第236回桃李9月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:新月、秋出水、難民(不言題)

兼題T 新月
兼題U 秋出水
兼題V 難民(不言題)

9月15日 (火) 投句開始
9月22日(火) 投句締切 翌日選句開始
9月29日(火) 選句締め切り 
9月30日(水) 披講 

投句: 素蘭、楽千、芳生、馬客、春愁、松風子、白馬、柊、英治、愛子、丹仙、素人、翔河川、水、治男、あや、明子、秋童子
選句: 春愁、芳生、楽千、柊、英治、素蘭、秋童子、白馬、翔河川、松風子、あや、馬客、愛子、治男、明子、丹仙

披講

・9点句

街も田も色はぎとりて秋出水  翔河川
<芳生(天)>
正に「色はぎとりて」ですね。

<柊(天)>


<白馬(人)>
大変な水害だった。中七が効いています。

<あや(人)>
色はぎとりて、に奪われたものの大きさ、悲惨さが表れている

<愛子(人)>


身に沁むや苛政に国を棄つるまで  明子
<素蘭(天)>
金風に散るミュンヘンの薔薇

<秋童子(地)>
なんと苛酷なシリア国内のあの現実。

<白馬(地)>
もう我が国もお終いか。寒さも一入。

<翔河川(地)>



・7点句

新月や暗闇にある水の音  楽千
<英治(人)>
雰囲気を感じる。

<白馬(天)>
水の音だけが、聞こえるか聞こえないかくらいに。何か凄みがある。

<翔河川(人)>


<明子(地)>
かすかな水音が新月と響きあっています。

竹林を洩るる琵琶の音月の眉  芳生
<春愁(地)>
眉月がいいですね

<松風子(天)>
音と光が交差する伝統的日本美が描かれています

<丹仙(地)>
月の眉という表現が生きています。


・6点句

秋出水見え隠れする赤き鞠  治男
<あや(天)>
赤き鞠、が秋出水の悲惨さを際立たせています

<馬客(天)>
赤い毬と泥流、天災と言い切ってしまうに躊躇います。

海を越え野を越え一途鳥渡る  松風子
<馬客(人)>
TVの画面でみるだけで胸詰まるおもいです。
今、自分が生きているこの時、この同じ地球
で起こっている事実なんですね。

<愛子(地)>


<明子(天)>
生きるための地を求めてひたすら歩く人々。鳥渡るの季語が
本能に近いその思いを伝えています。

棄舟の艫のみ見ゆる秋出水  明子
<翔河川(天)>


<馬客(地)>
見たままの作句でしょういが、自然の脅威の前に
声なく立ちすくんでいる様がうかがえます。

<丹仙(人)>
棄舟と秋出水の配合が良いですね。


・5点句

方舟の乗り場よいずこ秋出水  春愁
<楽千(天)>
ノアの箱舟何処にありや。

<治男(地)>
 出水の中、ノアの方舟の出現を、神に
 祈りたい気持ちが出ている。


・4点句

新月の闇へと国を棄てし民  英治
<春愁(人)>
未来が見えない無辜の民・・・

<丹仙(天)>
新月の闇もいつまでも続きません。光は西方より、徳国(ドイツ)のメルケルさんからやってきました。難民にどう対応するかで、それぞれの国のお国柄がはっきりとしてきました。ドイツは嘗てユダヤ人の難民を大量に生み出した歴史的反省から、率先してシリア難民受入を表明。原発廃止の決定といい、全地球的、世代間倫理的な視野で行動する国家こそ、徳ある国にふさわしいのではないでしょうか。

流星の天仰ぎ見るテント村  楽千
<松風子(地)>
満天のおびただしい星の中を流れる流れ星の光芒が美しい

<あや(地)>
仰ぎ見る、の万感の思いが伝わってきます


・3点句

胡乱げなカサブランカや無辜の民  春愁
<愛子(天)>
難問を解いて、、なるほどと時間がかかったが納得の句

国会へどっと人波秋出水  秋童子
<春愁(天)>
兜太もプラカードで参加?

児に翼生れと願うや天高し  愛子
<治男(天)>
 子供への成長の願いが、出ておる。
 夢のような親の願いが出て、楽しい。

瞑りゆく眼に今生の三日の月  愛子
<英治(天)>
満月まで待てなかった。


・2点句

国捨てし民の真上を鳥渡る  芳生
<楽千(人)>
彷徨う人ゞを見下ろしながら鳥が渡っている。

<柊(人)>


激流に耐へる橋脚秋出水  素人
<秋童子(人)>
橋脚もさぞつらかったことでしょう。

<治男(人)>
 出水でも、強い橋脚に期待し、
 人命を救ってくれる事を、祈っている
 気持ちは切実だ。

新月に出遭へるといふ幸ひとつ  あや
<芳生(地)>
新月に出会う幸。さて何でしょう。

大木も小枝も喰らい秋出水  翔河川
<柊(地)>


名に負うて荒ぶる川や秋出水  馬客
<素蘭(地)>
坂東太郎照らす弦月

将門の産土の地や秋出水  松風子
<楽千(地)>
将門が走り回った一帯を坂東太郎(利根水系)が暴れる。

三日月や殺意の如きもの兆す  馬客
<英治(地)>
そんな気分にも。


・1点句

秋出水溺れむばかり湖中句碑  芳生
<松風子(人)>
何の句碑であろうか。「おぼれんばかりの」句碑に強い印象が残ります

吾子抱きさすらう民に冬近し  秋童子
<明子(人)>
ひたすら心が痛みます。

故国捨て色なき風を彷徨へる  柊
<芳生(人)>


新月をビルの合間に見つけたる  明子
<素蘭(人)>
紫煙くゆらせ物思ふ秋