第247回桃李8月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:蜩、朝顔、リオ五輪(不言題)

兼題T 蜩
兼題U 朝顔
兼題V リオ五輪(不言題) 

8月15日 (月) 投句開始
8月22日(月) 投句締切 翌日選句開始
8月29日(月) 選句締め切り 
8月31日(水) 披講     

投句: 楽千、白馬、芳生、鈴居、松風子、春愁、柊、素蘭、翔河川、英治、馬客、秋童子、素人、丹仙
選句: 芳生、柊、楽千、春愁、秋童子、鈴居、素人、松風子、英治、白馬、翔河川、素蘭、馬客、丹仙

披講

・7点句

かなかなや敗戦の日の遠き聲  丹仙
<芳生(天)>
玉音放送でしょうか。「遠き聲」となって耳朶に残っています。

<秋童子(地)>
鎮魂の8月。耳をすませば亡き人々の聲が。

<馬客(地)>
「遠き声」とは、あの玉音か英霊達の声なき声か。


・6点句

人生はトライアスロン風灼くる  春愁
<白馬(天)>
「重き荷を持て」より実感ですね。下五がリオにふさわしい。

<素蘭(天)>
今はスイム?バイク?締めのラン?  加油!

蜩や千鳥ヶ淵に鳴き止まず  秋童子
<鈴居(地)>
戦後71年節目の年を感じます。

<英治(人)>
憂いがひびく。

<丹仙(天)>
8月は戦没者の追悼の月。なきやまぬ蜩の聲は、大東亜戦争の戦没者、それは敵と味方、軍人と民間人の差別を越えてあらゆる死者の沈黙の聲そのものとなって耳朶を離れることはありません。


・5点句

あゐよりもあをきあがほ咲きにけり  素蘭
<春愁(地)>
濃き朝顔のさわやかさがいい

<鈴居(天)>
暑さを忘るあを。

朝顔の観察日記途切れ勝ち   楽千
<素人(地)>
思い出します。 遠い昔のことになりましたが。

<馬客(天)>
寝坊助の孫が起きだすころには、
朝顔は全部しぼんでいます。

一枚のメダルに透ける汗の日々  芳生
<柊(天)>


<松風子(地)>
感激の裏にある刻苦勉励の日々

かなかなや又一日を重ね得し  馬客
<素人(天)>
一日一日が大切に思えるこの頃。ひぐらしの鳴き音に思いを強くします。

<白馬(地)>
この歳になると分かります。

紅強く引きてレーンの秋に立つ  馬客
<芳生(人)>
「レーンの秋に立つ」がいいですね。

<秋童子(天)>
黒人女性でしょうか。スタート前の緊張の瞬間。

<鈴居(人)>
どんなに暑くても夏五輪には秋を感じるかも。


・4点句

朝顔の紺咲き満ちて廃家かな  芳生
<白馬(人)>
寂しさをバックにした華やかさが---。

<翔河川(天)>


残生は加速の兆し夕かなかな  春愁
<芳生(地)>
同感です。

<楽千(地)>
かなかなに急かされるやに老いの時間の速いこと。


・3点句

朝顔にけふの水やる独居老  英治
<柊(人)>


<素蘭(地)>
俳味も滴る元気印と受け止めたい

朝顔のにぶき光をはらみおり  翔河川
<松風子(天)>
朝顔が光を含んでいるという発見の句

朝顔の日に衰へぬ紺の淵  松風子
<春愁(人)>
元気な様がいい

<翔河川(地)>


今着いた着地マットは地の向こう  鈴居
<楽千(天)>
お茶の間の眼前の映像は実は地球の裏側の出来事。

かなかなやあららぎ戦ぐ風曜日  素蘭
<春愁(天)>
侘びしき景がいい

銀やんま制していたりリオの空   楽千
<英治(天)>
うまい。


・2点句

朝顔に幼き日々の見え隠れ  秋童子
<柊(地)>


朝顔の遊び蔓へと手を伸ばす  柊
<楽千(人)>
命儚しせめて思いのまま遊べ。

<松風子(人)>
朝顔の蔓がからむさまを遊びととらえたおもしろさ

あさがほの朝に道を聴きにけり  丹仙
<英治(地)>
格調が高い。

かなかなの幽けきこゑの遥かより  芳生
<秋童子(人)>
夕暮れどきに、どこからともなく。

<丹仙(人)>
かなかなの聲を「幽けき」と表現したところに惹かれました。これは、実際の声ではなく、記憶の深部より甦ってくる聲。

かなかなや今は昔のおらが駅  英治
<素人(人)>
みんな大きく変わってしまいました。でもひぐらしの鳴き音はそのまま。
回想にふけります。

<素蘭(人)>
とある廃線の終着駅にして始発駅跡
蝉時雨、虫時雨,木の実時雨、木の葉時雨、川音時雨、青時雨、囀、遠吠…
四季折々天然の環境音楽が聴き放題です

蜩の余韻浄土と繋がれり  翔河川
<丹仙(地)>
蜩の声は、この句では、悪人たらざるを得なかった宿業に苦しむ衆生の沈黙の声を思わせます。悪人正機、還相廻向を説く法然・親鸞の大悲の教えを思いました。


・1点句

蜩や伝うべき言けふも無く  白馬
<翔河川(人)>


若人にメダルの色を越えた汗  鈴居
<馬客(人)>
軽軽には言えないが、メダルが有ろうが無かろうが、
その色がなんであろうが、選手の皆さんの、珠玉の汗が尊いのです。