第235回桃李8月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:残暑、踊、戦後70年(不言題)

兼題T 残暑
兼題U 踊
兼題V 戦後70年(不言題)

8月15日 (土) 投句開始
8月22日(土) 投句締切 翌日選句開始
8月29日(土) 選句締め切り 
8月31日(月) 披講   

投句: 楽千、白馬、素蘭、春愁、素人、秋童子、翔河川、松風子、愛子、柊、馬客、芳生、あや、英治、潮音、明子、丹仙
選句: 潮音、楽千、秋童子、芳生、柊、春愁、英治、あや、愛子、素蘭、馬客、松風子、翔河川、明子、白馬、丹仙

披講

・13点句

暗闇をつまみて白き踊りの手  翔河川
<潮音(地)>
幽玄な雰囲気。表現も絶妙。

<秋童子(天)>
あの指先が、暗闇をつまんでいたとは。

<柊(天)>


<英治(地)>
絵画的。

<愛子(天)>
暗闇をつまむと言う表現に惹かれました


・8点句

ラジオから「茶色の小瓶」敗戦忌  春愁
<楽千(人)>
敗戦を境に敵国の文化が輝いた。チョレーチ、ファッション、ジャズ!

<愛子(地)>


<馬客(天)>
私が初めて聴いた曲はFENから流れてきた
「スローボート ツー チャイナ」でした。
でもグレンミラーも強烈に懐かしいですね。

<丹仙(地)>
敗戦後は、鬼畜米英の戦中とは打って変わって、アメリカの文化が流入し、グレンミラーを主人公とする映画もヒットしましたね。


・7点句

忘れたる一語を探す残暑かな   芳生
<楽千(地)>
その一言が出ないのは歳のせいに非ず、暑さのせいである。

<柊(人)>


<翔河川(天)>


<白馬(人)>
何とか思い出した時の安堵感。暑さも瞬間忘れますね。


・6点句

秋暑し惜敗の子ら整列す  馬客
<あや(地)>
毎年人々に感動を与えてくれる若者たちです。

<松風子(天)>
熱戦のあとのまださめやらぬ興奮状態が、秋暑しに感じとれます

<丹仙(人)>
暑さにも敗戦にもめげずにきりりと整列した球児達が目に浮かびます。

後ろ手に帯を直して踊りの輪  春愁
<楽千(天)>
手が出なくったて腰と足で器用に踊る。

<愛子(人)>


<馬客(地)>
貝の口をちょいと締め直して
チョイ渋の男が踊りの輪に。

忠魂の彫りも薄れて藪枯らし  愛子
<芳生(地)>
忠魂碑が薄れて立っている。藪枯らしが碑に纏わりついている。まさに戦後七十年ですね。

<英治(人)>
時の流れか。

<丹仙(天)>
「藪枯らし」のさりげない季語が効いています。進駐軍によって撤去された数多くの忠魂碑、七〇年前は軍国主義の象徴でしたが、今、わずかに残る碑の文字も、人々の記憶も薄れ、雑草のなかに埋もれてしまった。

落書きのゴジラ火を吐く街残暑  愛子
<春愁(地)>
暑気中りですよね

<英治(天)>
うまいうまい。

<馬客(人)>
あァやっぱりゴジラのせいだったんですね、
今年の暑さは。


・5点句

戦前がもう隣りまで敗戦忌  秋童子
<芳生(天)>
「戦争が廊下の奥に立ってゐた」(渡辺白泉)いう句を思い出しました。

<明子(地)>
気がつけばこんな事態になってしまいました。黙っていてはいけないと
強く思います。


・4点句

明け初めて現に還る踊かな  芳生
<素蘭(天)>
網笠脱がむ爽涼の町

<明子(人)>
風の盆や郡上踊りを思い浮かべました。

極楽の余り風ある残暑かな  白馬
<翔河川(人)>


<明子(天)>
なんとか乗り切れそう・・・

老妻の故郷遠し盆踊  馬客
<潮音(天)>
奥様への愛情が感じられました。

<春愁(人)>
遠くて近いふるさとですね


・3点句

語り部の息継ぎ多し残暑かな  楽千
<あや(天)>
日本が経験してきた悲惨な歴史が、残暑のなかの語り部の様子に浮かび上がる。

玉砕も玉音も亡き秋暑かな  丹仙
<白馬(天)>
この平和をずっと。

未来図の崩えて身に入む秋津島  松風子
<春愁(天)>
これからの日本、どうなることやら


・2点句

芋の葉も動かぬ真昼秋暑し  明子
<柊(地)>


佐渡八丈流人の島の盆踊  柊
<秋童子(人)>
きっと共通する何かがあるのでしょう、気になります。

<松風子(人)>
島の盆踊りにまつわる話は、悲しさなしでは聞けない

大樹の葉はじく残暑の光かな  潮音
<翔河川(地)>


断捨離に残る暑さをしのぎけり  素人
<素蘭(地)>
理想は千分の三だったりして、、、

時超えて幼馴染みと踊りの輪  素人
<白馬(地)>
学生の頃・帰省して踊りの輪に入ったことが思い出されます。

敗戦忌何秘したまま父逝きぬ  楽千
<秋童子(地)>
この父にも、家族には語れぬ戦争中の出来事があったのでしょう。

笛吹けど踊らぬ習ひ秋入日  素蘭
<松風子(地)>
この国の民の習性を、かたくいましめとして生きる姿勢が、季語の感慨のなかにあらわれています


・1点句

浦上のマリアに祈る蝉時雨  丹仙
<芳生(人)>


片方の眠らぬ耳に踊唄  愛子
<潮音(人)>
盆踊りの夜の心理を実によくとらえておられるとおもいます。

野分立つ呼べばいいのさウルトラマン  潮音
<素蘭(人)>
実石榴喰らふ羽織破落戸

盆踊みんな平和な顔をして  秋童子
<あや(人)>
平和な顔、と言い切ったことで却ってより複雑で、深刻な現代日本の状況が現われてくる。