第232回桃李5月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:夏めく、薔薇、平和憲法(不言題)

兼題T 夏めく
兼題U 薔薇
兼題V 平和憲法(不言題)

5月17日 (日) 投句開始
5月24日(日) 投句締切 翌日選句開始
5月31日(日) 選句締め切り 
6月 1日(月) 披講

投句: 素蘭、楽千、白馬、松風子、愛子、素人、馬客、英治、秋童子、春愁、芳生、あや、柊、治男、翔河川、明子、丹仙
選句: 楽千、英治、芳生、白馬、松風子、あや、明子、春愁、秋童子、愛子、素蘭、治男、馬客、丹仙

披講

・10点句

夏草や死者の総意の第九条  英治
<白馬(天)>
それ程大切な憲法なのです。

<あや(地)>
死者の総意を無にしてはなりません

<明子(人)>
だからこそ軽んじてはいけないと、怒りとともに
訴え続けたい。

<秋童子(天)>
「死者の総意」、その通りですね。世界中の戦争犠牲者の思いがこもった条文です。「夏草や」も、芭蕉の「兵どもが夢の跡」を連想させ、死者の無念さがこの句の背景に漂うように感じました。

<丹仙(人)>
夏草や、が南洋でなくなられた戦没者への作者の思いを象徴しています。


・8点句

夏めくや浅瀬に光る魚の腹  松風子
<楽千(人)>
冬場下流域に忍んでいた魚たちも立春以降は、上流を目指し遡上してゆく。
浅場に光る魚影も命の輝きで眩しい。命あるものに夏がやって来た。

<英治(天)>
何となく芭蕉の雰囲気。

<あや(人)>
夏めきます!

<明子(地)>
きらきらと光る銀色の魚、視覚から感じる
初夏の輝きです。

<愛子(人)>
子供達を連れて川釣りに出かけた記憶が甦りました
簡単な支度で浅瀬で危険も無く小さな魚が・・と懐かしい記憶のひとコマでした


・6点句

ギヤマンの彫の鋭角夏きざす  愛子
<芳生(天)>


<素蘭(天)>
露台に挙り酌み交はす酒

正論はときに暴論夏あざみ  春愁
<楽千(天)>
運命はかく扉を叩く。雄弁なリーダーの熱弁に我々衆愚の民が呼応するとき、悪魔の足音が忍び寄って来ている。

<愛子(地)>
夏あざみを持ってこられたのがお上手と思いました
見た目の色に手を伸ばしては棘に刺されますよと、、
国会での喧々諤々とした討論の様子を見ているような気持ちになりました

<馬客(人)>
どこにも居るんですねェ。この手の人が。


・5点句

九条を変へてはならぬ道おしへ  素人
<秋童子(地)>
いまの首相にも、ぜひ教えていただきたいものです。

<治男(天)>
道おしえの季語がよく効いています。
 正道を教えて貰いたいですね。

戦争の匂ひもぞする晶子の忌  芳生
<明子(天)>
晶子の忌だけに、切実さと声をあげねばという思いが
強くなります。

<春愁(地)>
平和憲法守りましょう

夏めくやクラスにやはり問題児  英治
<治男(地)>
 新学期も二ヶ月終わり、問題児が現れて
 教師も、担任のクラスを軌道に乗せるの
 に戸惑っている様ですね。

<馬客(天)>
夏めく頃、新入生も環境に慣れて、そろそろ「地」が出てくるんです。

若き日の罪悔いている夜の薔薇  馬客
<白馬(地)>
薔薇を見る度に。

<松風子(天)>
夜の薔薇の雰囲気が前段のフレーズと照応しています


・4点句

夏めくや窓全開のローカル線  柊
<英治(人)>
いかにも初夏らしい。

<春愁(天)>
とてもすがすがしい

紅薔薇や球探しいる補欠の子  治男
<芳生(地)>
補欠の子と薔薇との取り合わせが面白い。

<馬客(地)>
「補欠の子」が切ないです。


・3点句

英国に王女誕生薔薇薫る  素人
<あや(天)>
薔薇の持つ高貴さ美しさがこの上なく相応しいオケージョン

薔薇咲いて母訪ねたき心地せり  明子
<丹仙(天)>
きわめて個人的な鑑賞になりますが、亡き母が白薔薇が好きだったので、大いに共感した次第。

若葉風入れる生家の主柱  愛子
<英治(地)>
情景が浮かぶ。

<素蘭(人)>
已んぬる哉上簇の業

ボヘミアングラスに一輪薔薇の濃し  春愁
<愛子(天)>
どの技法で作られているボヘミアングラスなのか想像しながら
その存在感に一輪の薔薇が負けていないと言い切った小気味よさなのでしょうか
破調で何度も読み返していましたがやはり「好き!」と言う気持ちが深まりました


・2点句

色褪せし不戦の誓ひソーダ水  楽千
<松風子(地)>
ソーダー水の甘酸っぱい味が色褪せた誓いにあっています

風ぬける煉瓦校舎や夏めきぬ  あや
<楽千(地)>
当時はモダン建築であった赤レンガの校舎も、卒業して久々に見れば随分と古びて見える。自分も年をとった。傍らを新しい風が吹き抜けてゆく。

夏めくやうどんの麺を切るリズム  治男
<丹仙(地)>
夏の気分が良くでていますね。

論破する紅き口角薔薇闌くる  愛子
<素蘭(地)>
糺の森に競ふ蛍火


・1点句

この男九条壊す夏の陣  白馬
<秋童子(人)>
このところの乱暴狼藉は目に余ります。

夏めきて少し寄り道神田川  丹仙
<春愁(人)>
初夏のうきうきした気分

夏めくや水源の山青みきて  明子
<松風子(人)>
山が青めくという様子はいかにも夏来るの感じがあります

覗き込み薔薇の迷路に引き込まれ  翔河川
<治男(人)>
 薔薇の刺を気にしながらも、薔薇の美しさに
 引き込まれ、迷路に入っている気持ちが、
 よく分かります。

薔薇と雨君泣くときの肩小さし  楽千
<白馬(人)>
いじらしい女性の肩が。

薔薇よりも野に咲く花にふと見とれ  秋童子
<芳生(人)>
豪華な花より名もない花に惹かれることが多々あります。