第217回桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:冴返る、雪解、冬季五輪(不言題)

兼題T 冴返る
兼題U 雪解
兼題V 冬季五輪(不言題)

2月15日(土) 投句開始
2月22日(土) 投句締切 翌日選句開始
3月 1日(土) 選句締め切り
3月 2日(日)  披講

投句: 春愁、白馬、素人、馬客、芳生、柊、鞠、素蘭、潮音、ぽぽな、秋童子、あや、英治、翔河川、治男、松風子、丹仙
選句: 芳生、英治、柊、あや、鞠、白馬、春愁、翔河川、松風子、ぽぽな、素蘭、潮音、治男、馬客、素人、秋童子、丹仙

披講

・15点句

銀盤の孤独な軌跡冴返る  素人
<柊(天)>


<春愁(人)>
重責を担って

<松風子(地)>
銀盤を孤独と闘いながら競技するアスリートの姿が見えてきます

<ぽぽな(天)>
自らに厳しく鍛錬するスケーターの姿が見えました。

<素人(天)>
自分しか頼れない孤独な競技。重圧はすさまじいものでしょう。季語が響きます。

<丹仙(天)>
黙々と練習している景が浮かびました。「孤独な軌跡」が良いですね。


・10点句

印結ぶ仏像の手の冴返る  柊
<芳生(天)>
着眼がよいと思います。

<英治(地)>
いかにもの感。

<潮音(地)>
「仏像の手の冴返る」の「仏像」は動かせるかもしれないが、「手の」の「の」は動かせない。すばらしい感覚である。

<馬客(天)>
ご本尊の鎮座する本堂など、森閑として
身の引き締まる寒さがある。


・8点句

此の道を再々入院冴返る  丹仙
<英治(人)>
同じ経験を…。

<あや(人)>
心情が伝わってきます

<鞠(天)>
 心臓を病む家族を抱えて、厳寒の朝、幾たび救急車のお世話様に与ったことでしょうか。

<秋童子(天)>
ようやく退院できたのに、またまた同じ道を・・・。


・7点句

雪解けの川三界に轟けり  秋童子
<白馬(地)>
轟々と天地に。山間の大きな景ですね。

<松風子(人)>
いきおいよく流れる雪解川の音が光とともに聞こえてきます

<ぽぽな(地)>
「轟けり」から大河を思いました。「三界」に荘厳さが漂います。

<素人(地)>
壮大なスケールを感じさせます。


・6点句

冴返る龍馬が墓につづく坂  芳生
<英治(天)>
趣のある景。

<治男(天)>
 龍馬の墓へ登り行く、坂道での
 雰囲気、気分が、よく表現されている。

就活の子を見送るや冴返る  馬客
<鞠(人)>
 御親子共に、心労多いことと存じますが、経験を重ねる毎に、息子の背中が
頼もしく感じられるようになった記憶があります。

<白馬(人)>
あぁ、親も大変だ−−−。

<春愁(地)>
親の気持ち、子の気持ち

<素蘭(地)>
 言はで思はむ一輪の梅


・4点句

五箇山に雪解の水の迸る  素人
<芳生(地)>


<鞠(地)>
 五箇山の四季の中で、残念ながら冬にお訪ねしたことはありませんが、あの
合掌造りの雪景色の深さは想像に余ります。

七次元レベルの話冴返る  素蘭
<潮音(天)>
なぜ「七次元」なのだろう。
おもしろければそんなことはどうでもいいのだ。

すばらしいのは、本句において「冴返る」が季語として、ある意味、全く用を成していない点である。換言すれば、無用の用を成しているとでも言おうか。
爽快というよりほかはない。

<丹仙(人)>
なんだかよくわかりませんが、そこが想像力を刺激して面白い。
3+1+3 という異次元から日常を見てみたいですね。

迷解けて雪解雫の音高し  松風子
<柊(人)>


<白馬(天)>
如何なる迷いであったか? 心の平静と雫の間合いが感じられます。

紋付の太夫過ぎ行く雪解道  柊
<あや(地)>
一幅の絵のような雪解けの光景

<翔河川(人)>
大変そう

<治男(人)>
 季語とこの人物の取り合わせが、
 面白く上手である。


・3点句

言い訳はソチに封じて沙羅の春  秋童子
<春愁(天)>
大舞台には魔物・・・若いのに立派

金閣の金の耀ふ雪解光  芳生
<松風子(天)>
雪解時の金閣寺の輝きが、音をともなって見えてくるようです

空高くジャンプする夢春炬燵  松風子
<柊(地)>


<ぽぽな(人)>
オリンピックの競技を見たあとうとうとと。気持ちいいですね。

父眠る大樹の蔭や雪解水  潮音
<素蘭(天)>
この心象風景は実に興味深い

寝そびれてしまふやソチの夢二月  素蘭
<あや(天)>
四年に一度の祭典です、いつしか惹きこまれ、熱い声援をおくっている

響かせて雪解雫の朝かな  あや
<秋童子(人)>
あの大雪の翌朝は、わが家の軒先でもリズムよく。

<丹仙(地)>
今年は日本各地で何年ぶりかの大雪。我が家は雨樋が倒壊してしまいましたが。


・2点句

居ながらに冨士見る贅や雪解風  春愁
<治男(地)>
 富士山の見える所のお住まいか。
 或いは、近辺に来ているのか。
 世界遺産となった富士を見るのを、
 贅と表したのが、よく効いている。

くり返し遅延のお詫び冴返る  英治
<馬客(地)>
交通機関の原因・理由のないお詫びの
アナウンスほどイラつくものはない。
心まで寒くなる。

氷る夜や君国背負ふ事なかれ  丹仙
<秋童子(地)>
メダルメダルと騒ぎ過ぎ。

なめらかにつきさすひかり冴返る  潮音
<翔河川(地)>
どんなひかり


・1点句

魚は氷に上れば人は氷に競う  馬客
<素蘭(人)>
「魚木に上る気色」の前哨戦のような…

冴返る道を友待つ縄暖簾  あや
<馬客(人)>
うちで独り静かに飲んでりゃいいのに。
やっぱり人恋しいんですなァ。

重圧に慄く真央の春哀し  素人
<芳生(人)>


退院の日取り決まらず雪解道  丹仙
<潮音(人)>
ご快癒をお祈りするばかりです。

漏れ止まぬ被災の街よ冴返る  秋童子
<素人(人)>
ほんとに困ったものです。