第223回桃李8月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:雹、送り火、スーパームーン(不言題)

兼題T 雹
兼題U 送り火
兼題V スーパームーン(不言題:「月」は使用可)

8月15日(金) 投句開始
8月22日(金) 投句締切 翌日選句開始
8月29日(金) 選句締め切り
8月31日(日) 披講

投句: 松風子、素人、素蘭、芳生、春愁、楽千、英治、馬客、省吾、秋童子、柊、明子、ぽぽな、丹仙
選句: 楽千、芳生、松風子、春愁、柊、英治、素人、秋童子、素蘭、ぽぽな、馬客、省吾、明子、丹仙

披講

・10点句

送り火を振り返りふりかへり消ゆ  英治
<素人(地)>
送られる側の未練ですね。

<秋童子(地)>
大切な人が、また彼岸へと戻って行ったのでしょうか。「ふりかへり」に思いがこもります。

<素蘭(天)>
乱調ながらこの美意識に天

<馬客(天)>
新盆の方々の霊か、一読胸が切ない。
五・十・二の破調が最高難度。
声に出して読むべき句と思います。


・8点句

百八の送火消ゆる浜辺かな  丹仙
<松風子(天)>
闇を遠ざかる送り火が寂しく目に残ります

<英治(地)>
津波に消えた人々を。

<明子(天)>
寂しさと懐かしさが交錯する景がひろがります。波の音、薄れてゆく煙の匂い、
そして闇の深さが伝わってきます。


・6点句

送り火に小さな合掌仮設の児  秋童子
<素人(天)>
仮設住居暮らしはまだまだ続くのでしょうね。

<省吾(天)>
地震、津波、豪雨、土石流。自然のなせる業とはいえ信じられないくらいの過酷な昨今の荒れよう。せめて人災だけは避けねばやり切れません。

送り火や反古になりたるもの数多  松風子
<楽千(天)>
人生はいつも途中、逝ってしまへば心果たせぬまま反古になる事多し。

<秋童子(人)>
本当にそうですね。親を亡くしたあと実感しました。

<馬客(地)>
反古にしたのか、されたのか、所詮人生そんなもの。

送り火を終えて夜空は星のもの  ぽぽな
<柊(地)>
湿っぽくない送り火が良い。

<省吾(人)>
京都五山の送り火には市内の灯りは抑えられるとか、この日は普段見られない星空が広がるのでしょうか。

<丹仙(天)>
送り火が消え去ったことで、その記憶が星空に残りました。

ぼうぜんと畑打つ雹を見てゐたり  芳生
<英治(天)>
どうしようもない空しさが。

<素人(人)>
生産農家さんの心境ですよね。

<明子(地)>
あまりのことにただ見ていることしかできないのです。


・5点句

山の端を揺りて巨きな月昇る  芳生
<柊(天)>
スーパームーンに相応しい大きな景。

<丹仙(地)>
「揺りて」がスーパームーンを捉えましたね。

優柔を叱咤するごと氷雨打つ  松風子
<芳生(地)>


<春愁(天)>
氷雨打つは、ぐずぐずしている心に楔なんですね


・3点句

大いなる満月にしてガザに死す  英治
<秋童子(天)>
国家とは、民族とは、宗教とは? 奇跡の満月の夜だというのに、繰り返されるこの不条理!

送り火や暫し煙のたゆとへり  楽千
<英治(人)>
情感がある。

<ぽぽな(地)>
煙に注目したところ。

送り火を育てゐる肩落ちてをり  明子
<芳生(天)>
よく見ています。

甚平の抱かれし嬰の盆の窪  柊
<ぽぽな(天)>
やわらかです。子は宝です。

ビー玉の音して雹の降り始む  ぽぽな
<楽千(地)>
不意に時ならぬ音が。どこか懐かしいビー玉の音がふと甦る。

<春愁(人)>
ビー玉のような大きな雹と、大音声


・2点句

送り火もLEDの青さかな  馬客
<松風子(地)>
送り火の青い火はあたかもLEDようだと作者は感じている。

坂下の街や溢るる雹出水  丹仙
<素蘭(地)>
治水がこの国の一大事であることを改めて認識させられます

大気澄み月のあばたが笑窪とも  素人
<芳生(人)>


<柊(人)>
微笑ましい。

月澄みて身は月色になりにける  松風子
<春愁(地)>
身も心も澄み切って・・・いいですね

月ふくらむ億の瞳に見つめられ  ぽぽな
<楽千(人)>
大宣伝で迎えられたスーパームーンの日、億の瞳が空を見上げた。

<明子(人)>
大勢の人々に見られることでスーパームーンになったという感覚が楽しいと思いました。

凶事の絶えぬ世なれば雹叩く  馬客
<省吾(地)>
人間の我儘し放題に雹のみならずあらゆる自然が地球をたたいているのでしょうか。


・1点句

送り火の果てたる闇の虚ろかな  芳生
<馬客(人)>
こう詠みたい気持ちが日本人。

送り火や子ら三人を遺さるる  素人
<松風子(人)>
来し方をを振り返ればいろいろなことが思い出されるという感慨を詠った句

野分来て巨大な月は雲の中  省吾
<素蘭(人)>
九月九日が今年最後のチャンスとか、、、

雹叩く都市の迷路のアソファルト  楽千
<丹仙(人)>
「迷路」がお手柄です。

檸檬の香残る指もてピアノ弾く  柊
<ぽぽな(人)>
ちょうど近くにこんな人がいるのです。