第205回桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:薄氷、梅見、バレンタイン(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 薄氷
兼題U 梅見
兼題V バレンタイン(不言題)

2月15日(金) 投句開始
2月22日(金) 投句締切 
3月 1日(金) 選句締め切り
3月 3日(日) 披講 

投句: 芳生、白馬、松風子、春愁、省吾、素蘭、翔河川、鞠、馬客、英治、明子、柊、雛菊、あや、秋童子
選句: 芳生、英治、柊、鞠、松風子、あや、秋童子、春愁、馬客、雛菊、省吾、素蘭、明子

披講

・12点句

光りつつ解ける薄氷少年期  柊
<あや(天)>
少年期のとらえ方が、とてもポエティック

<馬客(天)>
その鋭さそして脆さ、薄氷の本質でしょう。それは
少年期の持つ危うさであり、光りつつも、みるみる
失われて行くのです。素晴らしい句です。

<素蘭(天)>
危うげではかなげで cool!

<明子(天)>
真冬の氷ではない、春の氷の特徴が、少年期の繊細さ、明るさ、希望などと
響きあっていると思いました。


・6点句

結願の秩父路巡り梅見頃  明子
<柊(天)>
巡礼と梅の関係がしっとりと詠まれている。

<鞠(人)>
見頃の梅の香りが、結願を祝う如くに清々しい。

<松風子(地)>
ようやく結願になったところで見る梅はさぞかしほっとした美しさがあったことでしょう


・5点句

一輪に集まつてくる梅見かな  雛菊
<英治(地)>
みんな待ち焦がれている。

<秋童子(地)>
なぜか近づいてしまいますよね。

<明子(人)>
今年は寒さが厳しく梅まつりが始まっている私の町でもこんな情景が
あちこちで見られます。

薄氷に金魚の紅の透けゐたり  明子
<芳生(地)>


<雛菊(天)>
うますぎてつまんない句(すいません)と思ったのですが
まだ色の少ない早春において金魚の紅に春の喜びを感じ
選ばせていただきました。

梅ふふむ青空は眼に冷たくて  春愁
<芳生(天)>
梅の咲くのを今や遅しと見上げる。青空が刺すようだ。

<雛菊(地)>
梅の時期の空気感でています。梅ふふむという柔らかな表現も
いいと思いました。

春色も包みて贈るチョコレート  松風子
<芳生(人)>
チョコレートはどんな色だったでしょうか。淡いピンク、それとも薄緑色だったのでしょうか。

<春愁(地)>
艶っぽい・・・

<明子(地)>
なにより込められた思いが春そのものです。

陣頭の母の指さき梅見かな  あや
<英治(天)>
母の強さ勇ましさが「陣頭」に。

<柊(地)>
元気のいいお毋さんが目に浮かぶ。

被災地の人なき里も梅見ごろ  秋童子
<春愁(天)>
あれから丸2年・・・

<省吾(地)>
そういう所もあるでしょう。いろいろなニュースに接し、今もなお胸の詰まる思いが繰り返します。


・4点句

うすらひを踏む子跨ぐ子動かぬ子  雛菊
<鞠(天)>
薄氷を前にした三者三様の子供の姿がよく描かれて、殊に「動かぬ子」が佳い。

<秋童子(人)>
動かぬ子、が印象的です。

もの言はずものを思はず梅見茶屋  英治
<省吾(天)>
平日の昼下がりに、ちらほら咲き始めた梅園の赤い毛氈を敷いた床机に腰掛けて、頼んだ団子とお茶がくるのをぼんやりと待っている。なんとなく幸せ。

<素蘭(人)>
漱石の未完小説『明暗』を映像化するなら
こんなエンディングが素敵


・3点句

色淡き明治大正薄氷  松風子
<秋童子(天)>
着想の妙、お見事です。

薄氷をちょっと舐めてく子犬かな  あや
<柊(人)>
子犬の様子が可愛い。

<鞠(地)>
子犬の好奇心が「ちょっと」楽しい。

お返事は薔薇芽ぐむころ眠猫  素蘭
<あや(地)>
レトロなバレンタインという感じもして、ちょっと変わったその趣に惹かれます

<雛菊(人)>
ゆっくりと待つ恋心。3月にはきっとよいお返事が。

木曽道の水場の春の氷かな  芳生
<松風子(天)>
木曽路の春浅き光景が見えます。木曽道は木曽路がよろしいかと


・2点句

告白に苦味も少し春浅し  明子
<松風子(人)>
告白の苦みをチョコレートの苦みとからめたところがおもしろい

<春愁(人)>
苦味も・・・がいいですね

しがらみのチヨコ置かれゐる余寒かな  英治
<素蘭(地)>
怖いこはいホワイトデー症候群?

悠揚と鳶の輪を描く梅見かな  芳生
<馬客(地)>
桜花の咲き誇ったとき、見上げても花ばかりです。
梅にはその傲慢さはありません、枝を透して青空
が見え、高く低く弧を描く鳶も見えるのです。


・1点句

産土神の梅見に集ひ喜寿祝  鞠
<あや(人)>
御めでたさの極みのような梅見が、とてもいいです。

ぎりチョコも友チョコもなく春寒し  柊
<省吾(人)>
義理チョコの数を自慢しあった昔が懐かしい。

曾祖母の板チョコくばる春愉し  馬客
<英治(人)>
世の習いに参加することも・・・。

本命も義理もついでもなき日かな  秋童子
<馬客(人)>
だいぶ「枯れて」おられるようで。
伴侶の方に板チョコでも差し上げてはいかがでしょう。