第209回桃李6月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:短夜、田植、梅雨(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 短夜
兼題U 田植
兼題V 梅雨(不言題)

6月15日(土) 投句開始
6月22日(土) 投句締切 翌日選句開始
6月29日(土) 選句締め切り  
7月 1日 (月) 披講 

投句: 芳生、白馬、素蘭、春愁、素人、松風子、鞠、馬客、あや、英治、潮音、柊、明子、丹仙
選句: 芳生、あや、英治、鞠、潮音、雛菊、素蘭、明子、松風子、馬客、丹仙

披講

・15点句

雲踏んで峡の棚田の田植かな  芳生
<英治(天)>
芭蕉の詠みそうな句。

<鞠(天)>
「雲踏んで」が、棚田での農事をよく描いている。

<素蘭(天)>
まさに神仙境

<馬客(天)>
実景をみたことはありませんが、たぶんこうなんでしょうね。

<丹仙(天)>
こういう大きな景の句は良いですね。日本だけでなく、ネパールへ田植え指導に云っている日本人のことも思いました。


・8点句

明け易しネス湖に近き森の宿  柊
<芳生(地)>


<雛菊(人)>


<素蘭(地)>
高緯度地帯の夏のwhite night
湖沼に棲む蛟や怪など魍魎には絶好のtwilight zoneかも?

<松風子(天)>
霧のたちこめるネス湖の風景と季語が照応しています

田を植えて農夫の声のよく通る  馬客
<あや(天)>
広々とした田、生き生きとした農夫たち。詩情溢れる、懐かしさに心寄せる田植えの風景。

<英治(地)>
気分が伝わる。

<松風子(人)>
やり遂げた仕事のあとのさわやかな気分が充分に出ています

<丹仙(地)>
一仕事終えた気分が良く出ています。


・5点句

父母と夢の語らひ明易し  芳生
<鞠(地)>
短夜の夢の中で語らうご両親は、疾うに彼岸におられるのであろうか。

<明子(天)>
懐かしい父母、胸のうちであれこれ語りかけているうちに、はやくも夜がしらじらと明けて来ました。あれは夢だったのかしら。明易しの季語がよく効いています。

ナースコール押して短夜のしらみそむ  馬客
<芳生(天)>
実感が伝わってきます。

<潮音(地)>
身につまされる一句です。


・4点句

短夜や厨の氷生るる音  春愁
<雛菊(天)>


<馬客(人)>
冷蔵庫の自動製氷装置、24時間よく働く。


・3点句

参観や学校田の田植日に  鞠
<潮音(天)>
[23]:田を植えて農夫の声のよく通る
[15]:早乙女や農繁休暇ありしころ
も、非常に良い句と存じます。

わたしの世代でも、「○○君は欠席か」「田植の手伝いです」で何の問題もなかった時代でした。そう考えると、箱庭のような学校田を作って教育の一環として農作業の授業を行なう現代に徘徊味すら感じます。

七変化濡れて乾いてまた濡れて  白馬
<あや(地)>
繰りかえし降り続く雨はまさに梅雨ですね。

<明子(人)>
雨をださずに梅雨を表現するのは難しいですが、表現の工夫が
生きていると思いました。

田を植ゑてインタビュー受く乙女かな  あや
<雛菊(地)>


<丹仙(人)>
インタビューが面白い。観光行事となった早乙女の微笑ましい情景。


・2点句

紫陽花も降る雨も似る異郷かな  あや
<松風子(地)>
異境で発見した故国と同じようなたたずまいに郷愁を感じている様子が表されています

住宅地間近に迫る田植えかな  柊
<明子(地)>
まぎれもなく今の情景です。

田植機の音ひびかざりウイークデー  英治
<馬客(地)>
農を継がず子たちは皆サラリーマン。
さすがに休日の土日だけは老いた両親を手伝う。


・1点句

畦道に赤子転がる田植かな  素人
<あや(人)>
ドキッとする光景ながら、昔はこうした田植えが当たり前のことだった。農村の生命力を感じさせます。

早乙女や農繁休暇ありしころ  素蘭
<芳生(人)>


乳飲み子の田植の母を呼び立てる  松風子
<素蘭(人)>
といって畦に腰掛け授乳していると
「子持ちはええわな。ああやって遊んでばっかおる」 と聞こえよがしの陰口が…(実話です)

短夜の電話は人の死を告げる  英治
<潮音(人)>
大切な人の死はいつも夜突然にですね。
[30]:ぬばたまの南風の匂ひや猫笑ふ
[14]:御器囓の兒も眠りけり黴のなか
のような良い句ももっとあっても良いかと存じます。

短夜や人生きぬくを馬齢てふ  潮音
<英治(人)>
面白い。

ミニボトル手に短夜を過ごしけり  素人
<鞠(人)>
異常に蒸し暑い今年の六月、脱水症にご注意を!