第218回桃李3月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:桃の花、卒業、3/11 (不言題)

兼題T 桃の花
兼題U 卒業
兼題V 3/11 (不言題)

3月17日 (月) 投句開始
3月24日 (月) 投句締切 翌日選句開始
3月31日(月) 選句締め切り
4月01日(火)  披講

投句: 芳生、素人、松風子、水、鞠、馬客、英治、素蘭、ぽぽな、柊、翔河川、秋童子、治男、明子、あや、春愁、丹仙
選句: 芳生、春愁、英治、松風子、素蘭、馬客、ぽぽな、治男、秋童子、明子、あや、丹仙

披講

・11点句

甲斐はいま山の襞まで桃の花  芳生
<松風子(天)>
茫々とひろがる梅の里の景がみえます

<素蘭(天)>
「桃夭」を口ずさみつつヴァーチャル吟行します

<ぽぽな(人)>
山の襞までがよかったです。

<明子(人)>
山の襞までが決して誇張ではない、桃の花に埋まった甲斐の国です。

<あや(地)>
山の襞まで、がすごい、と

<丹仙(人)>
この景の大きさが良いですね。


・6点句

気仙沼「ここで生きる」と卒業生  秋童子
<芳生(人)>
実感が籠っています。

<馬客(地)>
この「気仙沼」は、ニッポンの全ての復興の地の象徴として
はたらいている。

<明子(地)>
三月はほんとに辛い月となりました。そのなかで「ここで生きる」という言葉は未来への希望です。

<あや(人)>
若い人たちの決意が、ときに痛々しい・・・

鳥曇難民を生む国となり  あや
<秋童子(天)>
まさかこの日本が。

<明子(天)>
故郷を心ならずも離れねばならない人々が、こんなにも大勢生れてしまいました。鳥曇の季語が辛さを倍増させます。


・5点句

大股に袴さばきて卒業す  明子
<英治(天)>
すっきりとした句・類句があるかも。

<馬客(人)>
昔々の女学生も結構こうだったのでしょう。

<治男(人)>
 大学の卒業式でしょう。着初めない
 袴で、嬉しそうに同窓生達と、はしゃいで
 いる様子が出ている。

忘れたい忘れたくない春怒涛  明子
<春愁(天)>
気持ちのこもった佳句

<英治(地)>
心情が伝わる。


・4点句

被災地の白き涙か花辛夷  柊
<芳生(地)>
花辛夷に仮託された被災地の悲しみ、が分かります。

<松風子(地)>
「白き涙」が効いています

ほろほろの布衣繕ふや桃の花  素蘭
<秋童子(人)>
穏やかな春のひととき。

<丹仙(天)>
桃の花の有様を「ほ」音の連なりで表現しつつ、「布衣」という古語を持ってきたところが秀逸。


・3点句

祈りとは命よ春の海ひかる  ぽぽな
<あや(天)>
あとは祈り

親も子も奪いし海よ春霞  秋童子
<治男(天)>
身近な人を詠んだ。春霞の中に
悲惨な想いを描いている。悲痛さが
出ている。 

会葬の人皆長寿桃の花  馬客
<ぽぽな(天)>
天寿を全うされた方の葬儀と思い読みました。桃の花がほがらかでいいです。

階段の熱き告白卒業す  芳生
<春愁(地)>
青春時代

<松風子(人)>
純情な青春の一齣がよみがえります

里山に迷ひ日暮れて桃の花  松風子
<芳生(天)>
陶淵明の桃源境を連想しました。

桃の花活けてリハビリ終りけり  丹仙
<馬客(天)>
頑張ったリハビリ、身体機能も気力も回復した。
静かなる自信。

桃の花菩薩となりて眠りおり  翔河川
<英治(人)>
何か感じさせる。

<丹仙(地)>
棟方志功の版画にでも出てきそうな情景ですね。


・2点句

三月十日鮮やぐ空のありにけり  松風子
<素蘭(地)>
東京大空襲の猛火
東北大震災の津波
人災と天災と…

試験すみ娘のほっぺた桃の花  治男
<秋童子(地)>
なんともかわいい。

卒業の子の長々と居間に寝る  馬客
<ぽぽな(地)>
この「長々」は時間でなく背丈として読みました。その子を見る目の嬉しさとちいさな困ぱいとのちょっととぼけた趣きがいいです。

塀ありて安堵と孤独桃の花  英治
<治男(地)>
 老いて一人住まいでしょう。
 立派な塀に安堵感が、よく表れている。
 桃の花が句に効果的である。


・1点句

職退いて部下は子犬や春炬燵  春愁
<素蘭(人)>
問題は成長(或いは老化)の速さかも?
十数年後、耳は遠く目は白内障足腰弱り各種生活習慣病を患い…(以下略)

名ばかりの復興の里 桃の花  秋童子
<春愁(人)>
縦割り行政 何とかなりませんか