第208回桃李5月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:祭、麦、母の日(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 祭
兼題U 麦
兼題V 母の日(不言題)

5月15日(水) 投句開始
5月22日(水) 投句締切 翌日選句開始
5月29日(水) 選句締め切り  
5月31日(金) 披講 

投句: 素蘭、芳生、素人、鞠、松風子、馬客、秋童子、翔河川、柊、春愁、英治、あや、明子、丹仙
選句: 芳生、あや、春愁、英治、鞠、翔河川、松風子、柊、素蘭、秋童子、馬客、明子、丹仙

披講

・8点句

そんなこと恥づかしくつて麦畑  英治
<春愁(人)>
やりますね・・・

<翔河川(天)>
おかしい

<素蘭(天)>
〈揚雲雀〉を観る心象風景の一片のよう

<馬客(人)>
こりゃ川柳種ですけど、仲間内の句会ということでアリですかね。


・7点句

麦秋の真つ只中の開拓碑  芳生
<鞠(天)>
 故郷の山中に、旧満州からの引揚者達によって開墾された麦畑が在る。その昔は松林で、終戦間近に伐採され、女学校の生徒だった私達は石油代りの松根油を
採取する作業に動員されていた。

<松風子(地)>
麦畑のなかに開拓碑がぽつんと立っている広い風景が目に浮かびます

<柊(地)>


麦笛や黄昏てゆく松花江  丹仙
<芳生(天)>
大河に響く麦笛の音が聞こえてくるような、大きな、それでいて綺麗な句です。

<秋童子(人)>
セピア色に移ろう風景。

<馬客(天)>
麦笛・黄昏・スンガリー、八十路男の郷愁をそそる。


・6点句

全力を尽くして麦は穂を垂れる  あや
<英治(天)>
豊作の力感が。

<松風子(天)>
稔りつくしたあとの麦畑の光景は、ある感慨をもようすものである。「力つくして」という表現に作者の思いが伝わります。

祭の子衣装のままに寝落ちたる  明子
<柊(天)>


<秋童子(天)>
よっぽど楽しい1日だったのでしょう。


・5点句

姉川の古戦場跡麦の波  柊
<芳生(地)>


<明子(天)>
波打つ麦の穂を目の前に、思いは時を遡ります。

脱ぎ捨てしままの法被や雨意の風  春愁
<芳生(人)>


<素蘭(地)>
祭の後の為体
雨意の風が嵐を呼ばなきゃ良いのだけれど…

<丹仙(地)>
「雨意の風」が句を引き締めています。


・4点句

悔い少し今年も白のカーネーション  素人
<春愁(天)>
大いに共感・・・

<鞠(人)>
 母の日の母へ贈る花はカーネーション、それも在世の母へは赤い花を、彼の世
の母へは白い花と、昔は分けられていたが、今は教会では赤いカーネーション
だけを用意するようになった。


・3点句

あはれ蚕の上蔟や老の夢まどか  素蘭
<丹仙(天)>
あはれ・・老の夢まどか、という雅やかな語法に惹かれました。どこかゆかしく無意識の宗教性を感じます。 蚕を蔟に上げる作業は、皇居で皇后陛下が5月に行われる伝統的 な行事でもあります。次の世代の生のために死の準備をする蚕の本能的な営みが、母親の子に対する情愛に重なります。

奥宮の神よぶ祝詞夏祭  明子
<あや(地)>
祭と神とのつながりを、厳かに優雅に詠まれています

<松風子(人)>
祭りは俗のにぎやかさ(ケ)にして対して聖(ハレ)の荘厳さが混ざりあっている。その聖の場面が切り取られて描かれています。

かるく笑む口元涼し若きはは  春愁
<柊(人)>


<秋童子(地)>
そう、とても素敵な人でした。

子も孫もこの半纏でこの祭  馬客
<翔河川(地)>
染めが薄くなった半纏で

<明子(人)>
生きている今が、たしかに引き継がれていくという実感が伝わります。
幸せな光景です。

手仕事をするもそぞろや祭笛  松風子
<あや(人)>
実感が伝わってきます

<鞠(地)>
 神道・仏教・基督教その他、一神教・多神教の諸々の宗派の中で、最も夏に
盛んなのは、各産土神の祭ではなかろうか。

復興の祭に子らの声はじけ  秋童子
<あや(天)>
こうあってほしいという願いも込めて・・・


・2点句

神燈に持ち船の名を浦祭  明子
<馬客(地)>
「持ち船の名や」でしたら天なんですけどォ。

復員の昔拓きし麦畑  鞠
<英治(地)>
耕作はいつまで続く。

微笑みはマリアのごとし聖五月  松風子
<明子(地)>
すべての母なる存在へのオマージュ。

ゆるゆるとながらふ絵巻賀茂祭  素蘭
<春愁(地)>
大景観・・・


・1点句

いそいそと娘に添ふ妻の五月来る  芳生
<丹仙(人)>
娘さんの誕生日も母の日と同じ五月なのかもしれませんね。

贈られてしみじみ牡丹息子より  あや
<素蘭(人)>
定番ならぬ牡丹にしみじみ御意 

曾祖母と新茶くみ合ふ母と祖母  鞠
<英治(人)>
幸せの図。

祭来と前垂れ替ふる辻地蔵  鞠
<翔河川(人)>
替えたひとの高揚感