第226回桃李11月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:雨、雪、風

兼題T 雨
兼題U 雪
兼題V 風

11月15日(土) 投句開始
11月22日(土) 投句締切 翌日選句開始
11月29日(土) 選句締め切り
11月30日(日) 披講

投句: 白馬、芳生、素蘭、楽千、松風子、春愁、馬客、秋童子、英治、省吾、素人、治男、明子、あや
選句: 楽千、芳生、英治、省吾、素人、松風子、あや、馬客、秋童子、素蘭、治男、明子、春愁

披講

・11点句

しぐるるや寡黙の友に酒を注ぐ  馬客
<英治(地)>
情感が在る。

<省吾(天)>
常に寡黙でしたが、何故かいつも一緒でした。来年13回忌を迎えます。

<素人(天)>
健さんへの追悼句でしょうか。

<治男(天)>
寡黙ながら、友の人柄をよく知っている仲で
しょう。友情が表れています。


・10点句

ふるさとは既に雪道母ひとり  省吾
<英治(天)>
独居の母への思いが。

<素人(人)>
ふるさとにひとり暮らす母上を想っての一句。一緒に住もうと何度誘ってもウンとは言わないのですよね。

<秋童子(天)>
雪国でひとり暮らす母上を案じるお気持ちが伝わってきます。

<明子(天)>
ひたすらに思う故郷です。


・6点句

煤逃げの風におどろく家路かな  英治
<芳生(天)>
風音が妻の小言に聞こえたのでしょうか。諧謔の効いた句です。

<省吾(地)>
年の瀬が迫ると何とか理由をつけて出かけようとするのを見越してあれこれと用事を言いつけてきます。

<春愁(人)>
煤逃げの面白さ、何かうしろめたさも


・5点句

時雨るるや落柿舎にある投句箱  素人
<楽千(地)>
時雨、落柿舎、投句箱と一直線上に「俳句」あり。

<あや(天)>
時雨の風情が増します


・4点句

豪雪の隠し切つたる平家谷  芳生
<馬客(地)>
息をひそめて炉辺の落人

<明子(地)>
豪快な景色。

時雨るるや露座大仏の半眼に  楽千
<松風子(人)>
半眼の露座大仏が時雨に照応します

<馬客(天)>
なにか付言すれば句に失礼なような気がして・・・
しみじみ「いい句だなぁ」と思いました。

鶴来る異国の風を身に纏い  白馬
<あや(地)>
遠きところをはるばるやって来た白鳥

<秋童子(地)>
大空の風に乗り、軽々と国境も超えて。


・3点句

風を割く無双の構へ枯蟷螂  春愁
<松風子(天)>
枯蟷螂が何事かを訴えているさまが出ています

枯蔓を引けば雨来る空もやう  あや
<英治(人)>
雰囲気がよい。

<松風子(地)>
深閑とした冬枯れの風景が見えます

北風荒れて音に疲れてゐたりけり  明子
<楽千(天)>
眠れない一夜に神経が疲れてしまった。

蜘蛛の糸キラリと空へ雪迎え  秋童子
<春愁(天)>
お釈迦様のご来光か

蒼天や逆さ富士にも白き雪  治男
<素蘭(天)>
photogenic大賞を差し上げたい

通夜帰りふたりの肩に初時雨  省吾
<秋童子(人)>
ご夫婦でしょうか、おふたりの肩にも涙の雨が。

<春愁(地)>
哀歓が漂う


・2点句

解散の風に屹立冬の葦  秋童子
<治男(地)>
 この度の解散は、葦までも驚き
戸惑いの風に揺れている。
 屹立が効いている。

告白のとぎれとぎれに風花す  松風子
<素人(地)>
さもありなんと思わせる句。

木の葉雨 クルクル フワリ カサ コソリ  秋童子
<芳生(地)>
擬音語が効いています。

狛犬に盛り塩ほどのしづり雪   春愁
<芳生(人)>
よく見てゐる句です。

<あや(人)>
盛り塩ほど、が良いかと

名にし負ふ京の時雨に逢ひにけり  明子
<素蘭(地)>
心せかるる冬の旅人


・1点句

木枯や妻の不機嫌因不明  馬客
<省吾(人)>
箸が転んでも不機嫌になる年頃ってあるのでしょうか。たまりません。

風師今蜂吹くところ目貼せむ  素蘭
<馬客(人)>
「目張せむ」などといいなが、炬燵から
なかなか立てないのでしょ?。

冬ざれの風音ばかり落城址  芳生
<明子(人)>
寒さが惻々と伝わってきます。

ふるさとより雪の知らせの二つほど  あや
<楽千(人)>
二つも知らせをもらって望郷の念が募ってゆく。

風呂吹を見つけ始まる話かな  あや
<素蘭(人)>
ほっこりしそう。。。

雪蛍触れんとすれど消えにけり  白馬
<治男(人)>
 体験した実感でしょう。
 作者の気持ちも良く出ています。