第212回桃李9月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:蜻蛉、雨月、東京五輪(不言題)

兼題T 蜻蛉
兼題U 雨月
兼題V 東京五輪(不言題)

9月15日(日) 投句開始
9月22日(日) 投句締切 翌日選句開始
9月29日(日) 選句締め切り  
9月30日(月) 披講 

投句: 春愁、素蘭、雛菊、松風子、潮音、水、あや、馬客、鞠、秋童子、英治、芳生、丹仙、素人
選句: 潮音、芳生、春愁、雛菊、英治、鞠、秋童子、あや、水、素蘭、馬客、松風子、丹仙

披講

・10点句

みちてゆくひかりのにおいうげつかな  潮音
<芳生(天)>
雲の裏にひかりが満ちてゆく気配を読み取ったのが秀抜です。

<春愁(天)>
満月の明かりを匂いで受け止めて

<雛菊(人)>


<丹仙(天)>
雨月と言っても間もなく空が霽れて行く予感、雲間から顔を出す満月の光の満ちて行くさまを「匂い」と表現したところ、素晴らしい句と思いました。


・9点句

しょうねんはちちおやとなりいととんぼ  潮音
<春愁(地)>
少年老い易く・・・思い出します。

<英治(天)>
「糸とんぼ」がうまい。かな書きはミスか。

<鞠(地)>
子連れの蜻蛉釣りは、子供達とはぐれないために、糸蜻蛉が最適です。

<丹仙(地)>
ひらかなの魅力を巧みに引き出していますね。少年と父親を繋ぐ歳月の細きつながりが、眼前の糸蜻蛉のすがたと重なりました。


・8点句

木道を番蜻蛉に追ひ越され  鞠
<秋童子(人)>
穏やかな秋の日の、一瞬の点景。

<あや(地)>
しみじみとした懐かしさが郷愁を誘います

<水(人)>
沼地を散策する人も、番(ご夫婦)だったかな?

<素蘭(地)>
時に翼が欲しくなるわけです

<馬客(地)>
奥日光か尾瀬にでも行かないと。


・6点句

空き店の雨樋破れし雨月かな  馬客
<素蘭(天)>
 浅茅色づく松濤の里

<松風子(天)>
雨月のわびしさが醸し出されています


・5点句

赤蜻蛉思い出あふれ出るばかり  松風子
<英治(地)>
合点がゆく。

<馬客(天)>
我が家の庭にこの秋赤とんぼの影すらなし。

地下御堂香炉の匂ふ雨月かな  丹仙
<潮音(地)>
どちらの堂宇でしょうか。行ってみたくなりました。

<雛菊(天)>



・4点句

敬老日七年先もお元気で  鞠
<あや(人)>
この飄々、淡々とした距離のとりかたに、なんともいえず惹かれます

<水(天)>
老若男女が、指折り数えて、7年後の年齢を展望した夏でした。
後期高齢者にとっては、7年は長すぎる。

少年に野壷の悲劇ぎんやんま  春愁
<秋童子(天)>
自分が泣きたいくらいなのに、親にしかられ、友だちにもばかにされて・・・。 
あの時代、元気な少年たちは、ときにとんでもなくつらい目に遭うことがありました。

<馬客(人)>
一点入れたいような、入れたくないような。

とんばうに淡海の空の広さかな  芳生
<英治(人)>
既にありそうな句だが。

<あや(天)>
とんぼを配した光景の素晴らしさ

名の知れぬ蜻蛉よとまれ図鑑引く  水
<潮音(人)>
作者様はかつて昆虫採集の好きなお子様だったのでしょうか。お人柄がしのばれます。

[19]:その顔はヒーロー戦士とんぼかな
[20]:騙し船素直にだまさる雨月かな(「だまさるる」でしょうか?間違っていたらごめんなさい)
の二句は、理屈で考えずに、素直に「おもしろい」と、好きに感じた句です。

<鞠(天)>
かつての昆虫少年も還暦を迎え、再び捕虫網を掲げて野山を駆け巡っています。


・3点句

大虎斑たわめて毅き蜻蛉かな  丹仙
<潮音(天)>
大きな句かと存じます。

天顔を洗ひ立てたる雨の月  素蘭
<雛菊(地)>


<丹仙(人)>
天顔というのは天子様の顔のことですが、ここでは満月を指すのでしょう。「洗ひ立てたる」という表現に俳諧味を感じました。


・2点句

雨月かなテイルランプは弧を描き  雛菊
<水(地)>
草原の曲がりくねった道を。車が登り行く夜景でしょうか。

見当をつけて見上げる雨月かな  英治
<秋童子(地)>
たぶんあの辺に、と。

七年はながしみじかし鰯雲  英治
<鞠(人)>
自分の余命にとって、七年が長いか短いか。その日の雲の形に左右されますね。

<素蘭(人)>
今年鳴いてた蝉の子が地中で過ごす期間を思えば…

失恋歌ばかり雨月の歌謡ショー  鞠
<松風子(地)>
雨月なればこそ失恋歌も浮き立つものか

虫の音の一途に鳴ける雨月かな  松風子
<芳生(地)>
月を恋いて一途に虫が鳴いている。


・1点句

赤とんぼ都会の暮らし拒む母  素人
<春愁(人)>
戸惑いと母への心遣い・・・

少年の瞳に今日の秋高し  馬客
<松風子(人)>
五輪とはかぎらず、清々しさの感じられる句です

月の雨手持無沙汰のひとり酒  素人
<芳生(人)>