第210回桃李7月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:雷、麦酒、冨士山(不言題)

兼題T 雷
兼題U 麦酒
兼題V 冨士山(不言題)

7月15日(月) 投句開始
7月22日(月) 投句締切 翌日選句開始
7月29日(月) 選句締め切り  
7月31日(水) 披講 

投句: 素蘭、芳生、春愁、鞠、白馬、馬客、雛菊、治男、あや、明子、松風子、柊、丹仙
選句: 芳生、雛菊、春愁、鞠、柊、あや、素蘭、治男、馬客、明子、丹仙

披講

・19点句

城ひとつ隠し切つたる雷雨かな  芳生
<雛菊(天)>


<春愁(天)>
最近とみにゲリラ豪雨、雷が多くて・・・共感

<鞠(天)>
 明治維新を経ても遺った故郷の名城、その盆地を覆う雷雨もまた凄まじい。

<素蘭(人)>
くはばらくはばら

<馬客(天)>
大きい!

<明子(天)>
雷雨の規模がわかります。目の前は真っ白ですね。

<丹仙(天)>
「隠し切ったる」が、景の大きさと歯切れの良さを兼ね備えていて素晴らしい。


・8点句

この国のかたちや夏の大裾野  丹仙
<柊(天)>
大裾野に夏富士の美しさが現れている。

<あや(人)>
この国のかたち、と言い切ったところがいい、です

<素蘭(地)>
威容を観照するにこの立ち位置はなかなか

<馬客(地)>
「この国のかたちや」は唐辛子が有名ですが
この句では精神のありようの表現なのでしょう。


・5点句

雷鳴や子の尾を掴む母の猿  治男
<鞠(地)>
 この場面の前で、私も子の手を握り締めていた。

<柊(人)>
雷と去るを結びつけた意外性がよい。

<あや(地)>
雷鳴のするなか、母子の猿の様子が眼に見えるようです


・4点句

霊峰は八重雲率ひ茄子の花  芳生
<柊(地)>
季語の選び方が絶妙。

<馬客(人)>
「鷹」もいれたかったでしょうね。

<丹仙(人)>
伊豆高原あたりの民宿の情景が浮かびました。


・3点句

暁は北斎ブルー山開  明子
<あや(天)>
富士の品格と美しさのイメージが十二分に表現されていると思いました

朝焼に装ふ山の日本一  柊
<治男(天)>
富士山でしょう。日の出の時が一番綺麗で、神秘的でもあります。
日本一がよく効いております。

遠雷や生干取り込む老いの家  馬客
<素蘭(天)>
「生干」の放つ生彩
実にさまざまなものを天日で干していた昭和30年代の庭先が懐かしい

梅雨の雷板碑朽ちたる髭題目  春愁
<芳生(天)>



・2点句

久闊を叙すとりあえず麦酒かな  馬客
<春愁(地)>
そうですね。あれから・・・十年、お互いに大人になって。

駒草も眠らせ聳ゆ天の山  あや
<雛菊(地)>


締切り日浮雲越しに雷迫り  鞠
<治男(地)>
 浮き雲越しと一拍置いたところが、巧みです。
 原稿の締め切りでしょうか、きっと立派なものが
 出来たでしょう。 

びゐどろの泡に麦酒の泡のせて  雛菊
<芳生(地)>
観察が行き届いています。

ふるさとの瀬音懐かし麦酒酌む  芳生
<明子(地)>
とても素直な句。やさしい時間が流れます。

六根のあふさきるさや夏帽子  素蘭
<丹仙(地)>
「あふさきるさや」という平かなのひしめき合う様が、富士山登山の人々の情景と重なっていて面白い。


・1点句

夏座敷襖絵の峰崇高し  馬客
<明子(人)>
富士山の姿に居住まいを正します。涼しさが絵の中からわきだすような・・

孫を待つ酔はぬ麦酒を用意して  鞠
<治男(人)>
 孫さんは未成年か、幼児でしょう。
 アルコールに酔っては、面目ない。
 真面目な、お爺さんぶりが、表出しています。

雷近しラジオに混じる雑音も  明子
<鞠(人)>
 天気予報を聴いていたら、突如混じる雑音、閃光!

稜線の濃きくれなゐや秋日沒つ  春愁
<芳生(人)>


キャンプの夜世界遺産の報に湧き  鞠
<春愁(人)>
やりました。キャンプファイヤーの火も高々と。

ラマダンの月衰へて麦の酒  丹仙
<雛菊(人)>