郷の庭や秋暑の中にあり  あや
<英治(地)>
趣のある句。

発心の一途一途や秋遍路  春愁
<馬客(地)>
悩みか・苦しみか・悲しみか、発心の背景は百人百様。
いずれにせよすべてのお遍路は一途である。


・1点句

秋暑し医者の薀蓄長々し  雛菊
<松風子(人)>
それでなくとも病いの憂さを感じているにもかかわらず、という実感に共感

秋遍路一期一会の人となる  松風子
<柊(人)>


秋遍路札所数えて山越えて  白馬
<鞠(人)>
四国八十八カ所巡りは長年の願望です。今年こそ父郷徳島の一番札所から歩み始めましょう。

老いあまたバス待つけふの秋扇  英治
<芳生(人)>


空白く濁れる漁港秋暑し  明子
<治男(人)>
 震災地を詠われたのでしょう。
 白.濁 の対比の表現が旨いですね。

旅の世話秋暑の駅に飛び交へる  芳生
<翔河川(人)>


独鈷水喉を潤し秋の風  柊
<丹仙(人)>
「独鈷水」というのは、極楽寺に伝わる伝承ですね。歴史と風土、季感を一体化させた旅の句というのが良い。