第229回桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:寒明、獺祭、バレンタイン(不言題)

兼題T 寒明
兼題U 獺祭
兼題V バレンタイン(不言題)

2月15日(日) 投句開始
2月22日(日) 投句締切 翌日選句開始
3月 1日(日) 選句締め切り 
3月 2日(月) 披講

投句: 素蘭、白馬、春愁、芳生、潮音、秋童子、馬客、松風子、柊、翔河川、素人、あや、英治、丹仙
選句: 柊、芳生、春愁、英治、あや、潮音、白馬、素人、素蘭、秋童子、馬客、松風子、丹仙

披講

・12点句

寒明の光や逝きし母の貌  丹仙
<あや(天)>
寒明の光のなかに今は亡きお母君の崇高な気配が

<潮音(人)>
好みの問題でしょうが、普通に「顔」でもよいかとおもいます。

こころうたれる佳作であることに些かの異論もありません。

<素蘭(天)>
看取りの視座に末期の眼を重ねれば
さながら蕪村の「しら梅に明る夜ばかりとなりにけり」の境地でしょう

<秋童子(地)>
寒明けの光の中に、母上は静かに旅立って行かれたのでしょう。

<松風子(天)>
寒明けの透き通るような明るさのなかに母の貌が見えてくる状景がよく分かります。


・10点句

チョコレート渡せず鞦韆漕ぎ帰る  柊
<芳生(人)>
短篇小説のような句。

<素人(天)>
共感の一句。 思い出すなあ、あのころのこと。

<馬客(天)>
せつないね〜。でも、こんな遠い思い出があってもいい。
「鞦韆」は「ブランコ」と読ませてもらいました。

<丹仙(天)>
不言題ですが、物語性を感じさせる句として頂戴しました。鞦韆漕ぎ帰る、が面白い。


・7点句

病みし子に笑み戻りきて寒の明け  秋童子
<潮音(天)>


<白馬(天)>
「良かったね、良かったね」と言ってあげたい。

<素人(人)>
インフルエンザでしたか。


・6点句

禅堂に警策響く寒の明け  素人
<柊(天)>
寒の明けと入ってもぴりっとした空気が感じられる。

<芳生(天)>
警策の音と寒明けの季語とがぴたり合っていると思います。


・5点句

寒明けの小さき寝息に添うて臥す  馬客
<芳生(地)>


<英治(天)>
幸福感が。

ふんはりとショコラの香りある二月  春愁
<英治(地)>
たしかに。

<馬客(人)>
とてもよく雰囲気を捉えている句です。

<丹仙(地)>
不言題として自然体の句ですね。いかにも美味しそうです。


・3点句

寒明の光むさぼる瀬戸の海  潮音
<秋童子(天)>
まだ風も冷たい瀬戸の海に、日差しだけはあふれるように。

寒明や秘仏公開してゐたる  松風子
<春愁(天)>
仏さまも春が待ち遠しい

春めきて面皰の子等のチョコ騒ぎ  馬客
<素人(地)>
そんな見方も確かにできます。ちとかすかなひがみも漂うかな。

<秋童子(人)>
いまは手作りを贈るのがはやりとか。中高生ぐらいの女の子にとっては重要イベントなのですね。


・2点句

 勝訴状掲ぐ韋駄天寒明くる  春愁
<松風子(地)>
ある種の爽快感があふれてれます。

寒明にとがって甘し金平糖  翔河川
<白馬(人)>
三つの取り合わせが楽しい。

<丹仙(人)>
配合の妙を頂戴しました。

獺祭の獲物狙いて猫二匹  白馬
<柊(人)>
したたかな猫。

<松風子(人)>
季語とフレーズが照応しています。

獺祭や大き泡吐く山の淵  芳生
<潮音(地)>


獺祭やなじみてながし電子辞書  英治
<柊(地)>
俳句を作るのに大変お世話になっている、電子辞書

チョコかなと開けた箱から蕗の薹  秋童子
<白馬(地)>
下五で思わず笑ってしまいました。軽妙!

月にいる動物なあに獺祭  潮音
<春愁(地)>
うさぎだけではない?

冷えまさる母の指なり放し難  丹仙
<素蘭(地)>
斎藤茂吉「死にたまふ母」連作哀傷歌が彷彿としてよみがえります

平等にチョコ頂戴し春の雪  英治
<あや(地)>
”平等に””頂戴し”の淡々さが大物風

ガレージセールときに上客獺祭  春愁
<馬客(地)>
なるほど、確かに獺祭風店構えがよくありますね。


・1点句

寒明やくつくつ煮立つ三島鍋  素蘭
<あや(人)>
寒明といえども、まだまだ鍋です

寒明や飛び越えたるは潦  柊
<英治(人)>
力が身に。

春の日や机にひとつ義理のチョコ  素人
<春愁(人)>
少しうれしく少し寂し

不自由なる自由娯しむ獺祭忌  松風子
<素蘭(人)>
これぞ連句の醍醐味